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今日こそはプレイがあるだろうと、一応念入りに準備しておく。
待ち合わせしてイタリアンレストランで食事してから、行きつけの豪華なシティホテルへ。
場末のラブホでいいのになぁいつもいつも、なんて思いながらチェックインした。
そこでピシッとしたスーツを着崩しながら、颯真がミニバーからビールを取り出し俺にも勧める。
あまり飲めないけどバカにされそうなので、受け取ってちびりちびりと飲みながら、二人でソファに座っていた。
…何も話さないな、こいつ。
そう思っていたら徐に颯真が、
「…なんでお前はウリ専やってるんだ?」
と聞いて来た。
俺は上京してネットカフェにいながら日雇いの派遣でしのいでたけど、スカウトされて手っ取り早く稼げるこの仕事についたのだ、と話す。
「職の当てもないのになんで上京した?
親御さんは何も言わないのか」
「俺、捨て子だったんで、施設で育ったんです。親の顔も知りません」
「……」
颯真は絶句したあと、
「…施設の人達は?
高校出たあとのフォローはないのか」
「俺、施設の職員にセクハラ受けてたんです」
「セクハラ?」
「はい。
中学の頃施設の女に…無理に、童貞奪われて。
それからその事をバラすって脅されてズルズルと。
…まぁ、俺も勃ってたんだから興奮してたのかな?はは。
でも、そんなんで早く出たいって卒業と同時に出て。連絡はとってません」
半ば俺はふざけながらいきさつを明かすと、また颯真は絶句して顔を手で覆った。
なんだ?どした?
「……なんで訴えなかった」
「え?」
「それは、レイプだろ。
なんでそんな笑ってるんだ。
もっと怒れよ!」
「…いや、でも、バラすって脅されたから…」
「バラされたら困るのは向こうだろ。
なんで周りに言わなかったんだよ。
…だから、お前はこうやって性を売り物にするのか?自分を大事にしないで。
…ふざけるなよ…」
そこまで言われて、俺は目の前が真っ赤になるくらいブチ切れた。
でも、今思えば、図星だったから俺怒ったんだろうな。
俺は、今までにないくらい大声を出していた。
「…ふざけてんのはどっちだ!
毎回毎回やりもせず呼びつけて説教しやがって。」
「!説教のつもりじゃない。
俺はお前ともっといろんな話がしたかったんだ」
「なんでだよ。
俺みたいな底辺といて優越感に浸るためか。
お前と話すとイライラしてしょうがないんだよ!」
「!そんなつもりじゃない!
俺は、お前に惹かれているんだ!
…本当に、すまない」
「嘘ばかり言うな!会っても指一本触れねえし。何がしたいんだよお前…。
はー…、もういいわ。
金輪際俺を指名するなよ。
今日の分はキャンセルで。
これ、今日かかった金、俺の分。
じゃあな」
俺は財布から有り金の紙幣全部、数万円をテーブルに置いた。
「!ま、待ってくれ。
お、俺は…お前が好きだ。
律を好きになったんだ。
だ、だから、体を売るような仕事は辞めてほしかった。
自分をもっと大事にして欲しかった。
そういう事をきちんとしてから、お前に触れたくて…」
そう言いながら、帰ろうとする俺の腕を掴む。
「離せ!…俺は、お前が大嫌いだ!」
思い切り振り解いてホテルを出た。
怒り冷めらやぬままなんとか小銭で電車に乗り帰途に着く。
そこから布団をかぶるようにして寝た。
…俺は、何でこんなに怒っているのだろう?
