婚約破棄された引きこもり令嬢は、モフモフを愛でたい。~え?そのモフモフが辺境伯様?求婚されても困ります。私が好きなのはモフモフですからっ!?
春乃紅葉@コミカライズ2作品公開中〜
文字の大きさ
大中小
24 / 53
24
しおりを挟む
「あのー。お二人はどの様な関係なのか良く分からないのですが……動物好きだと仰るなら兄様とピッタリじゃないですか」
私とアルトゥールを不思議そうに交互に見やると、ユスは微笑んでそう言った。
「どうして?」
「兄様は自然を守る為に尽力されてきた方なので。――ここだけの話ですが。実はこの国、攻め落とすつもりなんです。国土が小さいのは分かりますが、最近、森や動物を急速に排除してますよね。ウチの国の森の生態系も迷惑してまして。そういう国、許せない人なんですよ。亡くなった母上が動物大好きだった影響なんですけど」
「そ、そうなの?」
「ベリス侯爵領の森は好きだ。それに、侵略に関してはファウスティーナ様と話が付いている。ユスがここにいるってことは、辺境侵略は休息中か?」
「はい。叔父上は無気力将軍ですから。兄上は隣国の調査へ行かれたということにしてあります。久しぶりの休暇だと、皆、喜んでましたよ」
無気力将軍って何よ。
色々ツッコミどころが多過ぎて良く分からないわ。
「そうか。あまり気は進まないが、一度叔父上に会いに行く。この呪いについて話を聞きたい。エヴァ。一緒に来てくれないか? 上手く行けば、俺は人にも狼にもなれるかもしれない」
「そ、そんなこと言われても……私は……」
「返事は直ぐでなくていい。ゆっくり考えてくれ」
「へぇー。兄様、優しぃ~」
「ユス。俺はいつも優しいだろ」
「は、はい。……そうだ。ベリス侯爵様にご挨拶してもいいですか? 俺、多分また迷子になるんで、帰る時は兄様と一緒がいいんです!」
それって。君も居候させろってことかしら?
◇◇
父にユスを紹介して、数秒しか経っていないのだけれど――何故か二人は抱き合って涙を流している。
「今日から君は私の義理の息子だ!」
「お義父様ぁっ」
感動的? な雰囲気なのだけれど。
つい冷めた目でみてしまう。
ユスは父に言った。両親を早くに亡くしてしまい寂しい思いをしていた、と。
それから、自分の婚約者の両親は、次男坊である自分に娘を嫁がせることをあまり良く思っていない、と。
そして、俯いて恥ずかしそうに……。
「お、お義父様って呼んでもいいですか?」
「きゅん。ももももも勿論だとも!!」
お父様がきゅんってした。
この兄弟、もう何ヵ月でも家に居候しそうだ。
腰を痛めて部屋で横になっていた母も、ユスと会ったら痛みを忘れたそうだ。
都合の良い身体ですこと。
私の両親はロドリゲス家に弱いみたい。
みんなチョロ過ぎよ。
その夜。いつものようにダリアがマッサージをしてくれている時に、アルトゥールが部屋へやって来た。
「エヴァ。ちゃんと寝る前のケアは済んだか?」
「はいはい。やってますよー」
「そうか。じゃあ、俺はユスと客室で休むから、早く寝るんだぞ」
でた。小舅モード。
さっさと弟の所に戻りなさいよ。
今日からアルトゥールはユスと一緒の客室で寝泊まりすることになった。
ダリアが、ユスの為に客室をひと部屋用意したと伝えると、ユスは兄と隣の客室がいいとごねり、アルトゥールに客室は用意していないとダリアが意味深な笑みを浮かべて伝えると、久々に兄と同じ部屋で寝られる、と子どものように喜んだからだ。
「子どもじゃないんだから。ちゃんと寝るわよっ」
「ははっ。それなら良かった。おやすみ、エヴァ」
アルトゥールは安心した笑みを溢すと去っていった。
「まぁ。お嬢様。寂しいからってご機嫌斜めですか?」
「ダリア。このベッドを久々に一人で使えるのよ。上機嫌に決まっているわ!」
「そうですか。では、私も失礼しますね。おやすみなさいませ」
ダリアもいなくなり、部屋が静けさに包まれた。
静かすぎて落ち着かない。
ベッドの何処に足を伸ばしても、何の障害物も……温もりもない。
「わぁ~。広くて自由だわぁ」
私の声が、虚しく部屋を彷徨う。
「自由って……何だったかしら……」
ずっと怖いことから目を背けて、好きなことばかりして過ごしてきた。
それが私の自由だったのに。
何かが物足りない。
そう感じてしまうのは、何故かしら。
私とアルトゥールを不思議そうに交互に見やると、ユスは微笑んでそう言った。
「どうして?」
「兄様は自然を守る為に尽力されてきた方なので。――ここだけの話ですが。実はこの国、攻め落とすつもりなんです。国土が小さいのは分かりますが、最近、森や動物を急速に排除してますよね。ウチの国の森の生態系も迷惑してまして。そういう国、許せない人なんですよ。亡くなった母上が動物大好きだった影響なんですけど」
