289 / 369
完璧弟と白衣の姉と
9話
しおりを挟む
ずず……
コーヒーをすする音がする。
今は女子会(約1名男性)を開催していて、私たちは会話に花を咲かせていた。
「そういえば~!最近松本先生は例の男性とはどうなの?」
「うっ、私に聞きますか……。」
宮島先生が松本先生に絡み出す。
でも今は1番ネタが多そうなのが彼女なので私も興味はあった。
「まあ……その……先日小田原でデートはしましたけどその際にお付き合いはしましたね。」
「ついに!あんたもやったわね!」
凛と宮島先生は拍手をしていて祝福ムードだ。
私も合コンで惨敗してたり、気の迷いでホストに行っていた彼女を知ってる分私も嬉しかった。
ウブな反応が可愛かったので少しいじりたくなってしまう。
「……それで、どこまでしたんだい?お嬢さん。キスとか?それとも〇〇?〇〇〇?」
ガツン
後半放送禁止用語を連呼したら宮島先生に頭をぶたれた。
「ちょっと!付き合いたてだからそんなことしてるわけないじゃない!恋愛には段階が必要だもんね!松本先生!!」
「え……あ……う。」
松本先生は赤面して明らかに雌の顔をしていた。
くそう……可愛いなこいつ。
「あの松本先生よ!多分キスだってこれからよ!」
すると、松本先生はあさっての方向に目を逸らしていた。もしかして……
「……松本先生、もしかして。」
「は、はい!!?」
「……致した?」
すると、彼女は頭に血が登りすぎたのかボンと爆発したかのようにフリーズしていた。
おいおい、やることはやってるのか。
「え……?マジ……?」
空気が静まり返っていた。
この娘、もう少しポーカーフェイスを覚えた方が良いと思う。
「……そういう宮島先生は最近はどうなの?」
「ちょ!?次は私?」
ちょっといじりすぎたと反省しつつ、次は宮島先生にスポットを当ててみる。
なんせ、合コンの幹事をいつもしてるから引く手あまたもいいところだろう。
「私、マジでないわよ。」
「……え?」
しかし、彼女は毅然としていた。
まあでも予想通りだった。彼女は社交的なものの結構相手を選ぶので酔った勢いでいたした所は見たことがない。それはそれで少し寂しいのだけれど、まあでもいつも通りで何よりだった。
「……じゃあ、次は私。」
全く、最近の小娘はまだまだ経験が足りないと思う。
私の大人なエピソードを聞いて是非とも参考にしてもらおう。
「あー、あんたは大丈夫よ。」
「……え。」
言おうと思ったら宮島先生に断られた。
何故だろう、素敵なエピソードで溢れてるのに。
「あんたね!今は上品なティータイムよ!あんたの話いつも生々しくて酒の肴の時以外はちょっとエグすぎるの!」
「……な!」
盲点だった。
確かに私が言おうとしていたエピソードはちょっとヘビーな内容が多かった。
なんと言うか、少なくとも純愛とは程遠いものである。
「え、失礼ですが姉はどんな話を。」
「宮島先生、言っていいかしら?」
「……どうぞ。」
「この前、飲み屋で3人で飲んだことがあったじゃない?その時この子……若い時に梅毒かかった話をしだしたのよ!」
それを聞いて凛がコーヒーを吹き出していた。
でも私としてはこうして人がドン引きする姿が快感なんだけど……どうにも一般的には受け付けないらしい。
「ばば……ばばば!」
「……大丈夫、昔の話だし。今はステロイド系の薬を使えば2週間程度で治る。」
「いや、そういう問題じゃ無いわよ!」
松本先生も苦笑いでコーヒーを飲んでいた。
何より、凛のショックがやばかった。
「姉ちゃん!ほんとあんたって人は……!」
「……大丈夫、経口感染とかあるし、もしかかったらすぐに報告する。」
「はあ~、凛くん……あんたも大変ね。」
「いや、変わった姉とは思ってたけど……宮島先生、これからも暴走を止めてください。」
「……え、ちょ。」
2人に妙な絆が生まれた。
