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042☆王立学園どきどき入学危機一髪④
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そして本番三秒前……、視線が突き刺さるわ突き刺さるわ。
私の目の前にはジョセフィーヌ様。何故か隣にはマザーテレジア……って何でやねん!!!このテーブル死地かよ?
特別待遇にしてもあまりにもあんまりな……罰ゲームかなこれ。そして語彙力。
「なんて素晴らしい。テレーゼ様もそう思いませんか?」
「ええ、ジョー。これは逸材ですわ」
扇を広げて怜悧な美貌で──主に少女と幼女の座高の関係で──私を見おろすジョセフィーヌ様と隣から美少女顔なのに瞳孔開いたマザーテレジアのガン見はマジ怖い。
「その、マザーテレジア……作法は、私の作法は如何でしたか?」
引き攣りそうな顔をこの何度目なのか分からない人生を総動員させて微笑んでみせる。なんて立派なの私!自分を自分で褒めて鼓舞するしかないのよ。
「テレーゼ」
「はい?」
「私の事はテレーゼと呼んで頂戴」
「いえ、あのマザーテレジア?」
「テレーゼよ。私もアリーと呼んでも?」
ああ、これいつかの突撃お庭のお茶会でもあったヤツ、呼ぶまで繰り返されるだろうソレ。間違うことなき叔母甥だわ……と変な所で感心してしまう。
こんな時に思い出した王太子殿下は良い結界になりそうとか思いながら、なにやらあの殿下が恋しいなんて、私今相当オカシイみたい。
「……てれーぜ様」
ふふふ、諦めるって大事。この人達……王族には私の常識は通用しない。寧ろ自分が法ってくらいは思ってそうだもの。
「アリー、是非とも私達のデザインしたドレスを着ていただきたいの!!!」
ん?
"達"……?
あら、ヤダ。ちょっとそこの奥さん今、"たち"って聞こえませんでした。
「テレーゼ様っ!帝国で流行している猫耳のヘッドドレスとナイトドレスも捨てがたいのではっ?!」
「そうね、私はたいそうぎにぶるまーが捨てがたいですわ」
WHY?ネコ耳とかブルマとか言いませんでした?
まっさかぁ、もしかして帝国に転生した人がいるの?
「こんなデザインはどうでしょう?」
「あら、ここはこの方がよろしくてよ」
「まさかエリシア様にモデルをお願いするわけにいきませんものね」
聞きたい……けど、聞けない。ジョセフィーヌ様は何をデッサンしていらっしゃるのかしら?そしてマザーテレジアは何を添削していらっしゃるのかしら?
遠い目をした私をさて置き、他のテーブルは普通にお茶会が進んでいる。いーなぁー。私も普通にご令嬢方とお茶とお話がしたい。……なんで私の周りの人は一周回って逆立ちしたような人しかいないのかしら?
うふふ、この紅茶とお菓子美味しいな~。現実逃避しているとざわめきが耳に届く。カッコいい?何が?麗しい?だから、何が?!
「シア、迎えに来た」
「で、殿下っ!」
現実逃避していたらいつの間にやら授業が終わる時間で、剣術の授業を終わらせた王太子殿下は私を迎えに来て下さったらしい。
ああ、ようやく寮に帰るんですね!ようやっと安らげる……
「……シア」
「……お迎えに来て下さって嬉しいですわ、ウィリアム様」
抱き上げられて安心するなんて、屈辱なのに。これでようやくジョセフィーヌ様とマザーテレジアから逃げられる!嬉しさからなんか殿下を名前で呼んでみる。
「アリー、試着を楽しみにお針子を総動員させて仕上げますわ!ご機嫌よう」
…………にげられなかった。ははは。
********************
「……と、言うのがお茶会の顛末よ」
「くふっ、ぷふ……」
「ギルバート様、私のひん剥かれる危機がそんなに面白いかしら?」
ひん剥かれてネコ耳とかブルマとか着せ替えされるかもしれない恐怖!!!ギルバート様もあの戦々恐々な空間を味わってみれば良いのよ……
「あっ、でもあのフェアリーの服がデザインから縫製までアリーの為だけに作られるんなら僥倖じゃない?」
「まさか……」
「多分というか確実にフェアリーのデザイナーはマザーテレジアとジョセフィーヌ様だと思うよ」
「…………私、薔薇と妖精シリーズをオーダー待ちしているわ」
薔薇の繊細なレースを使ったドレスはとても人気で予約待ちなのよね。それをあの変た……目を見開いて血走らせた二人がデザインしてるなんて。
「ああ、どうせ予約でいっぱいで何年後になるか分からないからってリナリーは花嫁衣装をオーダー待ちしていたよ」
「……リア充滅びろ」
本当の危機一髪はあの二人に延々と着せ替え人形にされる事ではなく、どこの信奉者というか信者もオソロシイってあの時の私に教えてあげたいとつくづく思う。
鉄錆の臭いと凍てつく身体に、絶望すら越えてどうかこの世界が巻き戻りますようにと──……
それだけを願った。
……それが最期の記憶。
私の目の前にはジョセフィーヌ様。何故か隣にはマザーテレジア……って何でやねん!!!このテーブル死地かよ?
