282 / 369
完璧弟と白衣の姉と
2話
しおりを挟む
東京駅は人が本当に多い。
まるで周りだけ濁流が流れてるようで少し酔ってしまう。
先日の修学旅行といい、ちょっと人混みが多くて私の頭はパンクしそうだった。
「大丈夫?姉ちゃん。」
「……り……リバース。」
「絶対やめてね!?駅員さんに迷惑だから!」
私は凛に手を引かれて新幹線に乗り込む。
平日の新幹線は思ったより人が少ない。
周りを見ると、サラリーマンなどのビジネスパーソンに溢れていた。
「姉ちゃん!なんか飲む?」
「……ふっ、私はビールにする。」
「え?まだ午前九時なのに?」
「……甘い、こういう日だからこそ朝から飲むもの。全く……仕事に追われてる男はこれだから。」
「それ、俺のお金なんだけど……まあいいや!すみません!ビール二本ください!」
「……え?」
すると、サービスの人が私たちに缶ビールを渡して、凛が乾杯をする。
それと同時に、新幹線は進んでいく。
最初はこんなものかと思ったけど、徐々にスピードを上げてたった数分で新横浜まで着いてるのだから、文明の利器の恐ろしさを徐々に理解する。
「ぷはー!やっぱビールって上手いなー!」
「……凛、仕事中では?」
「いいんだよ!この前も先方のところに行ったらお酒お世話になったし……世の中飲みニケーションって必要だよ。」
いかん、こいつとは見ているものが全然違う。
私なんて、ストレス発散に男にあっては食い散らかしてるだけが飲みニケーションだというのに、こいつは仕事のために人脈を広げたりとか、やっぱり要領がいい。
「……ところで、どこに行くの?」
「んー、三重だからね。伊勢神宮とかどう?」
「……伊勢、神宮。」
「外宮と内宮があるんだって!ちなみに外宮から行くのが良いらしいよ!その後は松阪牛でも食って……あー、なんか楽しみになってきた。」
地面に足をつけてウキウキしている凛と、ぼーっとした表情でプラプラと足をバタつかせる私。
外界では想像もつかない速さでまずは名古屋を目指す。
しばらくすると、私たちは各々で自由に過ごし始める。
凛は少し酒が入りながら、会社のチャットでやり取りをしながら、たまにペンタブをつかってデザインとかをしている。
私は1冊の本を読みながら、また足をばたつかせていた。そういえば昔は私はこうして本をずっと読んでいた。
家の中ではひたすらAVを眺めてるかしょーもない動画みてぼーっとしていたけど、私は本を読むのが好きだったんだと気がつく。
「みて!姉ちゃん!あれ富士山だよ!」
「……どれ?あれ?」
「あれは普通の山だよ……。もう見えないや。」
こんな感じで時折新幹線の景色が綺麗なスポットを凛は教えてくれるけど、どれも私の目に入ることはなくて少し微妙な空気を感じる。
凛も……そんなに私に気を遣う必要ないのになとか思ってしまう。普段、私の知らないところで彼女にもこんなデートとかしてるのかな?
「……凛って、彼女いるの?」
「え、どうしたの急に。」
「……いや、モテそうなのに女の雰囲気とか出さないじゃん。」
「あはは!いないいない!なんかね……付き合うけど数週間で別れちゃうんだよね!」
意外……という訳でも無さそうだった。
凛は人助けとか好きなのだが、それで勘違いさせて付き合うけど人助けを最優先して結局振られてしまうとの事だった。
まあ、自分一人を見て欲しい子とかには耐えられない性格をしてそうではある。
「そういう姉ちゃんはどうなの?」
「……んー、たまに男が寄ってきては身体を交わせるけど、それだけ。」
「姉ちゃん、もうちょっと身体大事にした方が……。」
あはは、と凛は苦笑をしていた。
「……失望した?」
「姉ちゃん?どうしてまだこの期に及んで評価が下がれると思ってるの?」
「……私で童貞捨てたくせに。」
「捨ててないからね?記憶の捏造やめよ?幼稚園のファーストキスをそう表現する人初めて見たよ。」
凛は今でこそ高身長で私に辛辣なツッコミを入れていたけど、昔はクラスでいちばん背が低く、口喧嘩だって最弱だったのにいつの間にか大きくなるものだ。
昔はすぐ私に泣きついては私は最強のディスりで相手を泣かしたもんだとしみじみ思う。
今はその弟に瞬殺なのだがね。
「姉ちゃん!いい人ができたらまずは僕を通してね!絶対だよ!」
「……え、なんか嫌だ。」
そして妙にこの男は束縛みたいなところがあるんだよな。
きっと、本気で女を好きになったことがないのかもしれない。あれ?ちょっと待てよ……私には束縛してちょっと重いぞコイツ……。
