小さな村出身の僕が勇者になったけど急にみんなが冷たくなりました(仮称)

結紬

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親心2

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朝、起きて一回に行くとお母さんたちは机を挟んで座っていた。

「…おはよう」

声をかけると二人は勢いよくこちらを向いた。

「おはよう」

少し疲れたような表情をしていた。

「ブラン、座ってくれないか?昨日のことで話があるんだ」

「何を言われても僕は意志を変えないって昨日も言ったはずだよ」

また、やめろって言うの?

「ああ、お前が勇者になるのはもう止めない。ただ、少し話がしたいだけなんだ」

お父さんたちは向かい合って座っていたのを横並びに座りなおして、お母さんが座っていた席を指して座るよう促した。

しぶしぶ座って前を向くと嫌でも真剣な表情をした二人と目が合ってしまう。

値をそらそうとしたらその前に止められた。

「ブラン、ちゃんと私たちの目を見て話をしてほしいの」

そう言われた僕は、もう目をそらすことはできず、二人の目を見ようとしたけどやっぱり少し気まずくなってしまい口元を見てしまう。

「あのね、さっきお父さんがもう勇者になるのは止めないって言ったでしょ?あれは私たち二人で話し合って決めたことなの」

「勇者になるのはブランの昔からの夢だったもんな。昨日はすまなかった」

二人は本当に申し訳ないような表情をしていた。

僕は二人にそんな表情はしてほしくなかった。

「二人は、僕が勇者になるのは嬉しくない?」

そう言うと二人は悲しげに笑って僕の頭と頬に手を添えた。

「嬉しくないわけがない。勇者に選ばれるのはこの国の民にとってなのよりも栄誉なことだ。愛しい息子が選ばれて誇らしいし嬉しいよ」

「そうよ、ブランが選ばれたと知った時はとても嬉しかったわ。ブランの夢が叶う、私たちの愛しい息子が選ばれた。そう思ってとっても嬉しかった」

僕を優しげな眼で見つめてくれた二人は、席を立って僕の両隣に来て膝の上にあった僕の手を優しく握ってくれた。

「でもね、嬉しかったけど同時に不安にもなってしまったの」

不安…?どうして。

「お前はとても優しい。魔王や魔族を倒すのに抵抗を覚えてもしかしたら怪我をしてしまうかもしれない。それが俺たちは心配でならないんだ」

お父さん…

「私たちは大切な一人息子のブランに怪我をしてほしくないの。もしかしたら怪我だけでは収まらないかもしれない、最悪なことになってしまうかもしれない、と思ってしまって昨日はあんなことを言ってしまったの。私たちはあなたを失うかもしれないと思うと怖くなってしまった。でもそれは、あなたの夢を否定してしまうことになってしまった。ごめんなさい」

お母さん…

僕は二人の話を聞いて泣いてしまった。

昔の様に声を上げてボロボロ泣く僕を二人は強く抱きしめてくれた。
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