僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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完璧弟と白衣の姉と

9話

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ずず……

コーヒーをすする音がする。
今は女子会(約1名男性)を開催していて、私たちは会話に花を咲かせていた。

「そういえば~!最近松本先生は例の男性とはどうなの?」
「うっ、私に聞きますか……。」

宮島先生が松本先生に絡み出す。
でも今は1番ネタが多そうなのが彼女なので私も興味はあった。

「まあ……その……先日小田原でデートはしましたけどその際にお付き合いはしましたね。」
「ついに!あんたもやったわね!」

凛と宮島先生は拍手をしていて祝福ムードだ。
私も合コンで惨敗してたり、気の迷いでホストに行っていた彼女を知ってる分私も嬉しかった。

ウブな反応が可愛かったので少しいじりたくなってしまう。

「……それで、どこまでしたんだい?お嬢さん。キスとか?それとも〇〇?〇〇〇?」

ガツン
後半放送禁止用語を連呼したら宮島先生に頭をぶたれた。

「ちょっと!付き合いたてだからそんなことしてるわけないじゃない!恋愛には段階が必要だもんね!松本先生!!」
「え……あ……う。」

松本先生は赤面して明らかに雌の顔をしていた。
くそう……可愛いなこいつ。

「あの松本先生よ!多分キスだってこれからよ!」

すると、松本先生はあさっての方向に目を逸らしていた。もしかして……

「……松本先生、もしかして。」
「は、はい!!?」
「……致した?」

すると、彼女は頭に血が登りすぎたのかボンと爆発したかのようにフリーズしていた。
おいおい、やることはやってるのか。

「え……?マジ……?」

空気が静まり返っていた。
この娘、もう少しポーカーフェイスを覚えた方が良いと思う。

「……そういう宮島先生は最近はどうなの?」
「ちょ!?次は私?」

ちょっといじりすぎたと反省しつつ、次は宮島先生にスポットを当ててみる。
なんせ、合コンの幹事をいつもしてるから引く手あまたもいいところだろう。

「私、マジでないわよ。」
「……え?」

しかし、彼女は毅然としていた。
まあでも予想通りだった。彼女は社交的なものの結構相手を選ぶので酔った勢いでいたした所は見たことがない。それはそれで少し寂しいのだけれど、まあでもいつも通りで何よりだった。

「……じゃあ、次は私。」

全く、最近の小娘はまだまだ経験が足りないと思う。
私の大人なエピソードを聞いて是非とも参考にしてもらおう。

「あー、あんたは大丈夫よ。」
「……え。」

言おうと思ったら宮島先生に断られた。
何故だろう、素敵なエピソードで溢れてるのに。

「あんたね!今は上品なティータイムよ!あんたの話いつも生々しくて酒の肴の時以外はちょっとエグすぎるの!」
「……な!」

盲点だった。
確かに私が言おうとしていたエピソードはちょっとヘビーな内容が多かった。
なんと言うか、少なくとも純愛とは程遠いものである。

「え、失礼ですが姉はどんな話を。」
「宮島先生、言っていいかしら?」
「……どうぞ。」
「この前、飲み屋で3人で飲んだことがあったじゃない?その時この子……若い時に梅毒かかった話をしだしたのよ!」

それを聞いて凛がコーヒーを吹き出していた。
でも私としてはこうして人がドン引きする姿が快感なんだけど……どうにも一般的には受け付けないらしい。

「ばば……ばばば!」
「……大丈夫、昔の話だし。今はステロイド系の薬を使えば2週間程度で治る。」
「いや、そういう問題じゃ無いわよ!」

松本先生も苦笑いでコーヒーを飲んでいた。
何より、凛のショックがやばかった。

「姉ちゃん!ほんとあんたって人は……!」
「……大丈夫、経口感染とかあるし、もしかかったらすぐに報告する。」
「はあ~、凛くん……あんたも大変ね。」
「いや、変わった姉とは思ってたけど……宮島先生、これからも暴走を止めてください。」
「……え、ちょ。」

