前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

ツナコ

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第1部

14

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 そして、次の週末はイーサン様と遠乗りに行く日。

 近場だけど、桜の並木道が美しい森林公園まで行く事にした。

 桜はまだ咲いているけど今日は風が強くて、花吹雪が綺麗。

 イーサン様の髪に花びらがついたのでとってあげるとアイシャも、と頭を撫でられる。

 えっ!花びらをとってくれただけなのに、何故だか急に心臓がドキンとして顔が赤くなってしまった。なんだろう。

 近くに洞窟があるんだ、と案内され、竜の洞窟、という名前らしい鍾乳洞に入る。

 鍾乳石が竜のように見える場所があるらしいけど、その場所までが薄暗く滑りやすくて、私は敬語も忘れて、

 「ま、待って!暗くてダメ!怖い!」
 とイーサン様にしがみついてからハッとした。
 「イーサン様、申し訳ありません!」
 としがみついた手を離そうとすると、 

 「いや」
 とイーサン様が逆に、すまない、と私の手を握る。

 え?

 「こんな暗い道をアイシャ1人で歩かせて申し訳ない、もう少しで竜の洞窟だからこのまま…」
 と手を繋いだままゆっくりと歩く。

 ダンスでも手は握り合うけれど、こんなにがっしりと掴まれた事はなくて、イーサン様の大きくて暖かい手が心地よい。

 間もなく前方が明るくなってきて、確かに竜が横たわっているような鍾乳石があった。

 「神秘的ですね、イーサン様!」
 と声をかけたらイーサン様がばっと振り向く。

 思ったより距離が近くで、イーサン様の綺麗なブラウンの目が私を射るように見て、私の心臓が飛び上がった。

 しばらく見つめ合って、イーサン様が顔を近づけたように思えたけど、ぱっと目をそらして、個性的な鍾乳石だろう、と向こうを見る。

 私も相槌を返しながら、そのままイーサン様が近づいてきたらどうなっていた?と胸の高まりが抑えられなかった。

 しばらく洞窟を見て戻る途中も手はずっと繋がれていて、外に出た時に手を離しイーサン様にお礼をいうと、

 「いや、…アイシャ、俺に敬語は使わなくていい、そのほうが嬉しかった」
 とイーサン様はそっぽを向いていう。

 「そう?ですか?でも、なかなか敬語は抜けません…」
 と返すとイーサン様は徐々に、と微笑んだ。

 帰り道は話しながら馬をゆっくり歩かせる。

 イーサン様から、今度の舞踏会はエスコートは決まっているのか聞かれる。

 今回もキースにエスコートをお願いしているのでそう答えると、残念そうにそうか、と言われ、それから当たり障りのない会話をして帰途に着いた。
 
 自分の部屋で今日のことを思い返し、イーサン様、エスコートをしたかった?だからあんな事を?そう思うと私の胸がまたドキドキと高鳴るのだった。
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