人外食堂

ケーキ

「何してんだよ」
「あっ、なずなくんおはようございます」

なずなは朝起きてダイビングに行くと甘い香りが鼻腔に届き、疑問に思いながらキッチンへ行くと色とりどりなケーキがテーブルに並んでいて、両親とお手伝いさんが一心不乱でケーキにがぶっいている。

幼い時に両親が居なく寂しく思い、お手伝いさんに一緒に食べようと泣きながら懇願したが、雇用主と一緒のテーブルに付き食事は絶対に出来ないと頑として譲らなかったお手伝いさんが
嬉しそうにケーキを食べるのだ、何か危ない物でも入って居るのかもしれない。

「なずなちゃんおはよう、みずなちゃんの店でケーキを出すからその試作品をみんなで食べて貰って居るのよ」
「クリスマスケーキだから、綺麗で華やかで豪華なケーキにしながら、味が良くないといけないからな、疲れた身体は甘い物が一番だ」

「ーっ」
「あっ、なずなくん苦かったかなぁ、中に栗の渋皮入りクリームと焼き栗の生クリームを甘い栗クリームに包んでみたんだけど」

一口食べると甘い栗の生クリームとふわふわのスポンジ生地が最高に合う。
ジタバタと足が勝手に動き出しそうなくらいうまいケーキに顔は自然と綻んでしまう。

「あらあら、みずなちゃんったら意地悪ね昔からなずなちゃんは美味しい食べ物を食べていると足がジタバタしちゃうから、足を止めるのに必死で顔が強張るのよね」
「なっ・・うるせっ」

図星を母に言われて真っ赤な顔に成って居るであろう、なずなは苦虫を噛み締める。