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俺たちの火魔法 ”FIRE” 6
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教室の皆がNISA口座の開設手続きを終えるのを待ち、ザザは口を開いた。
「多くの人が申込してくれたようだね。パソコンやスマフォンから手続きした人は俺には状況が分からないけど、良い選択をしてくれたことに期待するよ」
トントンと紙の書類を机で整える。紙で申込書類を書いたのはおよそ3分の1程度で、備え付けのノートパソコンを持っていったのが3分の1、残りはスマフォンを弄っていたので、正確な申込状況はよく分からない。しかし、初対面の怪しい先生から受けた授業で申込を決意してくれたその心意気には感謝をしなければならないだろう。
「さあ、今日のやるべきことはまだ2つ残ってるぞ!FIREプランを立てることと、お金を稼ぐことだ!まずは君たちのFIREプランを考えていこう!!!」
NISA口座作りも終わり、今日の授業目標はあと2つ。先にやるべきは今後のFIREプラン作成だ。何か大きな物事を成し遂げるために必要なことは、その目標達成までの道筋を立てることに他ならないのである。
「……とその前に、ユーロさん」
「なんですの?」
「君も今年で19歳、魔法学校卒業時には22歳だ。将来の夢、今後の人生目標と言い換えてもいい。そいつを教えてくれ」
「い、いきなりそんなことを言われましても……」
「いきなり?おいおい、バカ言っちゃいけねえよ!もう後3年で社会人だぜ?君たち学生の3年なんてあっという間だ。ユーロさんだって3年前は高校入ったばっかじゃねーか」
「た、確かにそうですわね……」
そうなのだ。学生たちに将来のことを聞くと、彼らは口を揃えて「先のことは分からない」と答える。だが、現実は残念ながらそんなに甘い物じゃない。彼らが社会人への一歩を踏み出す瞬間を、時間は決して待ってくれないのだ。
――あ、待ってもらう方法が1つだけあった。留年という裏技だが。
「いいんだよ、別に大それた目標じゃなくてさ!」
「で、でしたら……普通の公務員ですわ」
「普通の公務員?」
「ええ。安定的に収入を得られて、その後の転職に困ることもない。私にとっての目標ですの」
「公務員?ハッ!!!!」
ザザはユーロを鼻で笑い飛ばした。所詮彼女も小娘だ。まだまだ生まれてこの方18年ぽっちしか生きていない人間のチンケな考え。これまで彼女には良い教師が付かなかったに違いない。だから彼女はこんな考え方をしてしまうのだ。
なるほどなるほど、彼女の将来の夢は公務員だという。
その夢の、なんて“夢のない話”か。
「お前さんの人生のゴールは、”社会に出て働くこと”なのか?」
「!?」
「公務員になりたい、結構な夢じゃねーか!本当に素晴らしい!それはとても良いことだし、世に蔓延ってるクソニートどもにユーロさんのサラサラヘアーを煎じて飲ませてやりたいくらいだ!」
「さ、サラサラヘアーだなんて///」
「おう、今大事な話だからちょっと黙ってろ。とにかく!」
こほん。
咳払いをして仕切り直し。
「ここにいる皆がそうだと思うけど、小学校の時からずっと先生に『将来の夢』なんてクソつまらないものを書かされただろう?あれがなんでクソつまらないか分かるか?『将来の夢』と言いつつも、『将来なりたい仕事しか書いちゃいけない』って先生に言われたからだよ!」
『『『!?』』』
「将来の夢と将来なりたい仕事は別だし、逆に同じ人もいるかもしれん。でも、全員が全員同じってわけじゃないだろ?ユーロさんの”将来なりたい仕事”は公務員だけど、”将来の夢”は『イケメンのお嫁さんになること』かもしれない」
「な、なんでそれを!?」
ザザはユーロの動揺を無視。
「俺だって、将来なりたい仕事は”大日本帝国で残業を認める会社を駆逐する仕事”だったけど、将来の夢は”他属性魔法で完璧なウォシュレットを作ること”だ」
『か、完璧なウォシュレット……?』
「そうさ!!!!」
だぁん!!!!とザザが力任せに机をひっぱたく。
「この国のケツを拭く紙ときたら、どれもこれも紙やすり紙やすりッ……!!!毎日俺がどんな気持ちでケツを拭いてると思ってやがる!!!!おぎゃあと生まれ出でた柔らかなケツの時から、金属のバリ取りも出来ちゃうようなやすりでケツを蹂躙されたおかげで、俺は万年痔なんだよ!!!!」
『痔……』
『痔なんだ……』
『痔は仕方ない……』
大の大人がよよよと泣き崩れている。しかしそれは、彼にとって本当に本当に許せないことで、本当に本当に心から呪いをかけたくなる程に許せない事案であった。たかがケツ、されどケツ。現代日本において最高のトイレットペーパーでケツを拭いたことしかない人間には決して分からない地獄。