女を好きにならない原因、私説が出てきた。
「……もしかして、私の事が好きなのか?」
「ば……バカ!何言ってんだよ……ゴニョニョ……。」
単刀直入に聞いてみたら凛は耳まで真っ赤になり目を逸らして口篭り始めた。
デザインも明らかに乱れている。
いかん……コイツシスコンかもしれない。
ちょっと本能的にゾワッとくる。
弟離れできてない私だと思ったけど、姉離れできてない凛にも問題があるようだった。
「ち……違うんだ!姉ちゃん!」
「……訳を聞こう。」
「ほら、なんというか姉ちゃんってさ……一人で生きていけない感じがどうにもいいなって思えて……一人で生きていけないチワワを養ってる気持ちというか……ね?」
「……よーし、目をつぶって歯を食いしばれ。」
すると、アナウンスが流れてくる。
間もなく、名古屋に到着するとの事だった。
それを聞いて一旦私は手を止める。
「……まあいいや、お腹すいたから松阪牛で許してやる。」
ぶっちゃけ、弟のシスコンは昔からだったし……昔からずっと私の膝に座るのが好きだった。
今に始まったことじゃない。
名古屋駅のホームは、冬の寒さでビルのすきま風が強く吹き荒れる。
東京とは建築の雰囲気が違うので少しだけ異世界に来たようなそんな違和感さえも感じた。
「……凛、姉離れしろよ。」
「姉ちゃんこそ、弟離れしたらどうだよ。」
「……無理、今私にそんな選択させたら?」
「野垂れ死んじゃうね!」
「……そういうこと、じゃあ……行くぞ。」
「姉ちゃん!?そこは大阪行きの列車だよ!?」
私たち、欠点だらけの姉弟は今日も今日とて道に迷う。
でも、今日は時間は沢山あるんだから、敢えていくらでも間違えてみよう、そう思える朝だった。
まるで周りだけ濁流が流れてるようで少し酔ってしまう。
先日の修学旅行といい、ちょっと人混みが多くて私の頭はパンクしそうだった。
「大丈夫?姉ちゃん。」
「……り……リバース。」
「絶対やめてね!?駅員さんに迷惑だから!」
私は凛に手を引かれて新幹線に乗り込む。
平日の新幹線は思ったより人が少ない。
周りを見ると、サラリーマンなどのビジネスパーソンに溢れていた。
「姉ちゃん!なんか飲む?」
「……ふっ、私はビールにする。」
「え?まだ午前九時なのに?」
「……甘い、こういう日だからこそ朝から飲むもの。全く……仕事に追われてる男はこれだから。」
「それ、俺のお金なんだけど……まあいいや!すみません!ビール二本ください!」
「……え?」
すると、サービスの人が私たちに缶ビールを渡して、凛が乾杯をする。
それと同時に、新幹線は進んでいく。
最初はこんなものかと思ったけど、徐々にスピードを上げてたった数分で新横浜まで着いてるのだから、文明の利器の恐ろしさを徐々に理解する。
「ぷはー!やっぱビールって上手いなー!」
「……凛、仕事中では?」
「いいんだよ!この前も先方のところに行ったらお酒お世話になったし……世の中飲みニケーションって必要だよ。」
いかん、こいつとは見ているものが全然違う。
私なんて、ストレス発散に男にあっては食い散らかしてるだけが飲みニケーションだというのに、こいつは仕事のために人脈を広げたりとか、やっぱり要領がいい。
「……ところで、どこに行くの?」
「んー、三重だからね。伊勢神宮とかどう?」
「……伊勢、神宮。」
「外宮と内宮があるんだって!ちなみに外宮から行くのが良いらしいよ!その後は松阪牛でも食って……あー、なんか楽しみになってきた。」
地面に足をつけてウキウキしている凛と、ぼーっとした表情でプラプラと足をバタつかせる私。
外界では想像もつかない速さでまずは名古屋を目指す。
しばらくすると、私たちは各々で自由に過ごし始める。
凛は少し酒が入りながら、会社のチャットでやり取りをしながら、たまにペンタブをつかってデザインとかをしている。
私は1冊の本を読みながら、また足をばたつかせていた。そういえば昔は私はこうして本をずっと読んでいた。
家の中ではひたすらAVを眺めてるかしょーもない動画みてぼーっとしていたけど、私は本を読むのが好きだったんだと気がつく。
「みて!姉ちゃん!あれ富士山だよ!」
「……どれ?あれ?」
「あれは普通の山だよ……。もう見えないや。」
こんな感じで時折新幹線の景色が綺麗なスポットを凛は教えてくれるけど、どれも私の目に入ることはなくて少し微妙な空気を感じる。
凛も……そんなに私に気を遣う必要ないのになとか思ってしまう。普段、私の知らないところで彼女にもこんなデートとかしてるのかな?
「……凛って、彼女いるの?」
「え、どうしたの急に。」
「……いや、モテそうなのに女の雰囲気とか出さないじゃん。」
「あはは!いないいない!なんかね……付き合うけど数週間で別れちゃうんだよね!」
意外……という訳でも無さそうだった。
凛は人助けとか好きなのだが、それで勘違いさせて付き合うけど人助けを最優先して結局振られてしまうとの事だった。
まあ、自分一人を見て欲しい子とかには耐えられない性格をしてそうではある。
「そういう姉ちゃんはどうなの?」
「……んー、たまに男が寄ってきては身体を交わせるけど、それだけ。」
「姉ちゃん、もうちょっと身体大事にした方が……。」
あはは、と凛は苦笑をしていた。
「……失望した?」
「姉ちゃん?どうしてまだこの期に及んで評価が下がれると思ってるの?」
「……私で童貞捨てたくせに。」
「捨ててないからね?記憶の捏造やめよ?幼稚園のファーストキスをそう表現する人初めて見たよ。」
凛は今でこそ高身長で私に辛辣なツッコミを入れていたけど、昔はクラスでいちばん背が低く、口喧嘩だって最弱だったのにいつの間にか大きくなるものだ。
昔はすぐ私に泣きついては私は最強のディスりで相手を泣かしたもんだとしみじみ思う。
今はその弟に瞬殺なのだがね。
「姉ちゃん!いい人ができたらまずは僕を通してね!絶対だよ!」
「……え、なんか嫌だ。」
そして妙にこの男は束縛みたいなところがあるんだよな。
きっと、本気で女を好きになったことがないのかもしれない。あれ?ちょっと待てよ……私には束縛してちょっと重いぞコイツ……。
女を好きにならない原因、私説が出てきた。
「……もしかして、私の事が好きなのか?」
「ば……バカ!何言ってんだよ……ゴニョニョ……。」
単刀直入に聞いてみたら凛は耳まで真っ赤になり目を逸らして口篭り始めた。
デザインも明らかに乱れている。
いかん……コイツシスコンかもしれない。
ちょっと本能的にゾワッとくる。
弟離れできてない私だと思ったけど、姉離れできてない凛にも問題があるようだった。
「ち……違うんだ!姉ちゃん!」
「……訳を聞こう。」
「ほら、なんというか姉ちゃんってさ……一人で生きていけない感じがどうにもいいなって思えて……一人で生きていけないチワワを養ってる気持ちというか……ね?」
「……よーし、目をつぶって歯を食いしばれ。」
すると、アナウンスが流れてくる。
間もなく、名古屋に到着するとの事だった。
それを聞いて一旦私は手を止める。
「……まあいいや、お腹すいたから松阪牛で許してやる。」
ぶっちゃけ、弟のシスコンは昔からだったし……昔からずっと私の膝に座るのが好きだった。
今に始まったことじゃない。
名古屋駅のホームは、冬の寒さでビルのすきま風が強く吹き荒れる。
東京とは建築の雰囲気が違うので少しだけ異世界に来たようなそんな違和感さえも感じた。
「……凛、姉離れしろよ。」
「姉ちゃんこそ、弟離れしたらどうだよ。」
「……無理、今私にそんな選択させたら?」
「野垂れ死んじゃうね!」
「……そういうこと、じゃあ……行くぞ。」
「姉ちゃん!?そこは大阪行きの列車だよ!?」
私たち、欠点だらけの姉弟は今日も今日とて道に迷う。
でも、今日は時間は沢山あるんだから、敢えていくらでも間違えてみよう、そう思える朝だった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる