【完結】婚約破棄は計画的に!

マー子

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掴んだ幸せ

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 アミリアは、カマルから指先に口付けされ、顔に熱が集まる。そんな2人を見てレオナルドは叫んだ。

「カ、カマル!?アミリアから離れろ!アミリアは私の婚約者だ!!」

 カマルは呆れたように溜息をつき、衛兵にレオナルドを取り押さえさせた。

「先程も言いましたが、アミリア嬢と私の婚約は国王が正式に認めたことだ。これ以上私の婚約者に無礼は許さない。この者を連れて行け。」

 カマルは兄弟ではなく王族として、レオナルドを断罪した。

 そして成り行きを見守っていた周りの生徒たちにも聞こえるよう、ハッキリとした態度で告げた。

「アミリア嬢、そしてリンジー嬢。此度の兄上の愚行、王族として正式に謝罪する。」

 これにはアミリアとリンジーも驚いた。一公爵家と男爵家の令嬢に、王子が自ら謝罪したのだ。しかも、王族としての謝罪ということは、国王様の意も汲まれていると言うこと。
 それだけ、この騒動に大きく責任を感じていたのだろう。


「恐れ多いことでございます⋯謹んで謝罪を受け取らせて頂きます」

「同じく、謹んで謝罪を受け取らせて頂きます」

 アミリアとリンジーは、これ以上騒ぎを大きくしない為に、王族からの謝罪を受け入れた。


「ありがとう。それから、せっかくの卒業パーティーだと言うのに騒がせてしまい申し訳ない。これは王宮からのお詫びとして準備させてもらった。皆で楽しんでくれ」

 カマルがそう言うと、給仕係がぞろぞろ入ってきて一角に豪勢なデザートブッフェができた。その隣では、王宮専属料理人が実演で調理をしてくれるブースも設置されていた。
 これには参加していた学生達も大喜びだ。


 再び卒業パーティーが賑わいを取り戻した頃、アミリアとカマルはテラスに二人で抜け出していた。

「アミリア。やっと君を婚約者として迎えに来ることができた。でも、遅くなったせいで兄上のことを止められず、本当に申し訳なかった」

「カマル様。いいのです。貴方が元気に戻ってきて下さったことが、一番の喜びですわ」

 二人は見つめ合いながら、離れていた間のお互いの事を思った。


 アミリアは10歳でレオナルドの婚約者となったが、それまでは実はカマルと婚約していた。
 幼いながらもお互いを想い合い、アミリアは病弱なカマルの為に何か役に立たないかと、薬草の栽培や効能などを調べていた。調べていく中で、辺境にしか栽培されていない薬草がカマルの病気に効果があるかもしれないと分かり、カマルはそこで療養することになったのだ。

 本当はアミリアも一緒に行く予定だったが、わずか10歳にして新たな効能を持つ薬草を発見した優秀な娘を、当時レオナルドに頭を抱えていた国王が離さなかった。
 カマルの病気が治れば王位を継がせることができるが、そうでなければレオナルドが王位を継ぐ。そこには、優秀なアミリアの存在が必要不可欠だった。

 二人は引き離される事になったが、カマルは必ず元気になって戻るとアミリアに約束した。そしてアミリアも、カマルが戻ってきた時に支える事が出来るよう、王太子妃としての勉強を頑張った。

 国王は、そんな二人をレオナルドの為に引き裂いた事にずっと罪悪感を感じており、カマルが戻った際にはすぐに二人を再び婚約者に戻せるよう手配していた。
 そして、アミリアとレオナルドの婚約契約書をあんな内容で認めたのも、いつかこうなる事が分かっていたからかもしれない。


「父上は、僕とアミリアを引き離したことを気に病んでおられたよ。だから今回の騒動に対して、兄上には厳しい処罰が下されると思う」

「そうですか⋯。こんな事になってしまって、カマル様もお辛いでしょう?」

カマルは少し苦笑しながらも、首を横に振った。

「こればかりはどうしようもなかったんだよ⋯。兄上の性格を考えても、このま王族として残しておくのも難しかったからね。⋯兄上は、純粋すぎるんだ。人の言葉の裏の悪意などに気付かない。そのままに受け取って、簡単に利用されてしまう。そんな人が大きな権力を持ってしまったら、この国は崩壊してしまう」


そうなのだ。レオナルドは人の悪意など微塵も疑わない。また言葉を濁しても、遠慮しているのだと良い方に受け取ってしまうのだ。
だからリンジー嬢の件も、王子に対して不敬にならないよう言葉を選んで対応していた為に、レオナルドの勘違いが大きくなってしまった。
あそこまでハッキリと拒絶の言葉を言わないと、理解出来ないのだ。

「レオナルド様にはきちんと罪を償ってほしいですが、出来れば純粋なお気持ちを穢さずに、穏やかに過ごして頂きたいですわ」

アミリアは、レオナルドの今後を考えて憂いていた。


「そうだね。でもアミリア、そんなに兄上のことばかり考えないで⋯。今は僕との時間だよ?僕の事だけを考えて欲しいな」

そう言ってカマルはアミリアの頬に手を当て、自分に目を向けさせた。
離れている間に募った想いは、もう抑えられない。

そのまま情欲に濡れた瞳で見つめ合い、そっと唇を重ねた。

「アミリア、もう離さないよ。愛している」

「私も愛しています。カマル様」


パーティーの賑やかな音楽と喧騒の中、二人は何度も口付けを交わし、強く抱きしめあったー。






ーFinー
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