運命の番はイケメン美形様です

夜ト

文字の大きさ
上 下
8 / 123

黒豹

しおりを挟む
リルク君は笑いながら、真っ暗で窓だと気付かなかったがボタンを押すと風景が見え始める、
僕は夜明けに倒れたのに今は夜だ、つまり1日経過したって事になる。
僕はみるみるうちに青ざめる気がする。

「ーっ僕家に帰らないと」
「あっ、番様ーっ家には帰れません・・覚醒した稀少種様は、もう人間ではないのですよ・・それに番様はまだ不安定ですし、何より番様が此方に来た日から一週間は経過しています」

リルク君の言葉を聞き僕はパタリッと倒れてしまう。
自分が稀少種な吸血鬼という妖怪に作り替えられた感じがまだしない。
血は非常に美味しく、身体も過去にない程絶好調だけどね。
そういえば、血を舐めてからご飯を食べていないがお腹がまったくしないんだ、
おかしいよね。

泣きたく成って来た、本当に人間ではなくなったのかなぁ、僕。

「奏多大丈夫か、今血をあげるからな」

クンックンッと鼻を鳴らし・・・・・・・鼻を鳴らすーっっ。

「あぁ、流石に早いなぁ」
「きゅっきゅーっ」

僕は焦り大声で叫ぶがその声は、可愛い鳴き声でしかなく。
僕はどうなってるのーっ。

「あぁ、そんなに飲んではダメだ」

抗議の眼を向ける、そう僕大変騒乱しているにも関わらず、血が垂れるのは勿体なくクリス様の指から口が離れないんだよね。
今はクリス様の口から無理やり引き抜かれ、抱っこされているけど。
そう抱っこされているんだ、僕だって後数年で成人式なんだからね、普通よりは小さいし細いって分かっているけれど、それでも赤ちゃんみたく片腕では抱っこ出きるはずないんだよ。身体が何故か小さくなっている気がするし、僕の声がキュウキュッと鳴く音しかしないから、恐る恐る僕は自分の身体をみる。

「キューッキューッキューッ」

僕の叫び声にクリス様が来たからと部屋を出ていたリルク君が慌てて入って来る。
「番様どうかしましたかって・・うわっ早いですね、まだ一週間しか経っていないのに、もう変化出きるんですね」

キラキラッとした眼で見られながら、鏡を差し出される。
そこに映るのは僕ではなく真っ黒な可愛い黒豹の子供。
僕は発狂する、吸血鬼になるよりも動物になる方が衝撃的だよね。

しおりを挟む

処理中です...