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お前のトイレは大通りなのか 7
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記者会見。何か公的な発表がある際に開かれ、各メディアが密になりながらこぞって取材に優位なポジションを確保し、失礼極まる質問をしまくる場である(私見)。
ザザは大日本帝国民のすべてに対し、非常に重要なメッセージを発信していた。
「魔法の専門学校を開設し、大日本帝国民が広く複数の魔法を使えるようにします」
「ふ、複数の魔法ですか?それは常識的に無理というものでは――」
「彼女は当ギルド員のマカオです。彼女の得意属性は風ですが、後天的に複数の魔法を使用可能にしました。マカオさん、お願いします」
「はいはい。ファイア、ウォーター」
空中に浮かぶ火球、そして水球。
「「「おお!?」」」
「同様に、彼女は同じくギルド員のオーレットです。彼女は水属性持ちですが、同じく訓練によって別属性の魔法を習得しています。お嬢さん」
「分かったわ。ストーン、サンダー」
さらに出現する石、雷。
「「「おおお!!!」」」
ざわめきが大きくなるが、構わずザザは続けていく。
「威力こそメインの魔法に比べれば圧倒的に弱いですが、国民全員が複数の属性魔法を使用できるようになれば、今以上に大日本帝国は豊かになること間違いありません。今後、行政改革ギルドは魔法学校の設立を促進し、個人が複数の魔法を当たり前に使える社会を目指します」
「し、質問よろしいでしょうか」
「どうぞ」
「あ、あまりにも突飛なことが起きていて理解が追い付いていないのですが……が、学校では具体的にどのような授業をするのでしょうか」
「火と水の混合魔法によって温水を作り出し、各人が尻を温水で洗浄できるようにしてもらいます」
「え?」
「風魔法も習得してもらえば、トイレがより有意義な時間になるでしょう」
「え?え?か、風魔法?え?な、なんのためにそんなことを……」
「そんなの、尻を温風で乾かすために決まっています」
行政改革ギルドが発注した大規模工事が始まって数ヶ月。下水処理施設は勿論、一部の地域では下水道が完成しており、その劇的なまでのトイレ革命に市民は打ち震えていた。もう窓からうんこを捨てる必要もない。ボットン便所から臭いが上がってくることもない。道路はアスファルト(のようなもの)が黒く輝き、平らに整備されている。自転車を走らせても全くボコボコを感じないので、尻がダメージを受けることもない。この地面の下には高速通信網やロードヒーティングも張り巡らされているなんて、あまりに素晴らし過ぎて感嘆の声しか出ない。まだ工事が終わっていない市民は、その歓喜の瞬間を今か今かと待ちわびているのだ。
この領域に昇華するため、市民はいつもより多くの税金を支払うことにはなった。しかし、結果的に極めて満足度の高い工事をすることができたと、行政改革ギルド員全員が思っている。
「治水工事も終わったし、残すは南のブロックの下水工事だけね」
「あら。仕事でマカオがこんなにイキイキしてるなんて」
「そういうお嬢こそ、随分良い顔で仕事してるわよ」
「うふふ」
「おほほ」
良い仕事は良い職場の空気を生み、それは良い社会を形作る。しかし、改善活動に終わりはない。今良いものを、将来もっとより良くする。それが改善である。
例に漏れず、1人は今より素晴らしい改善を求めていた。
「これだけでは足りません。各世帯に洋式トイレが設置されたと言っても、所詮は存在する価値のないゴワゴワの紙っぺらでケツを拭く習慣が変わったわけじゃない。ウォシュレットの尊さを知らない人間に、生きる価値はありません」
「僕の部下がすごい物騒なことを言い始めたぞ。なんだい、ウォシュレットって?」
「ケツの穴に柔らかな温水を当てて不浄な物を洗い流した後、そこに温風を当ててケツとその周辺を乾かす偉大なシステムです。火と水と風の魔法があれば、高価な装置を取り付けなくても人力で実現可能です。今のカイリキさんなら、冷水で尻を洗うくらいならできるかもしれません」
「ええ……トイレットペーパーで拭くんじゃダメなの?」