「なあお前ら、俺が世界で初めて他属性魔法を発見した人間だってことは知ってるか?」
突如神妙な面持ちになるザザ。その顔は、1秒前まで痔がどうのこうの言っていた人物にはとても見えない。
「俺は、火属性の魔法適正があったんだ。でもな……火じゃケツを綺麗にできない。自分のケツを、燃え盛る炎で炙ることしかできないんだ。その苦しみが分かるか?なんで俺には水魔法の適正がないんだと、毎日毎日泣きながらケツを拭いてもらった赤ん坊時代を俺は絶対に忘れない」
『いや、赤ちゃんの時の記憶なんてないんじゃ……』
「だから俺は毎日練習したんだ。自分のケツを水で洗い流すため、あのケツ殺しの紙を使わなくていい生活を送るため、毎日毎日、雨の日も雪の日も嵐の日も雷の日も、何度も何度も水魔法の練習をしたのさ。そうしてついに俺の努力は実を結び、自らのケツを水魔法で洗い流し、火魔法で乾燥させるという境地に至った」
『ヤバい、この世で一番聞きたくない他属性魔法誕生秘話だ』
「その内に俺は火魔法と水魔法という相反する力を融合して温水を作ってケツを流したり、火魔法と風魔法で温風を作ってケツを乾かしたり、当時主流だったボットントイレをやめて座るタイプのトイレを土魔法で作ったり、夜が怖い日は光魔法で辺りを照らしたり、うんこがくせえ時は闇魔法で臭いを閉じ込めて消臭したりしてきたのさ」
『本当に聞きたくなかった』
『この人マジでトイレ周りのことしか考えてないじゃん』
好きこそものの上手なれ。
お尻を労ることから始まったザザの魔法スキルは、次第に用を足すための道具作りに進化し、いつしか快適なトイレライフを送ることができるように昇華されていった。
これが、1人1属性という世界の常識を打ち破り、世界で初めて他属性魔法を使った者の昔話である。
「今こそ俺の将来の夢を語ろう。俺がFIREを達成して経済的自由を得た時には、大日本帝国全土に高級トイレを設置し、何人たりともあの忌まわしい紙やすりにも劣る塵紙でケツ拭くことがないようにする!!!それが俺の夢だ!!!!!」
ばぁぁああああん!!!!
と大きな効果音がザザの背中に弾けるのを聞き(途中から聞くのをやめたが)、改めて生徒たちは己の将来について考え始めた。将来の夢が”職業”だった者は、本当にそれが自分のやりたいことだったのか。将来の計画を既に立てていた者は、FIREしてからやりたいことがあるのか。確かにザザの話はトイレにまつわるものばかりだが、彼の執念とそれに付随する行動は確かに凄い。
「さあ、君たち生徒諸君は一体何がしたい?何のためにお金を稼ぎたい?思う存分己の欲望をさらけ出してくれ!」
「多くの人が申込してくれたようだね。パソコンやスマフォンから手続きした人は俺には状況が分からないけど、良い選択をしてくれたことに期待するよ」
トントンと紙の書類を机で整える。紙で申込書類を書いたのはおよそ3分の1程度で、備え付けのノートパソコンを持っていったのが3分の1、残りはスマフォンを弄っていたので、正確な申込状況はよく分からない。しかし、初対面の怪しい先生から受けた授業で申込を決意してくれたその心意気には感謝をしなければならないだろう。
「さあ、今日のやるべきことはまだ2つ残ってるぞ!FIREプランを立てることと、お金を稼ぐことだ!まずは君たちのFIREプランを考えていこう!!!」
NISA口座作りも終わり、今日の授業目標はあと2つ。先にやるべきは今後のFIREプラン作成だ。何か大きな物事を成し遂げるために必要なことは、その目標達成までの道筋を立てることに他ならないのである。
「……とその前に、ユーロさん」
「なんですの?」
「君も今年で19歳、魔法学校卒業時には22歳だ。将来の夢、今後の人生目標と言い換えてもいい。そいつを教えてくれ」
「い、いきなりそんなことを言われましても……」
「いきなり?おいおい、バカ言っちゃいけねえよ!もう後3年で社会人だぜ?君たち学生の3年なんてあっという間だ。ユーロさんだって3年前は高校入ったばっかじゃねーか」
「た、確かにそうですわね……」
そうなのだ。学生たちに将来のことを聞くと、彼らは口を揃えて「先のことは分からない」と答える。だが、現実は残念ながらそんなに甘い物じゃない。彼らが社会人への一歩を踏み出す瞬間を、時間は決して待ってくれないのだ。
――あ、待ってもらう方法が1つだけあった。留年という裏技だが。
「いいんだよ、別に大それた目標じゃなくてさ!」
「で、でしたら……普通の公務員ですわ」
「普通の公務員?」
「ええ。安定的に収入を得られて、その後の転職に困ることもない。私にとっての目標ですの」
「公務員?ハッ!!!!」
ザザはユーロを鼻で笑い飛ばした。所詮彼女も小娘だ。まだまだ生まれてこの方18年ぽっちしか生きていない人間のチンケな考え。これまで彼女には良い教師が付かなかったに違いない。だから彼女はこんな考え方をしてしまうのだ。
なるほどなるほど、彼女の将来の夢は公務員だという。
その夢の、なんて“夢のない話”か。
「お前さんの人生のゴールは、”社会に出て働くこと”なのか?」
「!?」
「公務員になりたい、結構な夢じゃねーか!本当に素晴らしい!それはとても良いことだし、世に蔓延ってるクソニートどもにユーロさんのサラサラヘアーを煎じて飲ませてやりたいくらいだ!」
「さ、サラサラヘアーだなんて///」
「おう、今大事な話だからちょっと黙ってろ。とにかく!」
こほん。
咳払いをして仕切り直し。
「ここにいる皆がそうだと思うけど、小学校の時からずっと先生に『将来の夢』なんてクソつまらないものを書かされただろう?あれがなんでクソつまらないか分かるか?『将来の夢』と言いつつも、『将来なりたい仕事しか書いちゃいけない』って先生に言われたからだよ!」
『『『!?』』』
「将来の夢と将来なりたい仕事は別だし、逆に同じ人もいるかもしれん。でも、全員が全員同じってわけじゃないだろ?ユーロさんの”将来なりたい仕事”は公務員だけど、”将来の夢”は『イケメンのお嫁さんになること』かもしれない」
「な、なんでそれを!?」
ザザはユーロの動揺を無視。
「俺だって、将来なりたい仕事は”大日本帝国で残業を認める会社を駆逐する仕事”だったけど、将来の夢は”他属性魔法で完璧なウォシュレットを作ること”だ」
『か、完璧なウォシュレット……?』
「そうさ!!!!」
だぁん!!!!とザザが力任せに机をひっぱたく。
「この国のケツを拭く紙ときたら、どれもこれも紙やすり紙やすりッ……!!!毎日俺がどんな気持ちでケツを拭いてると思ってやがる!!!!おぎゃあと生まれ出でた柔らかなケツの時から、金属のバリ取りも出来ちゃうようなやすりでケツを蹂躙されたおかげで、俺は万年痔なんだよ!!!!」
『痔……』
『痔なんだ……』
『痔は仕方ない……』
大の大人がよよよと泣き崩れている。しかしそれは、彼にとって本当に本当に許せないことで、本当に本当に心から呪いをかけたくなる程に許せない事案であった。たかがケツ、されどケツ。現代日本において最高のトイレットペーパーでケツを拭いたことしかない人間には決して分からない地獄。
「なあお前ら、俺が世界で初めて他属性魔法を発見した人間だってことは知ってるか?」
突如神妙な面持ちになるザザ。その顔は、1秒前まで痔がどうのこうの言っていた人物にはとても見えない。
「俺は、火属性の魔法適正があったんだ。でもな……火じゃケツを綺麗にできない。自分のケツを、燃え盛る炎で炙ることしかできないんだ。その苦しみが分かるか?なんで俺には水魔法の適正がないんだと、毎日毎日泣きながらケツを拭いてもらった赤ん坊時代を俺は絶対に忘れない」
『いや、赤ちゃんの時の記憶なんてないんじゃ……』
「だから俺は毎日練習したんだ。自分のケツを水で洗い流すため、あのケツ殺しの紙を使わなくていい生活を送るため、毎日毎日、雨の日も雪の日も嵐の日も雷の日も、何度も何度も水魔法の練習をしたのさ。そうしてついに俺の努力は実を結び、自らのケツを水魔法で洗い流し、火魔法で乾燥させるという境地に至った」
『ヤバい、この世で一番聞きたくない他属性魔法誕生秘話だ』
「その内に俺は火魔法と水魔法という相反する力を融合して温水を作ってケツを流したり、火魔法と風魔法で温風を作ってケツを乾かしたり、当時主流だったボットントイレをやめて座るタイプのトイレを土魔法で作ったり、夜が怖い日は光魔法で辺りを照らしたり、うんこがくせえ時は闇魔法で臭いを閉じ込めて消臭したりしてきたのさ」
『本当に聞きたくなかった』
『この人マジでトイレ周りのことしか考えてないじゃん』
好きこそものの上手なれ。
お尻を労ることから始まったザザの魔法スキルは、次第に用を足すための道具作りに進化し、いつしか快適なトイレライフを送ることができるように昇華されていった。
これが、1人1属性という世界の常識を打ち破り、世界で初めて他属性魔法を使った者の昔話である。
「今こそ俺の将来の夢を語ろう。俺がFIREを達成して経済的自由を得た時には、大日本帝国全土に高級トイレを設置し、何人たりともあの忌まわしい紙やすりにも劣る塵紙でケツ拭くことがないようにする!!!それが俺の夢だ!!!!!」
ばぁぁああああん!!!!
と大きな効果音がザザの背中に弾けるのを聞き(途中から聞くのをやめたが)、改めて生徒たちは己の将来について考え始めた。将来の夢が”職業”だった者は、本当にそれが自分のやりたいことだったのか。将来の計画を既に立てていた者は、FIREしてからやりたいことがあるのか。確かにザザの話はトイレにまつわるものばかりだが、彼の執念とそれに付随する行動は確かに凄い。
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