婚約破棄された引きこもり令嬢は、モフモフを愛でたい。~え?そのモフモフが辺境伯様?求婚されても困ります。私が好きなのはモフモフですからっ!?
春乃紅葉@コミカライズ2作品公開中〜
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番外編 結婚式前日2
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「見切ったわっ!!」
ヘレナさんはそう叫ぶと、その黒い影にハンマーを振り下ろし弾き飛ばした。その影は数メートル吹っ飛び、枝をメキメキとへし折りながら地面に叩きつけられた。
本当に強いのね。護衛も要らないって誰もが言うはずだわ。
私が感心していると、ヘレナさんは黒い獣のようなものに駆け寄り驚きの声を上げた。
「エヴァ様っ。珍しい獣です! ロープで縛ったので近くでご覧になりますか?」
「ええ。何かしら。……ぇっ?」
黒い獣は狼だった。
あれだけ派手に殴り飛ばされたのに、頭から血を流しながらも、琥珀色の瞳でじっとこちらを睨んでいる。
口と手足を縛られているが、暴れる素振りもない。
大きくてモフモフで、昔、私を助けれくれた狼そっくりだった。
「今、治してあげるわ」
「なんと慈悲深いのでしょう。ですが、野生の狼は危険ですから、縄はほどかないでくださいね」
「大丈夫よ。この子は襲ってきたりなんかしないわ。ね?」
私はロープをほどき首の辺りを撫でた。
黒狼は嬉しそうにクゥンと鼻を鳴らして立ち上がると、くるっとヘレナさんへ目を向け……ビクッと震え上がり全身の毛を逆立てた。
ヘレナさんがハンマーを掲げ、今にも黒狼に振り下ろそうとしていたのだ。
「エヴァ様。ロープを取ったら危険ですわ。エヴァ様に何かあったら、皆さんに何とお伝えしたらよいか。……どうかその獣から手を離して下がってくださいませ」
「ま、待って。ヘレナさんっ」
私が黒狼を庇ってヘレナさんの前に立ちはだかると、黒狼はその隙に森の中へと逃げていった。
「あっ。逃げられましたわっ」
「これでよかったのよ。森へ帰ったのだから。……ねぇ。この国には、黒い狼はたくさんいるの?」
「そう言われてみると……。初めて見ましたわ」
「私、小さい頃に誘拐された時、黒い狼に助けてもらったの。さっきの子とそっくりな琥珀色の瞳の狼だったわ」
「そうなのですか。狼の事ならユストゥス様の叔父上が詳しいので、一度訪ねられると良いかと存じますわ」
「叔父様ね……」
その叔父様には、一度だけお会いしている。
右目を眼帯で覆った物凄く強面の方で、ユストゥスは無気力将軍と呼んていたけれど、歴戦を潜り抜けてきた大将軍といった印象の方だった。
アルトゥールとは馬が合わないらしく、会った瞬間から凄み合っていて私は震え上がってしまった。
ユストゥスに対しても威圧的な方だったけれど、何故かユストゥスは叔父様に懐いていて、理解できなかった。
「見た目も気配も性格も威圧的で厳格な方ですけれど、その刺々しさが癖になるってユストゥス様は仰っていましたわ。叔父様もユストゥス様をお気に入りだそうです」
益々意味不明ではあるけれど、ユストゥスは父とも一瞬で打ち解けていたし、叔父様キラーなのかもしれない。
「エヴァっ」
「アルトゥール?」
名前を呼ばれて振り返ると、馬に乗ったアルトゥールがいた。珍しく慌てた様子だ。
「ユスと会ったか?」
「いいえ。会っていないわ。……黒い狼なら来たけれど……もしかして」
「ああ、その黒い狼が……ユスなんだ」
「ぇぇぇぇぇぇぇっ!? 思いっきり殴り飛ばしてしまいましたわっ」
ヘレナさんは持っていたハンマーを地面に落とし、自身もその場に崩れ落ちた。ハンマーが地面にめり込んだところは、見なかったことにした。
「やはり……。二人は先に屋敷へ戻っていてくれ。話は後程」
アルトゥールは言い終わると、馬を走らせ森へと消えていった。
ヘレナさんはそう叫ぶと、その黒い影にハンマーを振り下ろし弾き飛ばした。その影は数メートル吹っ飛び、枝をメキメキとへし折りながら地面に叩きつけられた。
本当に強いのね。護衛も要らないって誰もが言うはずだわ。
私が感心していると、ヘレナさんは黒い獣のようなものに駆け寄り驚きの声を上げた。
「エヴァ様っ。珍しい獣です! ロープで縛ったので近くでご覧になりますか?」
「ええ。何かしら。……ぇっ?」
黒い獣は狼だった。
あれだけ派手に殴り飛ばされたのに、頭から血を流しながらも、琥珀色の瞳でじっとこちらを睨んでいる。
口と手足を縛られているが、暴れる素振りもない。
大きくてモフモフで、昔、私を助けれくれた狼そっくりだった。
「今、治してあげるわ」
「なんと慈悲深いのでしょう。ですが、野生の狼は危険ですから、縄はほどかないでくださいね」
「大丈夫よ。この子は襲ってきたりなんかしないわ。ね?」
私はロープをほどき首の辺りを撫でた。
黒狼は嬉しそうにクゥンと鼻を鳴らして立ち上がると、くるっとヘレナさんへ目を向け……ビクッと震え上がり全身の毛を逆立てた。
ヘレナさんがハンマーを掲げ、今にも黒狼に振り下ろそうとしていたのだ。
「エヴァ様。ロープを取ったら危険ですわ。エヴァ様に何かあったら、皆さんに何とお伝えしたらよいか。……どうかその獣から手を離して下がってくださいませ」
「ま、待って。ヘレナさんっ」
私が黒狼を庇ってヘレナさんの前に立ちはだかると、黒狼はその隙に森の中へと逃げていった。
「あっ。逃げられましたわっ」
「これでよかったのよ。森へ帰ったのだから。……ねぇ。この国には、黒い狼はたくさんいるの?」
「そう言われてみると……。初めて見ましたわ」
「私、小さい頃に誘拐された時、黒い狼に助けてもらったの。さっきの子とそっくりな琥珀色の瞳の狼だったわ」
「そうなのですか。狼の事ならユストゥス様の叔父上が詳しいので、一度訪ねられると良いかと存じますわ」
「叔父様ね……」
その叔父様には、一度だけお会いしている。
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アルトゥールとは馬が合わないらしく、会った瞬間から凄み合っていて私は震え上がってしまった。
ユストゥスに対しても威圧的な方だったけれど、何故かユストゥスは叔父様に懐いていて、理解できなかった。
「見た目も気配も性格も威圧的で厳格な方ですけれど、その刺々しさが癖になるってユストゥス様は仰っていましたわ。叔父様もユストゥス様をお気に入りだそうです」
益々意味不明ではあるけれど、ユストゥスは父とも一瞬で打ち解けていたし、叔父様キラーなのかもしれない。
「エヴァっ」
「アルトゥール?」
名前を呼ばれて振り返ると、馬に乗ったアルトゥールがいた。珍しく慌てた様子だ。
「ユスと会ったか?」
「いいえ。会っていないわ。……黒い狼なら来たけれど……もしかして」
「ああ、その黒い狼が……ユスなんだ」
「ぇぇぇぇぇぇぇっ!? 思いっきり殴り飛ばしてしまいましたわっ」
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「やはり……。二人は先に屋敷へ戻っていてくれ。話は後程」
アルトゥールは言い終わると、馬を走らせ森へと消えていった。
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「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
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