なんと言うか、共通の敵が出来て共闘するかのような、そんな関係性が近いかもしれない。
「……まて、そういえば凛の話は聞いてない。」
次は凛のターンに持っていく。
先生3人はもう知れてるけど、凛に至っては未知数そのものである。
「姉ちゃん?セクハラ気味の上司の対応してたのどこの誰だったっけ?」
「……え、それ以外いないの?」
というか、それをカウントするあたりほんとうに無いのかもしれない。
「全く!たまーに言い寄られて付き合うけど……こっちが好きになりきれずいつも怒られて振られてばかりだよ。」
「それって……失礼だけど凛くんは今まで人を好きになったことは?」
「んーそれが……無いんですよね。」
言われてみれば凛は確かに女の子に告白したところは見たことがない。初対面の人怖いっていつも断ってた気がする。
「あー、それが原因かも!あとは今は佐々木先生の面倒を見るとか、趣味とか仕事とかが優先順位高いんじゃない?」
「確かに!すごい……!俺初めて自分のことを言語化してくれた気がします!」
「まあね~私も昔はキャバやってたから人間観察は得意なのよ。」
「いやー、俺好きな事になると一直線で……付き合ってること忘れちゃうくらいになって怒られちゃうんですよね。」
「うんうん、適度に距離感を持ってくれる人だといいかもね!」
凛と宮島先生の会話が花を咲かせ、私と松本先生は置いてけぼりになっていた。
女子会の恋バナ、終了のお知らせ。
「ちょっと!?暴露したの私だけじゃないですか!!」
流石に割に合わなかったのか松本先生が怒って立ち上がる。
「いや、あんたは進展しすぎなのよ。」
「……なんというか、マラソン大会一緒に走ってたのに急にすごい速さで置いてけぼりにされた気分。」
「もう!次何かあったら絶対私に言ってくださいね!!」
「「はいはい。」」
そろそろ松本先生弄りも可哀想になってきたので一旦止める。
女子会にしてはちょっとカロリー高めの話だった。
気がついたら優雅な午後も夕陽が差し込みマンションは赤焼けに染まっていた。
私達もすわってばかりいたから少し伸びをしてら立ちあがる。
「そろそろ、お開きにしますか?」
「そうですね!」
「あ!2人のコート俺持ってきますね!」
そう言って私たちは解散の準備をしていた。
なんというか、人と話すのがこんなに良いと思えるのは人生初だった。
今までは人の声なんてノイズでしかなくて、本に書いてある文書だけが正解だと思っていたけど、こうして人と接すると妙に心が満たされた感じがした。
「あ!そうだ……よかったら連絡先交換しませんか?」
凛が突然そんな提案をする。
「え!いいの?嬉しい!」
「そうですね!これも何かの縁ですし!お願いします。」
宮島先生と松本先生と連絡先を交換する凛。
でも、妙にそれが胸の中でザワついている。
確かに弟に友達ができるのは嬉しいけど、私の知ってる凛に知らない面ができる気がして、少しだけそれが私の心を揺らしていた。
2人を見送り、扉はゆっくりと閉められる。
「いやー!楽しかった!やっぱ普段接しない人と接すると刺激になるよね!」
「……そうだね。」
「さて、じゃあ晩御飯作るか!姉ちゃん、何食べたい?」
「……私は、いい。」
「え?」
「……おなかいっぱいになった。今日は寝る。」
「え……ちょ、姉ちゃん?」
私は自室に籠り少しだけ不機嫌になっていた。
ちょっと悔しかった、私は凛のことを理解していたと思ったけどあっさり宮島先生に凛の全てを理解されたような気がしたから。
その感覚が妙に心をモヤモヤする。
それが自分の居場所を脅かすのではと……無意識に恐怖が不機嫌になるようだった。
凛は、この時どう思っていたのかは知る由もなかった。
「……全く、困った姉ちゃんだな。お腹空くと可哀想だし、一応姉ちゃんの分も作っておくか。」
コーヒーをすする音がする。
今は女子会(約1名男性)を開催していて、私たちは会話に花を咲かせていた。
「そういえば~!最近松本先生は例の男性とはどうなの?」
「うっ、私に聞きますか……。」
宮島先生が松本先生に絡み出す。
でも今は1番ネタが多そうなのが彼女なので私も興味はあった。
「まあ……その……先日小田原でデートはしましたけどその際にお付き合いはしましたね。」
「ついに!あんたもやったわね!」
凛と宮島先生は拍手をしていて祝福ムードだ。
私も合コンで惨敗してたり、気の迷いでホストに行っていた彼女を知ってる分私も嬉しかった。
ウブな反応が可愛かったので少しいじりたくなってしまう。
「……それで、どこまでしたんだい?お嬢さん。キスとか?それとも〇〇?〇〇〇?」
ガツン
後半放送禁止用語を連呼したら宮島先生に頭をぶたれた。
「ちょっと!付き合いたてだからそんなことしてるわけないじゃない!恋愛には段階が必要だもんね!松本先生!!」
「え……あ……う。」
松本先生は赤面して明らかに雌の顔をしていた。
くそう……可愛いなこいつ。
「あの松本先生よ!多分キスだってこれからよ!」
すると、松本先生はあさっての方向に目を逸らしていた。もしかして……
「……松本先生、もしかして。」
「は、はい!!?」
「……致した?」
すると、彼女は頭に血が登りすぎたのかボンと爆発したかのようにフリーズしていた。
おいおい、やることはやってるのか。
「え……?マジ……?」
空気が静まり返っていた。
この娘、もう少しポーカーフェイスを覚えた方が良いと思う。
「……そういう宮島先生は最近はどうなの?」
「ちょ!?次は私?」
ちょっといじりすぎたと反省しつつ、次は宮島先生にスポットを当ててみる。
なんせ、合コンの幹事をいつもしてるから引く手あまたもいいところだろう。
「私、マジでないわよ。」
「……え?」
しかし、彼女は毅然としていた。
まあでも予想通りだった。彼女は社交的なものの結構相手を選ぶので酔った勢いでいたした所は見たことがない。それはそれで少し寂しいのだけれど、まあでもいつも通りで何よりだった。
「……じゃあ、次は私。」
全く、最近の小娘はまだまだ経験が足りないと思う。
私の大人なエピソードを聞いて是非とも参考にしてもらおう。
「あー、あんたは大丈夫よ。」
「……え。」
言おうと思ったら宮島先生に断られた。
何故だろう、素敵なエピソードで溢れてるのに。
「あんたね!今は上品なティータイムよ!あんたの話いつも生々しくて酒の肴の時以外はちょっとエグすぎるの!」
「……な!」
盲点だった。
確かに私が言おうとしていたエピソードはちょっとヘビーな内容が多かった。
なんと言うか、少なくとも純愛とは程遠いものである。
「え、失礼ですが姉はどんな話を。」
「宮島先生、言っていいかしら?」
「……どうぞ。」
「この前、飲み屋で3人で飲んだことがあったじゃない?その時この子……若い時に梅毒かかった話をしだしたのよ!」
それを聞いて凛がコーヒーを吹き出していた。
でも私としてはこうして人がドン引きする姿が快感なんだけど……どうにも一般的には受け付けないらしい。
「ばば……ばばば!」
「……大丈夫、昔の話だし。今はステロイド系の薬を使えば2週間程度で治る。」
「いや、そういう問題じゃ無いわよ!」
松本先生も苦笑いでコーヒーを飲んでいた。
何より、凛のショックがやばかった。
「姉ちゃん!ほんとあんたって人は……!」
「……大丈夫、経口感染とかあるし、もしかかったらすぐに報告する。」
「はあ~、凛くん……あんたも大変ね。」
「いや、変わった姉とは思ってたけど……宮島先生、これからも暴走を止めてください。」
「……え、ちょ。」
2人に妙な絆が生まれた。
なんと言うか、共通の敵が出来て共闘するかのような、そんな関係性が近いかもしれない。
