前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

ツナコ

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第1部

アイシャ15歳 ①

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 帝国の学校は1の月から始まる。

 1から12の月まであり、曜日配列も舞の生きていた世界と同じだ。

 1の月ならニホンでは冬だが、レーゲンブルク帝国は1年中春の国なのだ。

 他に夏、秋、冬の国がある。

 春と秋の国は実り豊かな国で食糧も豊富だが、夏と冬の国は食糧自給率は厳しく、主に観光業の収入でそれを補っていた。

 そして、私は今、冬の国ロートブルにいる。

 5月の2週間、学園は休みとなりバカンス期間となる。

 お母様と兄弟で今年は冬の国で過ごすことにしたのだ。

 領地内の温泉つき別荘や、国内のホテルもいいけど、やはり夏の国と冬の国は一大リゾートでスケールが違う。

 今回の旅行は楽しみだった。

 馬車に2日揺られ、国境の防護結界に建つ出入国管理所を通過すると一気に冬の国だ。

 それぞれの国の国境付近は魔鉱石の採掘場があり、その中には魔獣が出没するので旅行の際は護衛騎士が人数分必要となる。

私にはもちろんムスタファがついていてくれる。

 防護結界は国と国の境目に存在し、これが破られると4つの国は災害に見舞われると言われている。

 入ると突然の冬になるので、管理所で羽織ものやブーツなどの防寒具を着込み、魔鉱石を使用したカイロを握りしめてロートブルへのドアを開ける。

 そこは白銀の世界、寒い!!

 でも私は久しぶりの雪の感触が嬉しくて、キュッキュッと踏み鳴らしなから、冬の国仕様の暖房付き馬車に向かった。

 馬車の窓から雪に包まれた幻想的な風景を楽しむ。

 冬の国の人々は、色が白く切長の目の人が多い。

 舞の世界のニホンジンぽい目元だ。

 といってもこの世界は多分かなり混血が進んでると思うので、明確な人種のようなものはないけれど。

 2日目の夜、私はリゾート内のレストランにいた。

 今日はモナハンと1日スキー三昧!楽しかったなあ。

 母様はスパへ行って1日ゆっくりしていたみたい。

 兄様はキースの兄のクリスと、冬に強い大きい馬に乗りたいとウキウキして行ってしまいまだ戻っていないわ、そろそろ通信機で呼ぼうかな。

 通信機とは、風の魔鉱石を利用して作られたもので、遠くまで声を届けることのできるトランシーバーのようなものだ。

 舞の世界のものみたいに姿形も写せるものが欲しいけどね。

 通信機をいじっていたら、エントランスからキースの顔が見えたので手を振る。

 キースはケイトと同じく、小さい頃から家族ぐるみの幼馴染だ。

 母親同士が仲がよく、今回のバカンスも三人一緒の予定だったがケイトの父のジグムント公爵の身内に、100歳の誕生日を迎える人がいて、看取りをかねて一家で旅行をする事になり別行動となった。

 ケイトにはいろいろ話を聞きたかったのにな。

 隣に呼んだキースにとりあえず聞いてみる。

 「キース、ケイトとヤーン様のその後、聞いてる?」

 「順調に交際しているみたいだよ」

 そう、ケイトに3歳年上の恋人ができたのだ。

 ヤーン様はデュール子爵の三男で、学園内でケイトを見初めたと告白され、ケイトは頬を染めて交際を受けた。

 「ヤーン様はプロポーズしたらしいと噂で聞いたよ」

 この世界では15歳から結婚できる。

 同級生も数人、婚姻のため自主退学する子もいた。

 そのまま学業を続ける子もいるけど。

 「えっ!!そうなの?私はヤーン様をよく知らないのだけど、キースは知ってた?」

 「いや、僕もほぼ知らないな。
 …だけど、何か気になるから、少し調べてみようか迷っていた」

 キースはビリニュス伯爵の次男で、赤ちゃんの頃からケイトと三人いつも遊んでいた。

 蜂蜜色のサラサラヘアで、琥珀色の目の柔らかい雰囲気の美しい容貌で、外見通りの優しい男の子だ。

 「そうなの?
 でもあまり、詮索はしたくないからほどほどにしよ?
 でもなにかあったら教えてね」

 「分かった。…アイシャは?
 君はいい話はないのか?
 クラスの子や先輩から時々呼び出されてるじゃないか」

 「私?私は今のところ恋人はいないよ。
 キースだって!カレンに告白されたって聞いたよ」

 キースはバツの悪い顔で、

 「ケイトに聞いたの?
 カレンには僕もお断りしたよ。
 僕も今のところ、恋愛に興味はないんだ」 

 「そうなの?私と同じね。
 好きなんて言われても相手のこと何も知らないしね。
 それより、キースのとこのお魚コレクション、増えた?
 また、今度見に行くわね」

 ビリニュス公爵家は、国内の魚を集めたアクアリウムを開いていて、人気のスポットなのだ。

 キースもしょっちゅう海や川に新種を求めて出かけている、お魚大好き人間なのだ。

 キースは私をじっと見て、

 「全く、君は変わらないね。
 …明日、こちらのアクアリウムに行こうと思って、アイシャもどう?」

 とにっこりと笑った。
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