僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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直輝と別れと小さな夢

4話

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スマホのアラームがなる。
俺は即座に鳴り響く音を止める。

時刻は朝の4時。
俺は目が覚めきっていた、いや……眠れなかった。
今日は修学旅行当日、それに加えて……母ちゃんも手術当日なので事前入院していた。

そういった状況も相まって俺は夜の8時に床の間に着いたはずだったのに、2時間おきに時計を見てはまた眠るのを繰り返して、結局遅刻してしまう夢を見ては浅い眠りを繰り返していた。

「……やっば少し寝た気がしねぇ。」

母ちゃんの度が過ぎたスキンシップが無く自分で起きるという感覚は、どうにも違和感を覚えてしまう。
思えば半年前までは母ちゃんが起こしに来なかったらろくに起きることは出来ず、いつも母ちゃんに頼っていたんだなとぼんやりと気づく。

手術……無事に終わるといいんだけど。
いかんいかん!俺は目の前のことに集中しなきゃ行けない。
シャワーを先に浴びて、少しだけリラックスする。
少しだけ不眠による疲れと吐き気に近い気持ち悪さがリフレッシュされて、その後にコーヒーを飲む。

すると、ラインの通知がなるので俺はそれを見ると……母ちゃんからだった。

「おはよー!無事起きれた!?」
「問題ない。」
「そっかー!母ちゃんの愛のモーニングがないとダメかと思った!……実は恋しかったり?」
「うっせえ、子離れしろババア。」
「ひどい!?心配してあげたのに!」
「……手術、頑張ってな。ちんすこうの土産買ってくるから。」
「うん、ありがとう。いつも通りで決心が着いた。母ちゃんも頑張るね!」
「おう。」

ラインでもいつも通りすぎて少し苦笑してしまう。
俺もそろそろ行かなきゃいけない。
……今は11月末なのだが、沖縄の温度がはっきり言ってよく分からない。亜熱帯だったか温帯だったか、うろ覚えで亜熱帯よりの常夏だったと教科書で知った程度の知識で考える。

気温を検索すると、20℃を超えていたので俺は夏と冬の服を持ってキャリーケースに入れてコートを羽織った。

「行ってきます……って、誰もいないか。」

今日の我が家にはおはようと行ってらっしゃいが存在しない。
何処かそれは俺の未来を体験してるかのようで知らない事に足を踏み入れるワクワクと、この幸せがいつまでも続いて欲しいというセンチメンタルが共存する中、俺は家を出る。

俺は始発をめざし、まだ日が登らない朝を迎えてその寒さに凍えながら少し小走りで駆けて行った。


☆☆

成田空港は、どこまでも同じような平面がどこまでも続いていく。
全校生徒を連れて行っても、ちょこんと映る程度の大きさなのでどれだけの人が出入りしてるのかがそれだけでも伺えた。

大理石の床や電子掲示板、他にもラウンジとかがある近未来の世界は今日の非日常感を強めて行った。
プリントとスマホを見直して、合流場所に恐る恐る近づく。
すると、目的の場所に近づいたのか見慣れた面々が見えてきたので自分の道は間違ってないことに少し安堵して言った。

「よー!直輝!」
「飯田じゃん、みんな早いね。」
「だな!俺ワクワクして一番乗りできちまったよ!」
「……飯田らしいな。」

既に集まっているメンバーはそれぞれどこに行こうかとザワついている。
沖縄どころか修学旅行だって初めてな俺にとっては新鮮そのものだ。

「みなさんー!出欠を取りますので各自出席表に記載をお願いします!班のリーダーも点呼をお願いします!」

そして、クラスの引率で松本先生がやってくれている。
でも違和感がすごい。
担任のはずの諏訪先生が見当たらない。
そもそも担任を持ってないはずの松本先生がここにいるのは個人的にものすごく違和感があった。

「あ、松本先生おはようございます。」
「あら、天野くん!おはよ!」
「あの……諏訪先生って今日は……。」

すると、急に松本先生の目の前が真っ暗になり明らかに地雷を踏んでしまったのが見て取れた。

「あはは……聞いてよ、なんかね……諏訪先生今日はゴルフ行きたいから有給取りたいって言い出してさ……!」
「え、そうなんですか?」
「それから適当に旅のしおりを渡されて今私はここにいるのよ……。」

ヤバい、化けの皮で隠れた笑顔なのに目が笑ってないのがものすごく怖い。
諏訪先生、たまには自分で頑張らないと本当にいつか松本先生に殺されるのではないかと恐れ戦いてしまう。

「あー……ビール飲みてえ。でも流石に仕事だからダメよね。」
「そ……そうですね。控えた方が良いかと。」
「……待てよ、ノンアルビールならノーカウントじゃ……!」
「それは倫理的にアウトですよ。」

いきなり松本先生が闇落ちするから、少しだけ緊張がほぐれてきた。
俺たちはしばらく点呼を終えて、荷物検査を終えるといよいよゲートに入る。

飛行機の順番は事前に決まっていた。
飯田が隣に座るはずで……。

「ふんふんふーん!」

隣の席に座ったのは親友の飯田ではなく彼女の舞衣だった。あ……あれ?間違えたのかな?

「お……おい、舞衣??そこは飯田だった気がするんだけど……!」
「えー、飯田くん?彼なら私の席で寝てるよ?」

彼女が後ろの席を指さすと飯田は本来舞衣が座る席でぐっすりと……いや力なく座ってるようにも見えた。

「きっと……緊張で眠れなかったんだよ!可哀想に……。」
「いや!?あいつ一番乗りで来るくらい元気だったぞ!?」

彼女の事だ、睡眠薬か直接手を下したに違いない。
隣に座るだけなのにここまで執念を燃やす舞衣にはどうにも頭が上がらないな。

「……少年、空港の中なのだからそんなに騒ぐんじゃない。」

舞衣とは反対の隣の席には白衣を何故か着ている理科の佐々木先生がそこにいた。
げ、先生が隣とは休まらない。

「すみません、座りますね。」
「んふふ~、あ~いい匂い。」
「ちょ!?人前ではやめてくれ、舞衣!?」
「……ほう、続けて。」
「いや、止めてください!」

この先生、ちょっと危なっかしくて苦手なんだよな……。
無表情で何考えてるか分からないし。

そんなカオスの中、飛行機は間もなく離陸のアナウンスが流れる。
新しいところへと旅立つ不安と、また違う不安が頭を交錯してちょっとずつ意識が遠のくのを感じた。

やがて、少しずつ俺たちは速度を上げて地面の感覚が無くなるのを感じる。
なのに飛行機の中は妙に静かで外の景色と中身が分断されてるようにも思えた。

俺たちは空の彼方へと飛んでいく、やっと昇った陽の光が目に刺さり少し目が狭まるのを感じながら、旅は始まりを告げて言った。
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