「……まて、そういえば凛の話は聞いてない。」
次は凛のターンに持っていく。
先生3人はもう知れてるけど、凛に至っては未知数そのものである。
「姉ちゃん?セクハラ気味の上司の対応してたのどこの誰だったっけ?」
「……え、それ以外いないの?」
というか、それをカウントするあたりほんとうに無いのかもしれない。
「全く!たまーに言い寄られて付き合うけど……こっちが好きになりきれずいつも怒られて振られてばかりだよ。」
「それって……失礼だけど凛くんは今まで人を好きになったことは?」
「んーそれが……無いんですよね。」
言われてみれば凛は確かに女の子に告白したところは見たことがない。初対面の人怖いっていつも断ってた気がする。
「あー、それが原因かも!あとは今は佐々木先生の面倒を見るとか、趣味とか仕事とかが優先順位高いんじゃない?」
「確かに!すごい……!俺初めて自分のことを言語化してくれた気がします!」
「まあね~私も昔はキャバやってたから人間観察は得意なのよ。」
「いやー、俺好きな事になると一直線で……付き合ってること忘れちゃうくらいになって怒られちゃうんですよね。」
「うんうん、適度に距離感を持ってくれる人だといいかもね!」
凛と宮島先生の会話が花を咲かせ、私と松本先生は置いてけぼりになっていた。
女子会の恋バナ、終了のお知らせ。
「ちょっと!?暴露したの私だけじゃないですか!!」
流石に割に合わなかったのか松本先生が怒って立ち上がる。
「いや、あんたは進展しすぎなのよ。」
「……なんというか、マラソン大会一緒に走ってたのに急にすごい速さで置いてけぼりにされた気分。」
「もう!次何かあったら絶対私に言ってくださいね!!」
「「はいはい。」」
そろそろ松本先生弄りも可哀想になってきたので一旦止める。
女子会にしてはちょっとカロリー高めの話だった。
気がついたら優雅な午後も夕陽が差し込みマンションは赤焼けに染まっていた。
私達もすわってばかりいたから少し伸びをしてら立ちあがる。
「そろそろ、お開きにしますか?」
「そうですね!」
「あ!2人のコート俺持ってきますね!」
そう言って私たちは解散の準備をしていた。
なんというか、人と話すのがこんなに良いと思えるのは人生初だった。
今までは人の声なんてノイズでしかなくて、本に書いてある文書だけが正解だと思っていたけど、こうして人と接すると妙に心が満たされた感じがした。
「あ!そうだ……よかったら連絡先交換しませんか?」
凛が突然そんな提案をする。
「え!いいの?嬉しい!」
「そうですね!これも何かの縁ですし!お願いします。」
宮島先生と松本先生と連絡先を交換する凛。
でも、妙にそれが胸の中でザワついている。
確かに弟に友達ができるのは嬉しいけど、私の知ってる凛に知らない面ができる気がして、少しだけそれが私の心を揺らしていた。
2人を見送り、扉はゆっくりと閉められる。
「いやー!楽しかった!やっぱ普段接しない人と接すると刺激になるよね!」
「……そうだね。」
「さて、じゃあ晩御飯作るか!姉ちゃん、何食べたい?」
「……私は、いい。」
「え?」
「……おなかいっぱいになった。今日は寝る。」
「え……ちょ、姉ちゃん?」
私は自室に籠り少しだけ不機嫌になっていた。
ちょっと悔しかった、私は凛のことを理解していたと思ったけどあっさり宮島先生に凛の全てを理解されたような気がしたから。
その感覚が妙に心をモヤモヤする。
それが自分の居場所を脅かすのではと……無意識に恐怖が不機嫌になるようだった。
凛は、この時どう思っていたのかは知る由もなかった。
「……全く、困った姉ちゃんだな。お腹空くと可哀想だし、一応姉ちゃんの分も作っておくか。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる