4 / 23
魔法学校の魔法は飾り 3
しおりを挟む
「さて、俺と君たちは初対面であるというのに、もうこんなにも仲良くなってしまったからざっくばらんにいこう。俺のことはどれくらい知ってる?――ドル君」
「はい!」
ドルが模範のような起立をする。
「ザザ先生は、世界初の他属性魔法行使の方法を発見された偉大な人物と伺っております。そして、行政改革ギルドという国家公務員の地位を活用し、その手法を広く世間に周知すべく魔法学校を設立した――そのように聞き及んでおります」
朗々としたよく通る声が響く。彼はリーダー向きだなと思いつつ、ザザはその言葉を受けた。
「偉大かどうかはさておき、概ねその通り。俺は現在も行政改革ギルドに所属している。行政改革ギルドってのは、世間のチンケなルールを改革して残業時間を減らす、休日を増やす、業務の生産性を上げるといった取組をしているんだ。次はじゃあ、そうだな……ユーロさん」
「はい」
落ち着いた美人がすくっと立ち上がる。令嬢然とした凛と光る佇まいが彼女を一層美しく魅せており、周りの男どもがこぞって鼻の下を伸ばした。ザザは彼ら男どもに多少同情しつつ、ユーロに質問を続ける。
「そんな俺が、どうして唐突に魔法学校にやってきて、どうして唐突にお金の授業をするなんて言い出したのでしょうか?」
「分かりませんわ」
即答。考える素振りすら無し。
「そんなことより、男性の口説き方でも教えて差し上げましょうか。あ、先生は男性だから女性の口説き方の方が良いのかしら?大丈夫ですよ、私はどちらも得意ですから」
「ユーロさん、クセが強い!」
悲鳴を上げるザザ。意外なキャラクターだった、彼女は令嬢じゃないのか……。
男女問わない人間の口説き方はそれはそれで聞いてみたい気もするが、彼の仕事は授業をすることであって、授業を聞くことではない。
「口説き方はまた今度ね。じゃあ……ジンミンゲンさんはどうかな?お金の授業をする理由、分かる?」
「うむ」
ジンミンゲンと呼ばれた男性が戸惑いながら立ち上がる。丸顔で細目の彼だが、それにしては人懐っこい印象を受けた。彼の着ているシャツに”チャーハン”と書かれているからだろうか。
「我はアレが原因だと思う。老後2000万バルク問題だな。将来的にお金が足りなくなるから、若い内から準備をしてほしいという国からのメッセージなのだと受け取った。ザザ先生は国営ギルドの人間であるしな」
「ジンミンゲンさんは良いね、ちゃんとしてる。それも理由の1つだね。最近の試算では“55万バルクの資産があれば良い”なんて計算結果も出てるくらいだけど、将来のことは誰にも分からないよね。もしかしたら2000万バルクなんて嘘っぱちで、実は3000万バルクが必要なのかもしれない。俺たちの平均寿命はどんどん延びているし、80歳で死ぬ時代は終わって人生100年時代が来るかもしれないし、人生150年時代が来るかもしれない。だから、今のうちから準備をしておこうということだね。ジンミンゲンさんは素晴らしい!」
ザザがジンミンゲンを絶賛する。まんざらでもないのか、彼は少し恥ずかしそうにしながら着席した。それを見て、ザザが「でも」と言葉を続ける。
「それじゃあ満点はあげられない。他にも重要な理由があるんだけど分かる人はいるかな? ……さっきからすげぇ答えたくて仕方ない人がいるから、そろそろ当ててあげようか」
そわそわという効果音が目の前からずっと聞こえてくるのに耐えられなくなったザザ。彼は教室の最前列に陣取る女性を見て苦笑いし、彼女を指名した。
「はい!」
ドルが模範のような起立をする。
「ザザ先生は、世界初の他属性魔法行使の方法を発見された偉大な人物と伺っております。そして、行政改革ギルドという国家公務員の地位を活用し、その手法を広く世間に周知すべく魔法学校を設立した――そのように聞き及んでおります」
朗々としたよく通る声が響く。彼はリーダー向きだなと思いつつ、ザザはその言葉を受けた。
「偉大かどうかはさておき、概ねその通り。俺は現在も行政改革ギルドに所属している。行政改革ギルドってのは、世間のチンケなルールを改革して残業時間を減らす、休日を増やす、業務の生産性を上げるといった取組をしているんだ。次はじゃあ、そうだな……ユーロさん」
「はい」
落ち着いた美人がすくっと立ち上がる。令嬢然とした凛と光る佇まいが彼女を一層美しく魅せており、周りの男どもがこぞって鼻の下を伸ばした。ザザは彼ら男どもに多少同情しつつ、ユーロに質問を続ける。
「そんな俺が、どうして唐突に魔法学校にやってきて、どうして唐突にお金の授業をするなんて言い出したのでしょうか?」
「分かりませんわ」
即答。考える素振りすら無し。
「そんなことより、男性の口説き方でも教えて差し上げましょうか。あ、先生は男性だから女性の口説き方の方が良いのかしら?大丈夫ですよ、私はどちらも得意ですから」
「ユーロさん、クセが強い!」
悲鳴を上げるザザ。意外なキャラクターだった、彼女は令嬢じゃないのか……。
男女問わない人間の口説き方はそれはそれで聞いてみたい気もするが、彼の仕事は授業をすることであって、授業を聞くことではない。
「口説き方はまた今度ね。じゃあ……ジンミンゲンさんはどうかな?お金の授業をする理由、分かる?」
「うむ」
ジンミンゲンと呼ばれた男性が戸惑いながら立ち上がる。丸顔で細目の彼だが、それにしては人懐っこい印象を受けた。彼の着ているシャツに”チャーハン”と書かれているからだろうか。
「我はアレが原因だと思う。老後2000万バルク問題だな。将来的にお金が足りなくなるから、若い内から準備をしてほしいという国からのメッセージなのだと受け取った。ザザ先生は国営ギルドの人間であるしな」
「ジンミンゲンさんは良いね、ちゃんとしてる。それも理由の1つだね。最近の試算では“55万バルクの資産があれば良い”なんて計算結果も出てるくらいだけど、将来のことは誰にも分からないよね。もしかしたら2000万バルクなんて嘘っぱちで、実は3000万バルクが必要なのかもしれない。俺たちの平均寿命はどんどん延びているし、80歳で死ぬ時代は終わって人生100年時代が来るかもしれないし、人生150年時代が来るかもしれない。だから、今のうちから準備をしておこうということだね。ジンミンゲンさんは素晴らしい!」
ザザがジンミンゲンを絶賛する。まんざらでもないのか、彼は少し恥ずかしそうにしながら着席した。それを見て、ザザが「でも」と言葉を続ける。
「それじゃあ満点はあげられない。他にも重要な理由があるんだけど分かる人はいるかな? ……さっきからすげぇ答えたくて仕方ない人がいるから、そろそろ当ててあげようか」
そわそわという効果音が目の前からずっと聞こえてくるのに耐えられなくなったザザ。彼は教室の最前列に陣取る女性を見て苦笑いし、彼女を指名した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる