僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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スケベな友人が泥酔お姉さんのせいでまともになる件

14話

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バイクは再び木曽の渓谷をひたすら川を遡上するように登っていく、こうして見ると…木曽という地域は川を中心に谷を形成されているので巨大なU字溝を彷彿とさせるようだった。

現在時刻は14時、このまま飛ばせば夕方までには帰れそうなのだが……。

「れんれーん!お腹すいた!」
「…さっき温玉ソフト食ったばっかでしょ。」
「いや!?アレおやつだよ!ご飯にカウントしないでよ!」

笛吹さんが俺の後ろでギャーギャー騒いでいる。
まるでお腹を空かせた赤子のように。

確かに俺達は起きてからすぐ旅館を出てしまったし、足湯カフェで温玉ソフトしか食ってないので気がついたらお腹が空腹を鳴らしていた。

「ほら!れんれんだってお腹すいてるじゃん!どっかないの!?」
「いや、むちゃ言わないでくださいよ。バイクでググれる訳ないですから。」
「じゃあ、私が指定したとこにしよう!」

……それも不安である。
どうやら、夕方までに帰るのはほとんど不可能みたいだった。
とはいえ、こちらも急ぎの旅ではない。
高低差のある道のりで、周辺を探すのだけど…木曽はマジで道の駅ばっかでコンビニは愚か飲食店か判別できるところがあまり無かった。

そして、突然笛吹さんは別の方向へと指を指す。

「れんれん!あそこにしよう!」
「は、はい。」

林の茂みが途中で辺りを覆うとその先に飲食店があった。俺はスピードを落としウィンカーをつけて左折する。
降りてみると…確かにそこは飲食店であった。

「よくわかりましたね、俺の動体視力じゃ分からなかったですよ。」
「覚えてたんだよ、行く途中でお店とかエリアとか!」

これは驚いた、見つけたのではなく記憶してたとすると、やはり彼女の天才差の片鱗がここにも出ているのだ。
俺なんか、なんとなくの道でしか無かったのに。

「まあいいや、入りますか。」
「ちょ!?……もー、素っ気ないな。」

シャララン

お店に入るとドアの裏の鐘が子気味良く音を鳴らす。
外装では分からなかったのだが、内装はバーカウンターのようなものがあったり、木で出来たオシャレな飲食店であった。

高級レストランのような雰囲気だけでなく、窓の上には手書きのメニューが書いてあり、普通のオレたちですら馴染みやすいアットホーム感にも溢れていた。

それだけで、良い店だと伺える。

「れんれん!みて~、ワカメの唐揚げだって!」
「ほえ~なんか色々あるんすね。」

居酒屋のようなニッチなメニュー、そして丼もの……それに加えてパスタも揃えてあるお店である。

食材は馬肉とか……信州サーモンなんてものもある。
どうやら地域の食べ物にもスポットを照らしていて、店主の腕や目利きの良さでさえもメニューで伺えた。

「んじゃあ、俺はスペアリブのホロホロ煮定食かな。」
「おお!私は…信州サーモンのカルパッチョとマルゲリータとチーズパスタと…後はブルーベリーのジンモヒート!」
「いや!めっちゃ頼むな!?お酒も入ってるし…。」

どうやら、笛吹さんは食欲とアルコール欲に溢れていた。
とはいえ、泥酔ではないのでこの当たりなら寧ろ健康に良いレベルなのかもしれない。

店員さんに注文を終えて俺達はふぅ……と一息つく。
確かに体が疲れてるし、空腹も感じていたので良い感じだった。

そして、俺はノンアルカクテル、笛吹さんはカクテルがテーブルに運ばれる。
それと共に……ワカメの唐揚げがテーブルに置かれた。

「んじゃあ、執筆完了の打ち上げとして……カンパーイ!」
「…乾杯。」

少し鼻がむず痒い感じがする。
いつか笛吹さんとこうしてお酒が飲める日が来て、その未来を前借りしてるようでもあった。
ちなみに俺はシトラストニックというものを飲んでいる。