「そ、そうなの?」
「ベリス侯爵領の森は好きだ。それに、侵略に関してはファウスティーナ様と話が付いている。ユスがここにいるってことは、辺境侵略は休息中か?」
「はい。叔父上は無気力将軍ですから。兄上は隣国の調査へ行かれたということにしてあります。久しぶりの休暇だと、皆、喜んでましたよ」
無気力将軍って何よ。
色々ツッコミどころが多過ぎて良く分からないわ。
「そうか。あまり気は進まないが、一度叔父上に会いに行く。この呪いについて話を聞きたい。エヴァ。一緒に来てくれないか? 上手く行けば、俺は人にも狼にもなれるかもしれない」
「そ、そんなこと言われても……私は……」
「返事は直ぐでなくていい。ゆっくり考えてくれ」
「へぇー。兄様、優しぃ~」
「ユス。俺はいつも優しいだろ」
「は、はい。……そうだ。ベリス侯爵様にご挨拶してもいいですか? 俺、多分また迷子になるんで、帰る時は兄様と一緒がいいんです!」
それって。君も居候させろってことかしら?
◇◇
父にユスを紹介して、数秒しか経っていないのだけれど――何故か二人は抱き合って涙を流している。
「今日から君は私の義理の息子だ!」
「お義父様ぁっ」
感動的? な雰囲気なのだけれど。
つい冷めた目でみてしまう。
ユスは父に言った。両親を早くに亡くしてしまい寂しい思いをしていた、と。
それから、自分の婚約者の両親は、次男坊である自分に娘を嫁がせることをあまり良く思っていない、と。
そして、俯いて恥ずかしそうに……。
「お、お義父様って呼んでもいいですか?」
「きゅん。ももももも勿論だとも!!」
お父様がきゅんってした。
この兄弟、もう何ヵ月でも家に居候しそうだ。
腰を痛めて部屋で横になっていた母も、ユスと会ったら痛みを忘れたそうだ。
都合の良い身体ですこと。
私の両親はロドリゲス家に弱いみたい。
みんなチョロ過ぎよ。
その夜。いつものようにダリアがマッサージをしてくれている時に、アルトゥールが部屋へやって来た。
「エヴァ。ちゃんと寝る前のケアは済んだか?」
「はいはい。やってますよー」
「そうか。じゃあ、俺はユスと客室で休むから、早く寝るんだぞ」
でた。小舅モード。
さっさと弟の所に戻りなさいよ。
今日からアルトゥールはユスと一緒の客室で寝泊まりすることになった。
ダリアが、ユスの為に客室をひと部屋用意したと伝えると、ユスは兄と隣の客室がいいとごねり、アルトゥールに客室は用意していないとダリアが意味深な笑みを浮かべて伝えると、久々に兄と同じ部屋で寝られる、と子どものように喜んだからだ。
「子どもじゃないんだから。ちゃんと寝るわよっ」
「ははっ。それなら良かった。おやすみ、エヴァ」
アルトゥールは安心した笑みを溢すと去っていった。
「まぁ。お嬢様。寂しいからってご機嫌斜めですか?」
「ダリア。このベッドを久々に一人で使えるのよ。上機嫌に決まっているわ!」
「そうですか。では、私も失礼しますね。おやすみなさいませ」
ダリアもいなくなり、部屋が静けさに包まれた。
静かすぎて落ち着かない。
ベッドの何処に足を伸ばしても、何の障害物も……温もりもない。
「わぁ~。広くて自由だわぁ」
私の声が、虚しく部屋を彷徨う。
「自由って……何だったかしら……」
ずっと怖いことから目を背けて、好きなことばかりして過ごしてきた。
それが私の自由だったのに。
何かが物足りない。
そう感じてしまうのは、何故かしら。
14
あなたにおすすめの小説
【完結】王太子に婚約破棄され、父親に修道院行きを命じられた公爵令嬢、もふもふ聖獣に溺愛される〜王太子が謝罪したいと思ったときには手遅れでした
まほりろ
恋愛
【完結済み】
公爵令嬢のアリーゼ・バイスは一学年の終わりの進級パーティーで、六年間婚約していた王太子から婚約破棄される。
壇上に立つ王太子の腕の中には桃色の髪と瞳の|庇護《ひご》欲をそそる愛らしい少女、男爵令嬢のレニ・ミュルべがいた。
アリーゼは男爵令嬢をいじめた|冤罪《えんざい》を着せられ、男爵令嬢の取り巻きの令息たちにののしられ、卵やジュースを投げつけられ、屈辱を味わいながらパーティー会場をあとにした。
家に帰ったアリーゼは父親から、貴族社会に向いてないと言われ修道院行きを命じられる。
修道院には人懐っこい仔猫がいて……アリーゼは仔猫の愛らしさにメロメロになる。
しかし仔猫の正体は聖獣で……。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
・ざまぁ有り(死ネタ有り)・ざまぁ回には「ざまぁ」と明記します。
・婚約破棄、アホ王子、モフモフ、猫耳、聖獣、溺愛。
2021/11/27HOTランキング3位、28日HOTランキング2位に入りました! 読んで下さった皆様、ありがとうございます!