2人に妙な絆が生まれた。
なんと言うか、共通の敵が出来て共闘するかのような、そんな関係性が近いかもしれない。

「……まて、そういえば凛の話は聞いてない。」

次は凛のターンに持っていく。
先生3人はもう知れてるけど、凛に至っては未知数そのものである。

「姉ちゃん?セクハラ気味の上司の対応してたのどこの誰だったっけ?」
「……え、それ以外いないの?」

というか、それをカウントするあたりほんとうに無いのかもしれない。

「全く!たまーに言い寄られて付き合うけど……こっちが好きになりきれずいつも怒られて振られてばかりだよ。」
「それって……失礼だけど凛くんは今まで人を好きになったことは?」
「んーそれが……無いんですよね。」

言われてみれば凛は確かに女の子に告白したところは見たことがない。初対面の人怖いっていつも断ってた気がする。

「あー、それが原因かも!あとは今は佐々木先生の面倒を見るとか、趣味とか仕事とかが優先順位高いんじゃない?」
「確かに!すごい……!俺初めて自分のことを言語化してくれた気がします!」
「まあね~私も昔はキャバやってたから人間観察は得意なのよ。」
「いやー、俺好きな事になると一直線で……付き合ってること忘れちゃうくらいになって怒られちゃうんですよね。」
「うんうん、適度に距離感を持ってくれる人だといいかもね!」

凛と宮島先生の会話が花を咲かせ、私と松本先生は置いてけぼりになっていた。
女子会の恋バナ、終了のお知らせ。

「ちょっと!?暴露したの私だけじゃないですか!!」

流石に割に合わなかったのか松本先生が怒って立ち上がる。

「いや、あんたは進展しすぎなのよ。」
「……なんというか、マラソン大会一緒に走ってたのに急にすごい速さで置いてけぼりにされた気分。」
「もう!次何かあったら絶対私に言ってくださいね!!」
「「はいはい。」」

そろそろ松本先生弄りも可哀想になってきたので一旦止める。
女子会にしてはちょっとカロリー高めの話だった。

気がついたら優雅な午後も夕陽が差し込みマンションは赤焼けに染まっていた。
私達もすわってばかりいたから少し伸びをしてら立ちあがる。

「そろそろ、お開きにしますか?」
「そうですね!」
「あ!2人のコート俺持ってきますね!」

そう言って私たちは解散の準備をしていた。
なんというか、人と話すのがこんなに良いと思えるのは人生初だった。
今までは人の声なんてノイズでしかなくて、本に書いてある文書だけが正解だと思っていたけど、こうして人と接すると妙に心が満たされた感じがした。

「あ!そうだ……よかったら連絡先交換しませんか?」

凛が突然そんな提案をする。

「え!いいの?嬉しい!」
「そうですね!これも何かの縁ですし!お願いします。」

宮島先生と松本先生と連絡先を交換する凛。
でも、妙にそれが胸の中でザワついている。
確かに弟に友達ができるのは嬉しいけど、私の知ってる凛に知らない面ができる気がして、少しだけそれが私の心を揺らしていた。

2人を見送り、扉はゆっくりと閉められる。

「いやー!楽しかった!やっぱ普段接しない人と接すると刺激になるよね!」
「……そうだね。」
「さて、じゃあ晩御飯作るか!姉ちゃん、何食べたい?」
「……私は、いい。」
「え?」
「……おなかいっぱいになった。今日は寝る。」
「え……ちょ、姉ちゃん?」

私は自室に籠り少しだけ不機嫌になっていた。
ちょっと悔しかった、私は凛のことを理解していたと思ったけどあっさり宮島先生に凛の全てを理解されたような気がしたから。

その感覚が妙に心をモヤモヤする。
それが自分の居場所を脅かすのではと……無意識に恐怖が不機嫌になるようだった。

凛は、この時どう思っていたのかは知る由もなかった。


「……全く、困った姉ちゃんだな。お腹空くと可哀想だし、一応姉ちゃんの分も作っておくか。」
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