僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
288 / 369
完璧弟と白衣の姉と

8話

しおりを挟む
私たちは各々で急いで仕事を終わらせる。
とはいえ、私はこんなこともあろうかと朝イチに仕事を全て終わらして手持ち無沙汰ではあったのだが、松本先生と宮島先生は微妙に仕事が残っていたのでそのフォローをしていた。

「……宮島先生、確か小テストの答案を作っていたよね。3組だから34部印刷すればいい?」
「うん!お願い!」
「……松本先生は、部活動の申請書類の承認だったよね。部費精算の所は小さい申請だけ承認しておく。」
「ああ~ほんとありがとうございます!」

私はこういう場面で能力が光る。
研究職してた時もこうやって他の人のタスクを把握しながら品質保証の人とかと戦ってたな……なんて思い出す。
私にとっては2人の仕事は手に取るようにわかる。
大事な場面は彼女らにやらせて、私でもできそうな所は片手間でやっておけば終わる。

みるみるうちに2人の仕事は片付いてしまって2人とも驚いていた。

「……終わったね。」
「いや、ほんとあんた……いつもはアレだけどこういう時ほんと仕事早いわね。」
「……宮島先生?いつもはアレって……?」

妙に引っかかる物言いだ。
最近確かに彼女の横でストレス発散で下ネタを連発していたけどそれが悪かったのだろうか?

「佐々木先生……いや、師匠!」
「……松本先生はなんか金魚のフンみたいになってるし。」

私たちは見事に仕事を終えて、私の自宅へと足を運ぶことになった。
楽しみにしてたし、サービス残業なんてもってのほかだ。
私はそう思いやり残したことのない綺麗なデスクを立ち上がり、コートを羽織ってみんなと部屋を出た。

☆☆

ピッ

マンションのオートロックが空くと警備員さんが帽子に手を当てて会釈をする。
そして、高級マンションはまるでホテルのごとくマット付きフローリングを歩いてエレベーターを登っていった。

「え?あんたの家こんなに豪華なの?」
「すごい……私ですらボロアパートなのに……。」

2人は私の家の様子を見て驚いていた。
私は得意げにふふんと鼻を鳴らし2人を案内していた。

「あんなにパチンコ行ってるのにどこからそんなお金が。」

おいそこ、痛いとこつかないで。
私は自宅の扉をあけて、2人を入れた。

「あ!いらっしゃい!」

扉を開けると……凛がエプロンを着て私たちを出迎えていた。

「い……イケメンだ……!」
「え、宮島先生彼氏いたんですか……?」

宮島先生と松本先生が絶句していた。
いや……2人とも凛の見た目に驚きすぎていた。

「あ、姉がいつもお世話になっております!弟の佐々木凛です!いつも姉と仲良くしていただいてありがとうございます!」
「弟!?しかも礼儀正しい!」
「こ……こちらこそいつもお世話になっております。」

凛が礼儀正しくお辞儀をして、2人もそれにつられてお辞儀をしていた。

あれ、なんか妙に私だけ置いてけぼり?
こんな時どんな顔すればいいか分からなかった。

家を入ると片付けをしていて、焼き菓子のいい香りがする。そういえば凛はお菓子作りが好きだった。
この香りはクッキーとパイとかだろうか?
2人もその香りを嗅いでにこやかな笑顔をしていた。

私たちはコートを脱いでテーブルに座る。
どうやら2人には2LDKはとても大きく見えたので家の中をこれでもかとキョロキョロしていた。

「飲み物!何にします?コーヒーか紅茶かハーブティーあるんですけど。」

いつの間にかキッチンもまるでカフェの厨房のようにコーヒーセットが組まれていた。
この弟……楽しんでやがる。

「すごい!ほんと女子力高くて私たち顔負けだわ~!じゃあ私はコーヒーで!」
「私も……コーヒーでお願いします!」
「……凛、私もコーヒー。」

作るのを増やしたくないのか私たちはドリンクを統一すると凛はにこやかな笑顔で豆の焙煎をする。
すると少しづつ香りが香ばしくなってきて、それだけでもテンションが上がるようだった。

「凛くんも良かったら女子会混ざらない?こんなにセッティングしてくれたんだし!」

宮島先生が凛に対してウェルカムに接する。
もはや女子会なのかそれと突っ込みながらも彼の盛り上げ方には少し助けられたので私も受け入れることにした。

「ええ……緊張しちゃいますよ。」
「また~!今は大学生?」
「いえ、デザイナーの仕事で主任として活躍させていただいてます。」
「え、主任?若いのにすごい!」
「あっはっは、自分はまだまだですよ。」

それにしても我が弟ながら恐ろしい。
ちょっとした気遣いであっという間に女子会メンバーの心を掴みおった。
こいつ、やっぱりモテるというか女たらしなのかもしれない。

焙煎を終えて、コーヒー豆を粉砕する。
フィルター粗挽きした豆を入れてゆっくりと円を描くように温度調整したお湯でコーヒーを作った。

あれ、弟よ……私普段は1本数十円のブレンディスティックなのだけど……こういう時に気合いの入れ方をみて普段もこういうの飲ませてほしいなと思ってしまう。

そして、コーヒーカップに入れて私たちのテーブルに並べた。

「お待たせしました!俺特製ブレンドコーヒーです!」
「すごい……もう何もかもがスペック高いですね。」
「特製……って何を入れたの?」

すると、凛は待ってましたとばかりに構えてふんすと鼻息を鳴らす。

「普段流通してるアラビカコーヒーと、少し苦味の強いロブスタ種というコーヒーをブレンドにしました!温度は85℃に調整することで酸味と苦味をバランスよく引き出せるようにしてます!1杯目はブラックでコーヒーを味わってください!」
「すご!ほんとプロじゃないの!」
「へへ……これでも昔はスター〇ックスでバイトしてたのでコーヒー好きなんですよ!」

4人でコーヒーを飲むとあまりの美味しさに全員が舌鼓を鳴らした。
焙煎をしたばかりなので香りが強く嗅覚だけでコーヒーを飲んでるようだった。
味も飲みやすく、それでいて舌触りも滑らかだ。

もうトークじゃなくてみんなグルメを味わうがごとく楽しんでいた。

みんなで有給をとって、良いコーヒーを飲む。
そんな午後が少しラグジュアリーなマンションの一室で繰り広げられていた。
贅沢に時間を楽しむ、そうやってゆっくり……ゆっくりとコーヒーブレイクは私たちの心を癒していった。

それにしても……
宮島先生、ちょっと凛に対して目がハートになってないか?
なんというか、いつもの合コンの時とは違ってきゃーとか声が黄色い感じがして、少し違和感が私にとってあまりなれないところから汗が出ている感じがした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...