一般盾使いの冒険記

まちゃかり

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第2章 ギルドで正式にパーティー結成!

2-8 登山者

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 あの洞窟で一夜を過ごした俺達は、軽く腹を満たしたのち例にもよってあのグラグラする馬車で移動していたのだが......

「なぁガドラ。向かうに人影が見えるんだけど俺の気のせいかな?」

 ここはもうちょいで山頂という地点。魔物がウジャウジャいる場所に登山者がいるとは考えられないけど、一応気をつけて操縦してくれとガドラに一言というか忠告を言っておいた。

「たしかに誰か居るっすね~。これがもし魔物だったら俺っちのファイアブレスで焼き払えながら前進できるんすけどね~面倒っすな」

 なんだその技は......ファイアブレスってまるでドラゴンそのものじゃん。いやガドラはリザードマンだから炎を吐いてもおかしくはないか。

 そんなことを言いながらも、ジュンティルを使って走る馬車はみるみる内に登山者の近くまで接近していた。

「さあ我がドラゴンに引かれたくなければ死ぬ気で必死に回避しな! ジュンティルに当たったらタダじゃ済まないっすよ!」

「ちょっ、安全運転は......人の話を聞けぇぇぇ!?」

 あっ!? マズい、馬車の進行通路に登山者が! このままじゃ轢かれちゃうぞ頼むからかわしてくれぇぇぇ!

 その願いは良くも悪くも叶ったのか、登山者が引かれる寸前で止まっていた。どうやらこの馬車は緩やかな上り坂を登っていてスピードは思ってたより出てなかったのと、ガドラの運転技術のおかげで最悪の事態は免れてたようだ。

 それにしても......ガドラくんはもうちょっと乗り物酔いに優しい運転を心がけてほしいな。もうすでに頭がクラクラしてるんだ。

 そんな馬車の運転手ガドラは、馬車から降りて登山者にこっちが悪いのに理不尽な文句を言っていたので、俺は双方に平等な仲介人になろうと馬車から降りたわけだけど。

 ギリギリギリギリ......何かが擦れているような音が登山者から聞こえてくる。なんか......登山者の様子がおかしくないか? これはただことでは無さそうだ。

「良くも魔王幹部にして四天王候補の1人である我を馬車で引こうとしたな!」

「は? お前......?」

 てことは四天王ではないけどそいつらに近い実力を持っているのか......?

 なんてことだ、初見でてっきり無害な人だと思って盾以外の武器を全部馬車に置いてきてしまった。

 しかし、魔王幹部......見た目は人間だけど敵意は有りそうなのは確かか。
 
「こい......我がしもべ達お!」

 なんだ!? 登山者の周りに悪魔みたいな見た目の奴らがウジャウジャと。こいつらも人間......? いや多分違うな。

「どうせこっちから質問しなくてもいずれわかることでしょう。さあ正体を教えるですの!」

「ギリギリギリ......ギシャァァァ!」

 登山者の身体がだんだんとデカくなってさらに頭にツノが生えてきた!? それに皮膚も青白くなってきている。

 最終的に一般的な人間の身長の2倍近い図体になり威圧感で俺は圧倒された。何故か冷や汗が止まらない。

「ギリギリギリ......貴様は大罪を犯したお。生かしては返さんお」

 ラスボスみたいな風格なのにふざけた語尾をしている元登山者。一気に緊張感が溶けていくんだけど。やっぱり四天王候補か......

 とりあえずここは穏便に済まそう。こういう出会いかたはロクな目に遭わないから。

「すみません。うちの運転手が失礼しました。では俺達は急いでいるので......」

 ピシュン!

 何かが俺の顔をかすめていった......? 右肩から少量の血がほどはしる。後ろでは木の枝がスパッと切断されて地面に落ちていた。

 致命傷にならない程度には咄嗟に避けることができたのは運が良かった。てかもしかして当たりどころが悪かったら俺はこいつに首と胴体両断されてたのか......?

 ていうかこの風貌どこかで見覚えがあると思ったら......

「ま、まさか......お前は本当にあの悪魔なのか......? いやそれが本当なら何故今ここにいる!?」

 確認したと同時に身震いが止まらなくなった。コイツらはヤバい魔物の一体に数えられるほどの凶悪な奴らだ。コイツらに襲われて命を落としたのは数知れず。生命の危機を肌で感じる。

 コイツらは腹に剥き出しのコアがあるという明確な弱点があるけど、今の俺達で倒せるのか? いやこの世は弱肉強食。殺らなきゃみんな殺される。

「ホホウ......魔王幹部の1人がわざわざ来たんすか。こんな辺地な場所でご苦労様すっね!」

 こう言うとガドラは近くにいた悪魔を鋭そうな爪で顔面を切り裂いた。

「おい待て! 一回落ち着け! まだ早い! いや手遅れだろうけど一回落ち着け!」

 なんで好戦的でさらにわざわざ挑発して事態を悪化させるの......? 悪魔でも人間でも誰でも誠心誠意を持ってくれ。

 結果的に対話で解決は無理になったか......どっちみち敵意剥き出しで攻撃してきてたしダメだったのかな?

「こんなことをしてなんだけど、一応聞きたいから言う。お前達は何しにここに来たんだ? この山には特に伝承とかはないはずだが?」

 それにチッチッチと反応する元登山者でリーダー格の悪魔。冒険者のくせにロクに調べてないのかと言いながら目的を話しだした。

「我々はそこの白銀のドラゴンを捕縛するために来たんだお。探す手間が省けて最高の気分だお! まずはこのドラゴンもどきを潰すお!」

「なんだと!」

「落ち着け。一回深呼吸して落ち着こう」

 このガドラがドラゴンと言い張っている馬もどきにあんまり魅力は感じられないんだが? コイツらの目的はよくわかんないけど......もしかして高値で売り捌けるからかな?

「コイツだけは渡さないぞ! 悪魔の盗賊め! そこの偉そうな奴と勝負させるっす!」

「待て待て。なんですぐに勝負の話になる。この大切なドラゴンを奪うと言っている奴らに対して怒りを覚えるのは分かるけど冷静に冷静」

「止めるなハルト! 俺はもう怒り爆発ファイアブレスをぶちかましたる!」

 クッ。いつもは常識人なのに今は手が付けられん。もしかしてジュンティルが絡むとめんどくさくなるタイプなのか?

「今日のハルト、やけに慎重だね。さっさと潰したらすぐに解決しそうなのに」

 はいマールくん。その闘争派の考えは一旦忘れて落ち着きたまえ。

 俺はな戦いはあんまり好きじゃないんだ。できることなら最小限の被害で終わらせたいじゃないか。
 
「ほう......あのパレンラトス王国の王族がこんな辺地に......これはこれで何かに使えて好都合だお。ついでに魔王様に献上するために狙うお」

「......え? なんで私がついで感覚で狙われていますの......?」

 なんだと!? いや......一応パレンラトス王国の王女だから、魔王軍的には利用価値があるというわけか。もう事態が複雑化してきとるな!

 とりあえず今にも飛び出そうなガドラを押さえながら『俺に作戦がある』と言って宥めることに成功はした。

 そして......リーダー格の悪魔はこんな提案をしてきたのである。

「そこのドラゴンとパレンラトス王国の王族を差し出せばお前らの命だけは助けてやるお」

 フーン......

◇◇◇◇◇◇
次回に続く
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