僕の義理兄弟

家出

「家出の原因ですか」
「……………そうっ……まぁ俺も良くは知らないけどなぁ、兄貴のいい方しか聞いていないし……兄貴はまだお前を認めていない、青梛の財産を狙っていると思っている」

青娜の財産……僕は興味無いんだけどね。
僕じゃなく、賢輔さんが書類を製作してしまったんだよね。

「……まぁ、未成年の俺達があぁだこうだ言ったって、大人の都合に振り回されるだけなんだけどな」
「………」
「三人には淋しい思いをさせているって事は分かってた、兄貴も俺もあの家から逃げたかったんだ…今では真剣にやっているし、辞めたくないと俺は思っている……賢那には悪いけど、跡取りはきっと賢那になる……勿論外から手助けはいくらだってするつもりだ、あの学園はそんな生易しくないからなぁ」

確かに……優しくない。
本当に優しくないんだよね、毎日勉強しないと追い付けないしなぁ。





「……だから、今のうちにいっぱい遊ばせて欲しい、お前も声優の仕事が急がしいとは思うけど、俺達は世間の事をそこまで詳しくないからなぁ」
「……ロケとか行きますよね」
「ロケには何回か行った事あるが、所詮ロケだ全てが整えられている……一人でバスや電車なんて乗ったことないしなぁ…遊園地や水族館も分からない、資料だけの世界」

雄太さんの言葉に少し悲しくなる、丞や佑美も同じ事を言っていたし。

「……悲しいですね……」
「……お前も同じ事を言うんだなぁ…美和子さんも言ってたよ、仕事が急がしのは分かるけど、少しは子供を見てあげなさいって…父に怒っていたが……美和子さんと最近会っているか」

そういえば、此方に来てから。
何もないよなぁ…余り話したりもしていないし、会ったりもしていないし。

「あー…まぁ僕はもう１５歳ですから」