客から酷い事を言われたことはこれまでもある。酷いプレイをされたこともある。
それに比べれば颯真なんて可愛いものだ。
俺の事が好きだから、この仕事を辞めてほしいと、そんな目にあったなら訴えるべきだと、自分を大事にしろと、真っ直ぐに告げられたのは初めてだった。
自分はいつも流されるままに、感情をあまり表に出さず生きて来たけど、ずっと、世の中に対する怒りは胸の奥で燻っていたんだ。
それが、爆発した。
本当は颯真じゃなく、自分にずっと腹を立てていたのかもしれない。
……俺は目を瞑っても眠りに落ちることなく、延々と考え続けていた。
待ち合わせしてイタリアンレストランで食事してから、行きつけの豪華なシティホテルへ。
場末のラブホでいいのになぁいつもいつも、なんて思いながらチェックインした。
そこでピシッとしたスーツを着崩しながら、颯真がミニバーからビールを取り出し俺にも勧める。
あまり飲めないけどバカにされそうなので、受け取ってちびりちびりと飲みながら、二人でソファに座っていた。
…何も話さないな、こいつ。
そう思っていたら徐に颯真が、
「…なんでお前はウリ専やってるんだ?」
と聞いて来た。
俺は上京してネットカフェにいながら日雇いの派遣でしのいでたけど、スカウトされて手っ取り早く稼げるこの仕事についたのだ、と話す。
「職の当てもないのになんで上京した?
親御さんは何も言わないのか」
「俺、捨て子だったんで、施設で育ったんです。親の顔も知りません」
「……」
颯真は絶句したあと、
「…施設の人達は?
高校出たあとのフォローはないのか」
「俺、施設の職員にセクハラ受けてたんです」
「セクハラ?」
「はい。
中学の頃施設の女に…無理に、童貞奪われて。
それからその事をバラすって脅されてズルズルと。
…まぁ、俺も勃ってたんだから興奮してたのかな?はは。
でも、そんなんで早く出たいって卒業と同時に出て。連絡はとってません」
半ば俺はふざけながらいきさつを明かすと、また颯真は絶句して顔を手で覆った。
なんだ?どした?
「……なんで訴えなかった」
「え?」
「それは、レイプだろ。
なんでそんな笑ってるんだ。
もっと怒れよ!」
「…いや、でも、バラすって脅されたから…」
「バラされたら困るのは向こうだろ。
なんで周りに言わなかったんだよ。
…だから、お前はこうやって性を売り物にするのか?自分を大事にしないで。
…ふざけるなよ…」
そこまで言われて、俺は目の前が真っ赤になるくらいブチ切れた。
でも、今思えば、図星だったから俺怒ったんだろうな。
俺は、今までにないくらい大声を出していた。
「…ふざけてんのはどっちだ!
毎回毎回やりもせず呼びつけて説教しやがって。」
「!説教のつもりじゃない。
俺はお前ともっといろんな話がしたかったんだ」
「なんでだよ。
俺みたいな底辺といて優越感に浸るためか。
お前と話すとイライラしてしょうがないんだよ!」
「!そんなつもりじゃない!
俺は、お前に惹かれているんだ!
…本当に、すまない」
「嘘ばかり言うな!会っても指一本触れねえし。何がしたいんだよお前…。
はー…、もういいわ。
金輪際俺を指名するなよ。
今日の分はキャンセルで。
これ、今日かかった金、俺の分。
じゃあな」
俺は財布から有り金の紙幣全部、数万円をテーブルに置いた。
「!ま、待ってくれ。
お、俺は…お前が好きだ。
律を好きになったんだ。
だ、だから、体を売るような仕事は辞めてほしかった。
自分をもっと大事にして欲しかった。
そういう事をきちんとしてから、お前に触れたくて…」
そう言いながら、帰ろうとする俺の腕を掴む。
「離せ!…俺は、お前が大嫌いだ!」
思い切り振り解いてホテルを出た。
怒り冷めらやぬままなんとか小銭で電車に乗り帰途に着く。
そこから布団をかぶるようにして寝た。
…俺は、何でこんなに怒っているのだろう?
客から酷い事を言われたことはこれまでもある。酷いプレイをされたこともある。
それに比べれば颯真なんて可愛いものだ。
俺の事が好きだから、この仕事を辞めてほしいと、そんな目にあったなら訴えるべきだと、自分を大事にしろと、真っ直ぐに告げられたのは初めてだった。
自分はいつも流されるままに、感情をあまり表に出さず生きて来たけど、ずっと、世の中に対する怒りは胸の奥で燻っていたんだ。
それが、爆発した。
本当は颯真じゃなく、自分にずっと腹を立てていたのかもしれない。
……俺は目を瞑っても眠りに落ちることなく、延々と考え続けていた。
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