特別待遇にしてもあまりにもあんまりな……罰ゲームかなこれ。そして語彙力。
「なんて素晴らしい。テレーゼ様もそう思いませんか?」
「ええ、ジョー。これは逸材ですわ」
扇を広げて怜悧な美貌で──主に少女と幼女の座高の関係で──私を見おろすジョセフィーヌ様と隣から美少女顔なのに瞳孔開いたマザーテレジアのガン見はマジ怖い。
「その、マザーテレジア……作法は、私の作法は如何でしたか?」
引き攣りそうな顔をこの何度目なのか分からない人生を総動員させて微笑んでみせる。なんて立派なの私!自分を自分で褒めて鼓舞するしかないのよ。
「テレーゼ」
「はい?」
「私の事はテレーゼと呼んで頂戴」
「いえ、あのマザーテレジア?」
「テレーゼよ。私もアリーと呼んでも?」
ああ、これいつかの突撃お庭のお茶会でもあったヤツ、呼ぶまで繰り返されるだろうソレ。間違うことなき叔母甥だわ……と変な所で感心してしまう。
こんな時に思い出した王太子殿下は良い結界になりそうとか思いながら、なにやらあの殿下が恋しいなんて、私今相当オカシイみたい。
「……てれーぜ様」
ふふふ、諦めるって大事。この人達……王族には私の常識は通用しない。寧ろ自分が法ってくらいは思ってそうだもの。
「アリー、是非とも私達のデザインしたドレスを着ていただきたいの!!!」
ん?
"達"……?
あら、ヤダ。ちょっとそこの奥さん今、"たち"って聞こえませんでした。
「テレーゼ様っ!帝国で流行している猫耳のヘッドドレスとナイトドレスも捨てがたいのではっ?!」
「そうね、私はたいそうぎにぶるまーが捨てがたいですわ」
WHY?ネコ耳とかブルマとか言いませんでした?
まっさかぁ、もしかして帝国に転生した人がいるの?
「こんなデザインはどうでしょう?」
「あら、ここはこの方がよろしくてよ」
「まさかエリシア様にモデルをお願いするわけにいきませんものね」
聞きたい……けど、聞けない。ジョセフィーヌ様は何をデッサンしていらっしゃるのかしら?そしてマザーテレジアは何を添削していらっしゃるのかしら?
遠い目をした私をさて置き、他のテーブルは普通にお茶会が進んでいる。いーなぁー。私も普通にご令嬢方とお茶とお話がしたい。……なんで私の周りの人は一周回って逆立ちしたような人しかいないのかしら?
うふふ、この紅茶とお菓子美味しいな~。現実逃避しているとざわめきが耳に届く。カッコいい?何が?麗しい?だから、何が?!
「シア、迎えに来た」
「で、殿下っ!」
現実逃避していたらいつの間にやら授業が終わる時間で、剣術の授業を終わらせた王太子殿下は私を迎えに来て下さったらしい。
ああ、ようやく寮に帰るんですね!ようやっと安らげる……
「……シア」
「……お迎えに来て下さって嬉しいですわ、ウィリアム様」
抱き上げられて安心するなんて、屈辱なのに。これでようやくジョセフィーヌ様とマザーテレジアから逃げられる!嬉しさからなんか殿下を名前で呼んでみる。
「アリー、試着を楽しみにお針子を総動員させて仕上げますわ!ご機嫌よう」
…………にげられなかった。ははは。
********************
「……と、言うのがお茶会の顛末よ」
「くふっ、ぷふ……」
「ギルバート様、私のひん剥かれる危機がそんなに面白いかしら?」
ひん剥かれてネコ耳とかブルマとか着せ替えされるかもしれない恐怖!!!ギルバート様もあの戦々恐々な空間を味わってみれば良いのよ……
「あっ、でもあのフェアリーの服がデザインから縫製までアリーの為だけに作られるんなら僥倖じゃない?」
「まさか……」
「多分というか確実にフェアリーのデザイナーはマザーテレジアとジョセフィーヌ様だと思うよ」
「…………私、薔薇と妖精シリーズをオーダー待ちしているわ」
薔薇の繊細なレースを使ったドレスはとても人気で予約待ちなのよね。それをあの変た……目を見開いて血走らせた二人がデザインしてるなんて。
「ああ、どうせ予約でいっぱいで何年後になるか分からないからってリナリーは花嫁衣装をオーダー待ちしていたよ」
「……リア充滅びろ」
本当の危機一髪はあの二人に延々と着せ替え人形にされる事ではなく、どこの信奉者というか信者もオソロシイってあの時の私に教えてあげたいとつくづく思う。
鉄錆の臭いと凍てつく身体に、絶望すら越えてどうかこの世界が巻き戻りますようにと──……
それだけを願った。
……それが最期の記憶。
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