前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

ツナコ

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第1部

12

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 バカンスを終えて帰るとすぐ、私の誕生日、5月16日を迎える。

 それこそ前世を発現する前はお友達を呼んで誕生会をしていたけど、12歳くらいからはやらなくなった。

 何だか子供っぽくて恥ずかしく思えたのだ。

 それからは家族と一緒にケーキを食べて、プレゼントをもらうだけ。

 でも今回はちょうど土曜日だったので、久々にケイト、キースと街へ出てカフェでお祝いをしてもらった。

 それぞれからプレゼントを貰ってすごく嬉しい。

 ケイトからは自ら刺繍してくれたハンカチ、キースからは私の名前入りの万年筆を貰う。

 ハンカチ、可愛い!

 万年筆、高かったんじゃ…、2人からのお祝いに感謝しつつ、カフェのマドレーヌとミルクティーをいただきながら、ケイトの惚気話をキースと2人で聞くのだった。





 次の週末はお母様と約束していた花苗の園芸市へ。

 レーゲンブルクは春の国なので1年中満開の花を楽しむことができる。

 お母様はガーデニングが大好きなので、定期的に庭師のニールを連れて花の苗を買いに行く。

 色々珍しい花も見れるので私もタイミングが合えばご一緒している。

 お母様とニールは芝生でのクロッカスの植え方を話しながら苗を購入している。

 ニールは20代前半くらいかしら、黒髪で、仕事柄か肩幅が広く筋骨隆々な美男子だ。

 屋敷の女性達に人気なのよね~、分かるわ。

 そして、私の今日の目的は桜。

 舞の世界では桜といえば皆でお花見に行くものだったけど、舞はいつも病室の窓から眺めていたっけ。

 同じ桜でも、あっちの世界とこちらではなんだか違って見えた。





 5月の舞踏会もキースと。

 会場に到着してすぐイーサン様から声をかけられ、誕生日プレゼントも兼ねて、と夏の国で購入したというおみやげを渡された。

 開けて良いか、と聞くと照れながら了解され、包みを丁寧に開けると色とりどりのガラスで作られたエスニックなネックレスだった。

 うわあ、素敵! 
 
 コーディネートのアクセントになりそうね。

 それを見ていたキースは、やっぱりプレゼントはアクセサリーにすれば良かった、なんて暗い顔をするから、万年筆もすごく嬉しくて学校でいつも使ってるよ、と言うとぎこちなく微笑む。

 なんでも、その気持ちが嬉しいのに。ほんとキースったら。






 6月の中旬に中間テストがあるので、クラブ活動も休みとなる。

 私も寄り道もせず、週末も家で1日勉強、とは言わないけども、のんびりしながら今までの復習をしていた。

 そしてテスト期間に入る。

 私はそこまで上位ではなく、中の上、くらいかな。

 とりあえず補習はなくて良かったわ。

 テストも終わったので、前からイーサン様と約束していた街中のカフェと、近くの美術館の展示会を覗いてみることにした。

 この期間は展示会では切り紙絵を特集していた。シンプルだけど鮮やかね。

 イーサン様と静かな声で会話しながら見学していく。
 その後カフェで休憩。
 
 お兄様から聞いたのだけど、イーサン様はミオドラグ学園を首席で卒業したのですって。驚いたわ。

 天才ではないけど、負けず嫌いなので勉強ばかりの学園生活だったと静かに微笑む。

 努力家なのね、素直にすごいと思う。

 そんな事を話していると、ウエイターが私にシューアラクレームとダージリン、イーサン様にタルトシトロンとコーヒーを運んできた。

今までカフェに入りにくく、甘いものも大好きなのに我慢していた、ととても嬉しそうに話すのが微笑ましくて、これからも行きましょうね、と約束した。






 そして、6月の舞踏会のテーマはお菓子だったので、私はキースと会場に着いてから真っ先にイーサン様を探していた。

 いた。

 やはりお菓子の数々には手を触れずにチラチラ見ている。

 私はおかしくなって、キースに断ってからイーサン様のもとへいくつかのペストリーを携えて声をかけた。

 イーサン様から頂いたネックレスをつけて。

 イーサン様は照れながらミルフィーユを選び、
 「ありがとう、ネックレスもつけてくれたのか。やはり、よく似合う」
 と微笑み、ミルフィーユをもくもくと食べた。

 そこへキースもきたので3人でパイを食べながらシャンパンを飲み、シャンパンとスイーツも結構合うね、と話すのだった。

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