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第5章
最終決戦 ③
しおりを挟む骸骨兵に魔物、総勢千はは越えようかという数に
絶望しか考えられなかった。
魔人を筆頭に指揮の取れた軍団に、デルト城側、
オルデラン城側、両軍共、最早、戦闘とは呼べず、ただ単に
惨殺されていった。
淡々と殺害を楽しむ面々の狂気、人々の恐怖が入り混じり
戦場は地獄と化した。
デッカ「マシュー、ドルフレア、リアム、もう後退すら出来ない
ひと塊りとなって指揮官モズを落とすぞ!」
マシュー「あぁ…後退は出来ないな……」
ドルフレア「仕方ないですね……」
リアム「……」
彼等はデッカを先頭に三角の陣をひきながら、
出来るだけ弱そうな骸骨兵を倒し押し進めて行った。
しかし敵の強さは彼等の想像を超えていた……
骸骨兵5体を倒した頃には、既に武器に宿る魔力も矢も
切れていた。
戦略があり、且つ両軍の兵士が万全の状態でも、
この状況を打破するのにはかなりの困難を極める状況であった。
ジリジリと追い詰められる4人……
敵味方兵が断末魔が辺り中から聞こえる……
ドルフレア「もう……駄目だ」
マシュー「先輩が諦めないのにお前が諦めてどうする」
ドルフレア「こんな状況で先輩も後輩もねーよ!」
マシューの背後に骸骨兵が斬りかかる
リアムが咄嗟に2本の光魔剣で撃破した
デッカ「……落ち着け」
「思い出せ、俺達が鬼になった理由を……明も暗もあるだろうが
己の命惜しさになった訳ではなかろう……」
ドルフレア「……ですね」
デッカの背後から斧を持った魔物が襲いかかる
「グハッ……」
デッカの背中は辛うじて鎧と残りの氷の力を集結し防御に
注いだものの、魔物の力に耐える事は出来ず膝を落とした。
デッカの周りを守る様に集まる3人……
マシュー「こりゃ……いよいよかな……」
リアムは剣を構えながら左手でデッカの出血場所を抑えていた。
囲まれる4人……
それを割って入るモズ
「おぉ貴方達なかなかやりますねぇ……魔力を封じ込める鎧に
剣ですか……しかも殆ど切れてますね、その状況で、
この包囲網を今まで生き延びた事は賞賛に値しますよ」
「ご褒美に最後にいい事を教えてあげましょう。
我等、この世界のものではありません、我等の主はこの世界に
留まらずあらゆる世界を支配する事を目的としております」
「おや?此処にも2人この世界のものではないお方が混じって
おりますね……そこの貴方と……」
リアムの背後から声が聞こえる
「お…にいさん……」
「お兄さん!!」
リアムは後ろを振り向く
ネロ「良かった無事で……」
モズ「ようやく姿を表しましたか……迷える魂よ」
「この場に居るものは全て淘汰するのは肉体だけでは
ありませんよ、貴方もその対象です」
「完全滅殺でないと気持ち悪いですからね」
リアム「霊体まで攻撃出来るのか」
モズ「当たり前ではないですか、先程も言った通り、我等元々
この世界のものでは御座いませんからね。
故に狭間に居るものに干渉出来る世界の理と充分な魔力も備えて
おりますからね」
「子供の魂はこれまた美味しいんですよ……混じりっ気が
ありませんからね」
モズは再び大きな口を開け涎を口元に垂らした。
モズ「しかし、まだ希望などと言う幻を見ているようですね……
いけません、いけませんねぇ……それではスパイスが……
足りませんねぇええ」
そう言うとモズは手から球体の黒いエネルギーを
ネロに向かい放った。
咄嗟にリアムはネロを庇う。
「グガァアアア ‼︎」
エネルギー体はリアムの背中で回転を激しくさせながら
体に食い込む様にめり込む。
モズ「ふふふ痛いでしょう、苦しいでしょう」
ネロ「やめて!」
モズ「良いですねぇ……心地良し!」
「その球体、体を痛みつけるだけでは御座いません。
その痛み、貴方どうですか?」
「喋る気力はないでしょう、それ精神を破壊する代物ですからね
貴方、痛いでしょう、貴方ほどの実力者、それに我等と々
異世界からの来訪者たる貴方ならば、今なら何とか、
そこを退けば自分は助かりますよ?」
「ただし、後ろの霊体はこの世の理から外れ、
完全抹消されますがね」
「ふははははは……気持ち……良いですなぁあああ!」
「避けても、避けなくても、どちらにせよ
2人とも人としても終わり……」
「プププ……」
ネロ「お兄さん……大丈夫、僕はもう諦めない、何も出来ない
自分が出来る事は諦める事ではないよね」
ネロは霊体の体でリアムの体に入った。
「お兄さんずるいかも知れないけど、お兄さんに運命を託すよ。
僕は今、お兄さんと同化してる。お兄さんが倒れれば、それは
僕が倒れるのも同じ、逝く時は一緒だよ、ズルくても……
お兄さんの心が強くなるなら僕はこうするしかない!」
リアム「ウグ……強くなったな……俺が耐えなければ、君も消滅
するのだな、不思議な人質だな……」
苦しみの顔をしながら皮肉をネロに見せ、笑顔になる
リアムだった。
モズ「面白い余興ですか……虫酸が走りますね……
わかりました。人間と霊体のコンビ、面白いじゃ有りませんか」
「その苦しみ、増やして叫ぶがいい!」
モズは精神を破壊するという球体を更に3つ放った。
メリメリと音をたて、精神と肉体にめり込み打撃を与えてゆく
リアム「ネロ……見ておくがいい、お前が教えてくれた事に、
お前がどんなに役に立つ人間だったか、今もそうだ……
それを……それを……」
「今!教えてやるーー ‼︎ 」
リアムは全身に力を込め、心にはネロへの感謝と、
ネロの存在を彼自身が誇りに思える為に、
その心の強さを爆発させた。
「ぬがぁあああああっ ‼︎ 」
爆音が辺りに轟く、その弾かれた負のエネルギーの球体が正の
リアムの光のエネルギーとの反発作用で爆発したのだった。
リアム「お前が嫌いなものが……ここに2つある」
ネロ「お兄さん、もう大丈夫」
そういうネロの背後から凄まじい光を放つ矢が
モズ目がけ飛んでいった。
モズがすかさず矢を掴む
ーー が
その矢はモズの手を弾き飛ばし片腕をもぎ取っていった。
モズ「何だと?」
謎の女の声「お待たせ!ネロ!よく頑張った、
もう大丈夫だよ!」
何がどうなったかわからないリアムが矢の飛んだ方向をみると
1人の戦闘とは無縁に思える可愛い女性が、逞ましく矢を掲げ
叫んでいた」
「貴方がリアムだね、私の名はジュンイ。
我等、ネロに頼まれて加勢に来た。立てるね、逆転するよ!」
彼女の出で立ちは、髪の毛は薄いピンクでスラリと細く、
しなやかな腕から放つ、先程の強弓が信じれない程の女だった。
ネロ「あのお姉さん、前に話したお兄さんの仲間なんだって
、誰かに強く助けてって願ったら、そのお兄さんの所に
飛んだんだ、霊体は世界を自由にいけるみたい」
ジュンイ「みんな!行くよ!蹴散らせ!」
崖の上からジュンイ率いる軍が敵に向かって突進した。
デッカ「なんだ……あの女、それに、あの軍団、奴等の軍と
対等、いや……それ以上じゃ……ないか」
ジュンイがリアムの側に駆け寄った。
ジュンイ「大丈夫か?味方だ今は猜疑心とか面倒なものは
いいからね、じっとして」
そう言うとジュンイはリアムの背中に手をかざした。
心地良い、暖かな温もりが背中を伝う。
リアム「ネロの頼った女性だ、例え悪でも俺は信じるさ……」
ジュンイ「いい度胸だわ、気に入ったわよ、全快とは
言えないけど……半分位は回復出来る筈」
背後を見るとデッカ、マシュー共に彼女らの手で
回復されていた。
ジュンイ「この世界はマナの影響があまり無いみたいね、
私らもこの世界では本来の力が弱まってる見たい……」
「あら……それに貴方もこの世界の人間ではないわね、体から
流れ込む力がこの世界とは異質だわ……」
「それといい事教えてあげる、じっとして、まだ話しの途中!」
「貴方何故か手だけは、あの魔物らに匹敵出来る力があるわ
よくはわからないけど、恐らく魔人でさえも凌駕する力が
あるわ……」
リアム(現世で腕だけ戻ったからか?)
ジュンイ「よしとりあえず治療完了、貴方のお仲間さんも
同等に治療しといたわよ」
「後、その籠手に宿る犬ちゃんも回復しといたわ。
可哀想に尽きかけてたわよ、この手の魔物はマナが尽きると
命そのもののが消えてしまうの」
その直後、ジュンイの背後からが飛び込む骸骨兵の影が3体
彼女は振り向きざまに手から炎を放った。
「ヘルファイアッ!」
その炎は蒼白く放つ炎は横帯状となり骸骨兵を消し去った。
マシュー「なんだそりゃ!手から炎がっ!しかも一撃で三体」
ジュンイ「これは魔法と言って貴方達の世界でいう魔力の
宿った石とか防具、武器から放つ物を私達は呪文で放てるの」
「私達の世界ではこれは当たり前の事よ、力の差は訓練や
その人個人の持つ才能によるけど」
リアム「俺も2日目の敵、殺人鬼に似たような技を放つ集団に
出くわした……」
敵との兵力はこちらが優勢であったが魔人1人が、その状況を
逆転出来る程の強さで味方をなぎ倒す。
緊迫の時間は止まらない……
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