どうやら、シトラスとはレモンだけではないみたいでほんのりとライムの香りも付いていて、それをトニックウォーターの炭酸と苦味が程よく締めている。

笛吹さんもあまりの美味しさに鼻の奥から声を漏らしていた。

そして、気になるわかめの唐揚げを口に入れると……俺達は驚愕した。

「え……れんれん……これ……。」
「…はい。」

「「めちゃくちゃうまい(っすね)!」」

まさかの1口目で俺達は舌を唸らせてしまった。
なんというか、ワカメの素朴な旨みとカリッと揚がった衣が相性良くて、塩気が程よくきいてるので食欲をそそらせる。

笛吹さんも最高のツマミだと喜んでいた。

その後も料理が運ばれるのだが、昨日のレストランに負けず劣らずのクオリティである。
俺の頼んだスペアリブのホロホロ煮なんかは、赤ワインでじっくり煮込んであるのか口に入れた瞬間豚の角煮のようにトロリと溶けていって、肉の旨味とソースの醤油ベースの味がダイレクトに舌に染み渡っていく。

笛吹さんもカルパッチョやパスタをが美味いのか一心不乱に食っていた。

「れんれん……美味しくて幸せ……。」
「いやほんと、めちゃくちゃいい店見つけましたね!」

カクテルも控えめながらきちんとハーブやフルーツが入っているので後味スッキリしてくれている。
料理とドリンク、両方とも相乗効果が出るように研究してるのかなとか感心してしまった。

気がついたら、俺達は2杯目を頼んでしまうほどだった。

「れんれんのそれ……美味しそうだね。」

すると、笛吹さんは俺のスペアリブを物欲しそうに見つめていた。


「食べます?その代わり……カルパッチョ食わしてもらいますけどね。」
「やたー!」

すると、笛吹さんはフォークとナイフで器用にスペアリブを持ち上げて、口に運ぶ。

「うまぁ……れんれん、私は幸せだよ。」

あまりのうまさに笛吹さんは頬杖を着いて満面の笑みであった。
昨日も仕事で疲れたから、それもあって嬉しさが倍増してるのかもしれない。

信州サーモンのカルパッチョも美味かった。
サーモンよりかは少し塩気が少ないけど、良質な脂身を塩とレモン……そしてディルというミントのような風味のハーブで仕上げられていて、口をスッキリさせてくれていた。

「なんか、俺幸せです……こんな時間がもっと続けばいいのにな……とか思ってしまいますよ。」

すると、笛吹さんがそれを聞いてニヤニヤ~としてこちらを見ていた。

「なに?れんれん……私ともっと一緒にいて欲しーの?」
「まあ……ええ……。」
「なに!?可愛いな~おい!おいちゃんハァハァしちゃうわい!」
「なんか嫌だ!その表現!」

すると、少しだけ笛吹さんはにへらと笑う顔から少しだけ真顔に近い顔になり、雰囲気が突然変わる。

「でも……気にする事はないよ、だって……もう作家の笛吹さやかはれんれんなしだとまともな生活ができないんだから。」
「かっこいい顔でめちゃくちゃかっこ悪いこと言い出したよ……。」
「え!?もしや……私と離れたいの?いやだー、私を捨てないで!」
「だー!人前だからその辺にしてください!」

今度は泣き上戸である。多重人格かよこの人。

まあでも、照れくさいから言わないけど、俺は笛吹さんとの時間が大好きであり、もっと一緒に居たいと心から思えるようになっていた。

グラスのシトラスの香りが、妙に鼻の奥を香り酸味を感じさせる。
そして、キッチンからの程よい料理をする音や、お店の音楽が妙に心を落ち着かせ時間はゆっくりゆっくりと過ぎ去って行った。

旅ももう少しで終わる、後はこの余韻を一つ一つ大事にしていこう。
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