魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

始まりの勇者編

23 ワールドオーダー3

 ワールドオーダーはヤマトの姿に変態するお悟達に襲いかかってきた。

 その攻撃を悟は受けたがそれは本物と変わらない速度で剣戟を加えていた。

「剣筋が全く見えない」

 悟はワールドオーダーの攻撃をじっくりと観察しながら見えない剣筋を予想しながら自分の剣で防いでいた。

「すまない、悟君」

 ヤマトはワールドオーダーからの攻撃により深手を負っていた。それを、美希が回復魔法で治療をしていた。

「なるべく僕が持ちこたえます！」

 そう言うものの、ヤマトの姿をしたワールドオーダーは剣で悟の武器を弾くと後ろから鋭い触手を生やし悟の懐を突き刺そうとした。

「悟！！」

 二人が止まった一瞬の隙を一彩は剣で触手を斬った。

「すまない、一彩……」

 息を切らしながら悟はお礼するも、ワールドオーダーはお構いなしに更に突っ込んできた。

「そんな暇はないぞ悟！！」

 一つの触手を生やしながら向かってくると、その最中に斬られた触手を回収するとそれを剣に作り替え左手に持った。

「俺は右からやる、悟は左から頼む！」

 そう合図をすると、悟は「わかった！」と言い二人は向かってくるワールドオーダーの腕を狙って剣で斬り着けた。

 しかし、ワールドオーダーは両手に持った剣でその攻撃を止めると触手で二人の足を狙った。

「下かっ！？」

 二人は攻撃をされる前に後ろに向かって飛んで離れた。

「まったく歯が立たない……悟何か方法は？」

「お手上げだね、ヤマトさんが回復するまで耐えるしかない」

「やっぱり、それだけか……ハイネさん達はヤマトさんが回復するまで動けないしな」

 ハイネとトウカは回復するまでの間、無防備になる美希とヤマトのために守りに着いていた。

「仕方ないさ、それよりも来るよ」

 ワールドオーダーは持っていた剣をおもむろに振りかざし体の後ろに持っていた。その姿は槍投げをする人のような構えをしていた。

ブンッ

 すると、体を前に胸から腕にかけてしなりを加えながらこちらに投げてきた、剣は槍と一彩の頭に向かって飛んできた。

「一彩！！」

 悟は一彩の頭に手を出し、そこに丁度来た槍を掴み止めた。

 目の前で止まる槍を寄った目で一彩は見ていた。

「危なかったな一彩……」

 その瞬間、ワールドオーダーは投げた手を握りしめたその瞬間、槍から棘が生えて悟の手を貫いた。

「あ゛あ゛ぁ゛」

 悲痛な声が広がっていった、

「さ、悟……大丈夫か」

 一彩は心配するように声をかけると、

「馬鹿やろう敵を見ろ！」

 悟を声を上げて一彩に言った、その瞬間にワールドオーダーはこちらに迫って来て、一彩を蹴り飛ばし壁まで吹っ飛ばした、

「一彩！！」

 壁まで飛ばされた一彩はそのまま項垂れると動かなくなった。

『一彩が死んだ……』

 悟は目の前にいる友が動こうとせずそのまま足が地にした瞬間思ってしまった。

「悟、あぶない！！」

 美希の声が響いた。

「はっ！？」

 その声が聞こえるとワールドオーダーに視線を戻した瞬間、回し蹴りをしたのか体が反転し右足がこちらに向かってきていた。

 悟はその動きがとてもゆっくりに感じていた。

『これが走馬灯か死ぬのかここで……』

 命の危機を感じた悟だったがそれは走馬灯ではなかった。

 おもむろに体を動かそうとした悟はワールドオーダーより速く動けることに気づいたそれと同時にこちらに向かっているハイネの姿も見えた。

 その力は全知全能のようか多幸感に包まれていた。

『今ならこいつより速く動ける』

 そう確信した、悟は自分の剣を槍を持ってない方の手で持ち向かってくる右足に上から思いっきり兜割りの要領で叩き斬った。

 それと同時にワールドオーダーを思いっきり蹴ると反対側の壁まで蹴り飛ばした。

「うっ！？」

 実力以上の力を出した悟はその瞬間どっと疲労を感じた。

「悟、無事か！？」

 蹴り飛ばした後すぐにハイネが近寄り悟を立たせた。

「はぁ……はぁ……なんとか……」

 肩を揺らしながら呼吸をし額からいままで夏場の外にいたかのように汗が大量にでていた。

「来ますよ、ハイネさん」

 そう言うと、ワールドオーダーはすぐに壁から離れ全力でこちらに向かってきていた。

「悟のさっきの動きで倒せたと思ったけどやはり無理か」

「えぇ、強いですよ最低でもヤマトさんぐらいの火力は出さないと倒せる気がしません……」

 悟はそう言うと、ハイネが声を低くして「だとするなら単騎だけで倒すのは難しいな」と言うとハイネは悟の後ろに付くと、

「魔力を悟に流し込むそれを剣に全部注ぐんだ！」

 そう言われると「えっ、はっ、はい！！」と応えるとハイネは悟の背中を中心に手を添えて魔力を流し込んだ。

 流し込まれた魔力を剣に注ぎ込むと剣が炎を纏い始めた。

「なんで火が付くんですかハイネさん！？」

「私の魔力適正が炎だからだ！」

「どういうことですか！？」

「つべこべ言わないで来るぞ！」

「えっ、あっ、はい！」

 ワールドオーダーは剣を十字に構えながら向かってきていた。

 合わせるように悟は十字の中心に目掛けて剣を振った。

「やったか！？」

 ワールドオーダーを完全に胴体に剣を斬った手応えは感じていた。

 ワールドオーダーは上半身と下半身がずれ始めると半身ずつが地面に落ちた。
 
「た…たおした？」

 二人はその場から離れ一彩の居るところまで下がった。

 ワールドオーダーを見ながら一彩の側まで来てハイネが一彩の息を確かめると一彩は生きていた。

「よかった、生きていてる一彩は……」

 悟は安堵しつつ、ワールドオーダーをじっと見つめていた。

 手応えはあった完全に倒せた、そう感じるが何か腑に落ちないと思っていると自分の右手がズキズキし始めた、

「痛っ！？」

 そう叫ぶと右手を見た悟はここに来るまでに確かに抜いた触手が内部で暴れ始めていた。

「あっあぁ」

 悟は引っ張られる右手を見ながらワールドオーダーを交互に見た。

 すると、ワールドオーダーは別れていた体がくっついていた。

「何！？ まだ生きているのか……」

 ハイネも悟の様子とワールドオーダーを交互に見、それに気づいた。

ぐぉぉぉ

 そんな雄叫びが部屋の中に広がると、悟の手が暴れだし大量の血を吹き出したと思ったらだらんと下げ内部に残っていた奴の細胞が戻っていった。

「痛いし、まだ生きてるのか」

 そう言いながら悟とハイネは奮い立たるようにもう一度剣を出現させ構えた。