僕の義理兄弟

お墓掃除

「こっちです」
「あぁ」

木村さんは水と花を持ち僕はお線香と掃除道具をもってお墓に案内する。

「大分来てなかったんで、草延び放題ですよ」
「……凄いね、よしやろうか」

スーツの背広を脱ぎ、腕捲りをする。
木村さんはぎょっとする賢輔さんがまさか掃除するとは思わなかったのだろう。

「………賢輔様ーっ」
「おっと、木村今日の事は他の人には秘密だ」
「ーっですが」

木村さんは納得していない様子だが、賢輔さんのしやすい様に行動している。
僕はごそりとリックから歯ブラシと薄めた洗剤お墓の石の名前が彫ってある字をなぞって、磨いていく。

「……手慣れていますね」
「母と如何に綺麗にするかを吟味した結果なんですよ」

研き終わったら湿った布で綺麗にして、最後に乾拭きする。

「水掛けないんですか」

驚愕している木村さんに僕は首を振るう。

「石が弱くなるんですよ、でなくても雨で弱っていますから……それに雷が入れば簡単に割れてしまいます、だから石は水をちゃんと拭き取るんです」



「………僕歌うんですかーっ無理です無理です」

ふるふるふると首を振るうが、 林田さん僕のマネージャーさんがにっこりと笑う。
それなりに知り合ってから時間が経って、林田さんの性格が分かってきた気がしたが……。

「ＣＤは売れているし、イベントだそれも夏のな」
「……いきなり過ぎますーっ」

にっこりと林田さんは台本を渡す。
台本には挨拶→オープニング→森川雅則→福山佑司→井上渉→松風総一郎→鳥海淳司→遊佐翼→ベーザ→森川展男に森川勝平→エンディング→挨拶と書かれていた。

「うわっ、本当にやるんですね」
「…………やるよ、という事でダンスと歌のレッスンな」
「……２週間もないですよーっ」
「………唯稀ならやれる、やるんだ」