異世界に転生だと!? やったったぜ!!!

松ぼっくり

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夢の異世界編

やったったぜ!!!! 冒険者:名無しの権兵衛

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「いいいいいいいいいいい!?」

引っ張られる感覚が無くなり、温かい日差しを瞼に感じそっと開くとそこは、異世界だった。
叫びは驚きへと変わり、辺りを見回した。
影がある。当たり前のことだがあの空間に影が無いのが不気味だったせいで、今の状況にほっとした。

「うおおおおおおおおすっげええええええええええここが異世界かあ!!」

見渡す限りの草原、空気がとっても美味しい。ガスの変な匂いが全然しない。
そして空は形容しがたい変な鳥が飛んでいる。いいや鳥と言っていいのだろうか、もう分からなかった。

「うぉっし!!やることはただ一つ!」

気合を入れ、両手を空に掲げる。

「この手が真っ赤に燃える!!紅蓮の火がこの手に集まるぅ!!必殺、バーニングファイアアアアアアア!!!」

と、傍から見れば痛い呪文を平気で唱える。周囲に人が居ないのが救いだろう。
この少年はこの草原が焼け野原に変える程の威力がある炎を出したかったのだろう。しかし、声が木霊するだけで手からは何も出ず、不発に終わってしまった。

「なぜだあああああああああああああああああああああ!!ぬうううううううううううううううん出ろおおおおおおおおおおおお!!!」

今度は腰に手を溜める。

「かめは〇波ぁぁあああああああああああああ!!!!」

一気に前へと突き出し何か出るかと思えば、何も出なかった。

「ぬうううううううううううう!!!あのチュートリアル嘘吐いたな!!くそったれええええええええええええ!!」

悔しさのあまり草原に跪き、拳を草原へと叩き付ける。
とてもふかふかして柔らかい栄養のありそうな草だ。しかし次の瞬間、拳から爆発音がした。続いて自分が跪いた場所を中心に隕石が降った後の馬鹿でかいクレーターが出来上がった。自分の恐ろしい力に間抜けな声を出し、あのメッセージウインドウがくれた能力はまやかしではないと安心した。

「力はある、ってことは魔法の仕組みが異なってるって事か…」

折角魔法を使いたい放題できる数値にしたというのに、思い描いていた魔法が異世界の魔法とは異なるようだ。それもそうか、「異」が付いてるんだもん。そう簡単にできるはずがないか。
草が吹っ飛び、ただのクレーターと化した場所から草の生えている所まで移動し、再び寝転がった。

「俺、寝転がる事しかやってねえじゃん…」

もうこうして寝るだけでも異世界に来たかいがある気がした。だが、こうしてはいられないのだ少年は。
夢だった異世界へ来たのだ。魔法を使って俺なんかやっちゃったかととぼけて自信満々だった王宮騎士団のクソッタレ共を驚愕させたい。魔物に襲われてピンチな可愛い女の子(エルフでも獣耳、亜人可)を助けて惚れさせたい。そんでいちゃいちゃしたい。異世界ではめちゃんこ可愛いエルフが奴隷にされているのが定番だから救ってみたい。

(王宮騎士…、王様……王国…、そうだよ!これだ、王様が存在するなら町が必ずどっかにあるって事だ!)

こんな広い草原でどっちへ行ってどこへ行けば町へ行けるか分からないが、クレーターを作る程の力を得たのなら空高くジャンプして町を探せばいいのだ。腕力が強化されたなら脚力もされているはず。
そうと決まれば寝転がってはいられない。すぐに立ち上がり屈伸する。怪我を負う可能性があるから準備運動は必要だ。しかし強化されているなら傷一つ付かないはず。気にするのはやはり人間の性というものなのだろう。

「行くぞおおおおおおおおおおおお全速前進だあああああああああああああああああああ!!」


屈伸の要領でそのまま屈み、ググッと力を溜めに溜めて開放する。
目の前の景色が草原から真っ青な景色へと変わった。成功したのだ、今少年は上空に居る。
居るには居る。だが、

「やべえ飛びすぎ―――」

黒と青の境目がこの目で見えた。一瞬にして成層圏へと移動してしまったのだ。
大気の色が宇宙に溶けるとはこういうことなのか、地球は青かったのかと感心した。
ほんの少し飛んで確認したかったのだが、これでは地球儀を見るようだ。異世界とあって、緑がたくさんあり地形が元居た世界と全く異なっている。
肝心の町がこれでは見えない。
この景色を見て感動しただけでも異世界に来たかいがあった。
後は重力に従って落ちていくだけ。

「のわあああああああああああああああああああああああ!!!?」

初めの内は良かった。ゆっくり落ちていく妙な感覚が良かった。
数秒後にはもう姿勢を保てなくなり脚と手をバタババタさせ何とかしようと頑張った。人間は少しでも浮かせようと漫画みたいに無駄な抵抗するんだと思った。その行動が裏目に出、暴れたせいで上下左右が把握できずどの方向に回転してしまっているのかもう滅茶苦茶であった。

「風の精霊さああああああああああんなんとかしてえええええええええええ!!!」

こういう時は精霊の力を借りて風を起こしてもらって、浮遊させるのが定番だ。だが一向に風は少年の味方をしてくれない。風のクッションも作ってくれない。ただただ堕ちていくだけであった。

「うわあああああああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおお何でよおおおおおおおおおおおおおお!!!」

回転してグチャグチャの景色がいよいよ、緑と黄と白になった。どっかの村へ落ちていく途中だ。
何があらすじの無敵超人になって出発進行なのだろうか。
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