貴方が呼んでくれるから

ツナコ

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 そこはまた白い病室。

 横には颯真…ではなく、秘書の八乙女さんがいた。

 「…目が覚めましたか」

 「…俺…」

 「麻酔薬を嗅がされて具合が悪くなったようです。体調はいかがですか」

 「ん…大丈夫、です。あの…」

 「…副社長は今電話しに外に行ってます。
 まもなく戻ります」

 「…あの時颯真が来てくれたんですね。
 俺、幻かと思って」

 「…あの店には、貴方がマンションを出てから、副社長が貴方が来たら連絡してもらうようオーナーにお願いしていたらしいです。
 それで、電話を貰って駆けつけたらあんな事に」

 そういえば、オーナー、俺が行った時電話してたな…。

 「そうだったんですね…」

 八乙女さんはため息をついた。

 「…貴方には、やはり敵いませんね」

 「え?」

 「あんなに取り乱す副社長は二度目です。 
 前に貴方が転落した時と、今と」

 「……」

 「…何故貴方がいいのか。
 外見なのかセックスの相性なのか、貴方の良さが分かりません。
 が、私は取り敢えず身を引きます。
 …颯真さんは、貴方がいいと。
 玉砕しましたので」

 「……」

 「…秘書は継続させてもらいますが、彼への思いは断ち切るよう努力します。
 …ま、思い出にキスはいただきましたのでね」と言って軽くウインクする八乙女さん。

 真面目な容姿とのギャップに俺は思わず笑ってしまった。

 「あははっ、八乙女さん、かわいー」

 「!可愛いって貴方は…!」

 そこで病室のドアが開き、颯真が顔を出した。

 「律…!目が覚めたか」

 「颯真、うん…」

 そこで八乙女さんが入れ替わりに外へ出る。

 颯真は近くの椅子に腰掛けた。

 「…具合は悪くないか?」

 「うん。大丈夫」

 「そうか…。
 俺、何とかお前ともう一度話したくて、でも連絡の手段がなくて、オーナーにお願いしたんだ。来たら連絡もらえるように…。
 悪かったな。
 …でも。そうしたらあんな場面で、前と同じような。俺、パニックになった…」

 「…石原さんは?」

 「あの男か?警察に連れていってもらったぞ。
 …お前が目覚ましたから、これから俺も警察に行く。
 …あいつにはきっちり裁きを受けてもらうから」

 「うん…。颯真、ありがとう。
 前も、さっきも、助けてくれて…」

 「…いや。そんな事はいい、当たり前だ。
 …前も、お前と話したくてshockに来たんだ。
 そうしたら上で凄い音がしたからいってみたらお前が倒れてて…、俺はお前が死んだと思って、どうしようと気ばかり焦って。
 …記憶を失くしたと聞いた時、俺は心配しながらも、これで俺達の出会いをやり直せると心の底で期待した。
 俺は…前にも言ったけど、本当に、一目惚れだったんだ、律…」

 「…うん……」

 「…嘘をついて本当に悪かった。 
 あんなに俺を嫌っていたお前が、俺と恋人同士だなんて。
 それも、記憶を失くしてたお前を言いくるめて抱いてしまった…。
 本当に、すまなかった。
 お前に好きな人がいたって聞いて、目の前が真っ暗になった。
 けど、最後にどうしても謝りたかった。
 俺、お前と話して、それでお前の喜ぶ顔を見たくてって思ってたのに、嫌な言い方しかできなくて、ごめん…」

 そこまで一気に言った颯真はしゅんと俯いている。
 何だか可愛い、と思ってしまった俺は意地悪をしたくなった。

 「…俺が荷物取りに行った時、八乙女さんとキスしてたね。あれってどうなの」

 「…!見てたのか。悪い。
 あ、あれは不意打ちで、仕方なかったというか…、…優希の気持ちにずっと気づけなくて申し訳ないと謝ったが、俺は…お前がやはり好きだと言った」

 切れ長の真っ直ぐな澄んだ瞳に見つめられて、俺もついに降参した。

 「…嫌いじゃないよ、颯真」

 「え?」

 「確かに最初は腹立ってたけど、いつも、颯真は俺のこと考えてくれてた。
 俺、図星言われて八つ当たりした。
 俺こそごめん。
 俺、ずっと自分が悪いって、自分がいやらしいからこんな目にあうんだって思ってて、だから、ウリ専も抵抗なくできたけど、颯真のおかげで考え直すことができたんだ。
 初めて俺に言ってくれた。
 俺は悪くないって、自分を大事にしろって…。
 そう言ってくれた颯真が…俺、いつの間にか好きになってた。
 過去の人を思い出にして、俺は颯真のこと好きになってたんだ」

 「り、律…?」

 「颯真のこと、大好き。
 だから…、俺の、本当の恋人になってくれる?」

 颯真の目を真っ直ぐ見つめながら告白した。
 こんな告白したの生まれて初めてだな…。

 颯真は照れている俺を見ながら固まっている。

 「颯真?」

 「…今この時が夢じゃないかと疑ってしまった。…夢じゃ、ないんだよな?」

 ウンウン頷く俺を颯真はぎゅっと抱きしめた。

 「律!…ありがとう。大事にする。
 …愛してる」

 「うん、俺も…愛、してる…」
 
 お互い抱き合っていると、

 「河合さん?起きてますかー?」

 と恐らく看護師さんと思われる声がしドアがガラッと開く。

 その瞬間にパッと俺達は離れた。

 瞬間に、

 「…恋人えっち、早くしたい…」

 と耳元で囁くと、

 「律…」

 と真っ赤な顔で颯真は絶句するのだった。
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