一般盾使いの冒険記

まちゃかり

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第2章 ギルドで正式にパーティー結成!

2-7王女(後)

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 一時考え込んで沈黙の時が流れた。そのはずなのに、この沈黙が心地よく感じるのが限りなく気持ち悪い。なんだろうこの気持ち?

 ええい! こんな平行線辿るよりも単調直入だ! もう考えるのをやめた俺は思い切って深掘りしてみる。

「それでよ。お前はこれからユウキをどうするよ?」

「どうって......?」

「いや、流石にこのままじゃアカンでしょ? 本人はどうするつもりなんかなぁ......って」

 よつばは夜空を見ながら黙り続けている。そうだよな、対処法が分かってたらこんな暴挙やってないよな。少し野暮だったか。

 そんな心配を他所に、フフフ......と不惑な笑いをし始めている王女よつば。ちなみによつばは感情が興奮していると魔法を制御しきれない。つまり今冷気で包まれているのだ!

「火をつけて暖を取っとこ......フレア」

 よつばはまた何か妙案を思いついたのか、それともこの状況は計算通りで感情が昂ってるのか、はたまたただのハッタリか......

 そうだ、ただのハッタリなら俺は発狂するで。理由もなくただユウキに逃げるなんてまっぴらごめんだ。そもそも奴らには二度と会いたくもないのに......

 俺は仲間を守るためならどんな危険にも行くつもりだけど、それでも極力危険は避けたいし俺は勇者でも愚者でも無いから、いくらなんでも付き合ってられんと俺が感じたらよつばを無理矢理にでも王国に帰すことに努力をする。

 ことの顛末や理由をマール達に話せば納得するだろうし、よつばに対してはこれがきっかけで今後一切会わないことになっても元々俺は身分的に面識を持つことが無かったはずの男。世間的にはこれがいいのかもしれない。

 それに最悪不敬罪で処刑は免れるだろうしね。もちろんこれは最後の手段だ。このままよつばがグダグダと逃げ回るんだったらの話。

 そんな当事者であるよつばは冷気が少々溢れている杖で地面をバンバン打ち始めながらうんうんと一人で勝手に頷いている。

「おーい! いきなり何やっとる? 情緒不安定? 腹壊した?」

 軽く煽ってみたけど盛大にスルーされ、そしてよつばが感情のモヤが晴れたかのような声で言い出した。

「やっぱりこれしか無さそうですの。一方的に婚約破棄してやりますわ!」

「......はい?」

 婚約破棄......結婚の約束を交わしていたのを破る、取りやめること......

 なるほどそうか! これならよつばは立場が上だしユウキに楽々絶交宣言を......いや待てよ。

「おいおい。いくらユウキがクソ野郎でもさ、そんなこと王様は許してはくれないんじゃないか? それにそれやられた側のユウキも黙ってないと思うぞ?」

「そうなったら全面対決でOKですの。最悪のケースを想定して使いたくは無いですが私は権力行使すればそれで......」

 大丈夫かなぁ......一抹の不安が脳裏によぎるが、これは最悪な自体の時だとすぐにかき消した。

 なんどもいうが俺は政治や身分制のあり方などわからぬ。よつばがいいって言うならそれでいいんだろう。

 それで、よつばが婚約破棄とは言ったものの貴族はともかく王族が一方的に宣言するのは稀のようで......

「婚約破棄するかもしれないという手紙を一応兄の代理王に送ったら? いくらなんでも突然はマズイだろうから」

 それなら念には念を入れて代理王にも味方になってくれるための進言しておく。まあ代理王ならどっちみち味方につくだろうけどね。多分、そんな気がする。

「先日、あの手紙と共に既に送りましたの」

 よつばはあっけらかんとこう告げる。てかさらっと言ってたけどまさかの事後報告かよ。

 ていうかこの行動から推測するに前々から婚約破棄する気満々だったのか? まさか......ね?

「手紙?」

「いえいえ、こっちの話ですの」

 フーン......まあいっか。

「原来私は外の世界を見たく、盾使いのあなたを護衛役として誘ってここまできたのですの。苦しい道のりは覚悟はできていますの。

 よつばはここまで行ったのち洞窟の中を見て、王国の事情を葛藤しているのだろうか、熟睡しているマール達をみてよつばはこんなことを呟いている。

「......貴方達は規制が緩められたとはいえ、我が国で迫害対象のはずなのですわ。貴方達はなぜその王女である私を受け入れてくれてるの......」

 ......マールはいいとしてガドラは能天気なだけなんじゃとは思ったが、口には出さないでおこう。本人的にはただの独り言だろうし。

 それにしても、モリヤミで実質亡命生活か......

「一応言っとくが冒険者家業はよつばが思っている以上に厳しいぞ。依頼に書かれている以上の魔物に遭遇するかもしれないし、なんなら魔物以外にも敵がいる。......泣き言言うなよ?」

「ガァァァァ! さっきからうるさいっすよ! ガォォォォォ! ガァァァァ!」

 ゴオオオオッ! 

 なんだなんだなにごとだ!? よつばに忠告をしている最中、ガドラが突然火炎放射の如く炎を放ってきやがった!?

「ヒッ!? ギョェェェェェ!? 反逆者ですの!?」

 幸い俺達は洞窟の入り口付近にいたから被害は無かったし、火と言っても俺のフレア並みの威力だったからマールにも被害無しだったが、この光景の衝撃は危機感を覚えるレベルでやばかった。

 一瞬気でも狂ったのかと思ったが、その後ガドラはグニャグニャと寝息を立ち始めたので多分寝言なのだろう......

「もう寝ましょう? さすがに明日起きれなくなりますの。炎怖いし」

 さすがに今のはやばい。肝っ玉なよつばが身震いを覚えて俺の背後に隠れているいるぐらいだし、てかまるで制御不能な火吹きじゃん。

「いや、俺はもう少し起きとくよ。今よつば以外誰も起きてないし見張り番が必要だろ」

「そ、そうですわね! 魔物が現れないように見回りよろしくお願いですの。私は少し遠くの場所で休みますので......」

「アハハハハ......おやすみ」

 見張り番を自らやるのには理由がある。まずは単純に火の衝撃で眠れなくなったからだ。

 それに......俺には休んでる暇はない。俺は神々がくれるような才能なんて持っていない。正直努力は裏切らないという言葉は嘘だと思ってる。それでもだからこそ今日は、今日だけでも自分のためみんなのために頑張っていこう。

 てなわけで俺は今から秘密兵器を作る。実力で勝てないなら姑息な手段を取るしかないのが我ながら悲しいところだ。

◇◇◇◇◇
次回に続く
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