誤字報告ありがとうございます! 大変助かっております!!
アルファポリスに先行投稿しています。他サイトにもアップしています。
婚約破棄までの168時間 悪役令嬢は断罪を回避したいだけなのに、無関心王子が突然溺愛してきて困惑しています
みゅー
恋愛
アレクサンドラ・デュカス公爵令嬢は舞踏会で、ある男爵令嬢から突然『悪役令嬢』として断罪されてしまう。
そして身に覚えのない罪を着せられ、婚約者である王太子殿下には婚約の破棄を言い渡された。
それでもアレクサンドラは、いつか無実を証明できる日が来ると信じて屈辱に耐えていた。
だが、無情にもそれを証明するまもなく男爵令嬢の手にかかり最悪の最期を迎えることになった。
ところが目覚めると自室のベッドの上におり、断罪されたはずの舞踏会から1週間前に戻っていた。
アレクサンドラにとって断罪される日まではたったの一週間しか残されていない。
こうして、その一週間でアレクサンドラは自身の身の潔白を証明するため奮闘することになるのだが……。
甘めな話になるのは20話以降です。
婚約破棄!?なんですって??その後ろでほくそ笑む女をナデてやりたい位には感謝してる!
まと
恋愛
私、イヴリンは第一王子に婚約破棄された。
笑ってはダメ、喜んでは駄目なのよイヴリン!
でも後ろでほくそ笑むあなたは私の救世主!
【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます
よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」
婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。
「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」
「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」
両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。
お姉様からは用が済んだからと捨てられます。
「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」
「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」
ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。
唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。
ここから私の人生が大きく変わっていきます。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
大魔法使いは、人生をやり直す~婚約破棄されなかった未来は最悪だったので、今度は婚約破棄を受け入れて生きてみます~
キョウキョウ
恋愛
歴史に名を残す偉業を数多く成し遂げた、大魔法使いのナディーン王妃。
彼女の活躍のおかげで、アレクグル王国は他国より抜きん出て発展することが出来たと言っても過言ではない。
そんなナディーンは、結婚したリカード王に愛してもらうために魔法の新技術を研究して、アレクグル王国を発展させてきた。役に立って、彼に褒めてほしかった。けれど、リカード王がナディーンを愛することは無かった。
王子だったリカードに言い寄ってくる女達を退け、王になったリカードの愛人になろうと近寄ってくる女達を追い払って、彼に愛してもらおうと必死に頑張ってきた。しかし、ナディーンの努力が実ることはなかったのだ。
彼は、私を愛してくれない。ナディーンは、その事実に気づくまでに随分と時間を無駄にしてしまった。
年老いて死期を悟ったナディーンは、準備に取り掛かった。時間戻しの究極魔法で、一か八か人生をやり直すために。
今度はリカードという男に人生を無駄に捧げない、自由な生き方で生涯を楽しむために。
逆行して、彼と結婚する前の時代に戻ってきたナディーン。前と違ってリカードの恋路を何も邪魔しなかった彼女は、とあるパーティーで婚約破棄を告げられる。
それから紆余曲折あって、他国へ嫁ぐことになったナディーン。
自分が積極的に関わらなくなったことによって変わっていく彼と、アレクグル王国の変化を遠くで眺めて楽しみながら、魔法の研究に夢中になる。良い人と出会って、愛してもらいながら幸せな人生をやり直す。そんな物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる