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青の魔導士

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 まるで御伽の話。魔王の討伐なんて無理。そんなこと考えてた。でも四天王に勝てた。これはかつてこの地に棲みついた悪と、歴戦を繰り広げた魔導士の長い旅の記憶。

「ついにここまで来たか。伝説の勇者候補亡き後の代理勇者にして青の魔導士よ。私が誰であるかそなたにはすでに分かっておろう。魔界の王にして王の中の王とは私のことだ。気の遠くなるような長い年月を経て私の存在はすでに神をも超えた。もはや世界は私の手の中にある。私のしもべたちがあれこれと働いていたようだが……。あのようなことはそもそも必要のないくだらない努力にすぎなかったのだ。なぜなら私は運命にえらばれた者。勇者も神をもこえる存在だったのだからな……。さあ来るがよい。私が魔界の王たる所以を見せてやろう」

 魔王城へ現着。ジャブの応酬。飛ぶ斬撃で呆気なく右手切断。最低限の止血で戦闘再開。

 泥沼化する長期戦。魔王の微笑みが鼻につく。水ブームランと水の刃を駆使してなんとか致命傷を避けていく。

 時の流れは無常に、身体が言うこと聞かなくなる。爪傷、切り傷、口から血が吹き出してく。

 それでも立ち上がる。志半ばで死んだ仲間を思い出す。『自分の手で魔王を必ず討伐する!』

 同じ道選んだ仲間組んだ討伐隊。自信が最後の生き残り『みんな力を貸してくれ』願いが届いたのか、不思議な力で一度に大量の水を出せるようになった。水のビーム。水の爆発。水の足場を作って果敢に食らいついていく。

 その刹那左腕が宙に舞う。無数の飛ぶ斬撃が襲ってくる。いつのまにかどうして、どんどん劣勢になる理由をもっと知りたいんだ。そうか、単純に力の差がありすぎるのか……

 斬撃が腰から一刀両断。贓物がまろび出る。勇者達よ。力を貸してくれたのに、未熟な自分を許してくれ。

「我が生涯、私にこれほどの傷をつけた者は居なかった。天晴れだ青の魔導士。私はそなたを忘れることはないだろう」

 元勇者パーティーの青魔導士。単体で魔王に挑み敗死。
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