「俺の基準ではあれをトイレットペーパーとは呼びません。あれで拭くのは、プラズ・マクラスタの原木でケツを拭くのと大差ありません」
「す、『鋭き森』の原木……そこまで言わなくても」
「とにかく、このまま市民に満足してもらっては困ります。練習次第で他の属性魔法も使えることを周知し、快適なトイレライフを過ごしてもらわなければ」
「ふむ。トイレライフはともかく、ギルド長として国力増強の点から見ても、市民が複数の属性魔法を使えるというのは賛成だよ。魔法の専門学校でも作ってみるかい?なんちゃって!」
「あ、いいですね。次はそれでいきましょう」
「え?」
冒頭に戻る。災害等により工期が伸びて、結果的に11ヶ月近い長期工事となったが、大日本帝国内の一斉道路改修工事は完了した。これに伴い、行政改革ギルドは市民からの盤石な支持を獲得する。次に彼らがしてくれるのは一体どんなことだろう。市民のはやる気持ちは莫大な納税となり、行政改革ギルドの懐を潤すことになった。そうして集まった金銭で行われるのは、魔法学校の創設であった。
「温水で尻を洗い、温風で尻を乾かす。複数の魔法が使えれば、貴方の生活はより豊かになるでしょう。そして今、この国で痔に苦しむ皆さん。複数の魔法は、貴方の尻を必ず救い出すことになります。どうかふるって魔法学校への参画をお願い申し上げます」
記者の質問タイムはなかった。また悪いプレゼンだったらしい。
ザザは大日本帝国民のすべてに対し、非常に重要なメッセージを発信していた。
「魔法の専門学校を開設し、大日本帝国民が広く複数の魔法を使えるようにします」
「ふ、複数の魔法ですか?それは常識的に無理というものでは――」
「彼女は当ギルド員のマカオです。彼女の得意属性は風ですが、後天的に複数の魔法を使用可能にしました。マカオさん、お願いします」
「はいはい。ファイア、ウォーター」
空中に浮かぶ火球、そして水球。
「「「おお!?」」」
「同様に、彼女は同じくギルド員のオーレットです。彼女は水属性持ちですが、同じく訓練によって別属性の魔法を習得しています。お嬢さん」
「分かったわ。ストーン、サンダー」
さらに出現する石、雷。
「「「おおお!!!」」」
ざわめきが大きくなるが、構わずザザは続けていく。
「威力こそメインの魔法に比べれば圧倒的に弱いですが、国民全員が複数の属性魔法を使用できるようになれば、今以上に大日本帝国は豊かになること間違いありません。今後、行政改革ギルドは魔法学校の設立を促進し、個人が複数の魔法を当たり前に使える社会を目指します」
「し、質問よろしいでしょうか」
「どうぞ」
「あ、あまりにも突飛なことが起きていて理解が追い付いていないのですが……が、学校では具体的にどのような授業をするのでしょうか」
「火と水の混合魔法によって温水を作り出し、各人が尻を温水で洗浄できるようにしてもらいます」
「え?」
「風魔法も習得してもらえば、トイレがより有意義な時間になるでしょう」
「え?え?か、風魔法?え?な、なんのためにそんなことを……」
「そんなの、尻を温風で乾かすために決まっています」
行政改革ギルドが発注した大規模工事が始まって数ヶ月。下水処理施設は勿論、一部の地域では下水道が完成しており、その劇的なまでのトイレ革命に市民は打ち震えていた。もう窓からうんこを捨てる必要もない。ボットン便所から臭いが上がってくることもない。道路はアスファルト(のようなもの)が黒く輝き、平らに整備されている。自転車を走らせても全くボコボコを感じないので、尻がダメージを受けることもない。この地面の下には高速通信網やロードヒーティングも張り巡らされているなんて、あまりに素晴らし過ぎて感嘆の声しか出ない。まだ工事が終わっていない市民は、その歓喜の瞬間を今か今かと待ちわびているのだ。
この領域に昇華するため、市民はいつもより多くの税金を支払うことにはなった。しかし、結果的に極めて満足度の高い工事をすることができたと、行政改革ギルド員全員が思っている。
「治水工事も終わったし、残すは南のブロックの下水工事だけね」
「あら。仕事でマカオがこんなにイキイキしてるなんて」
「そういうお嬢こそ、随分良い顔で仕事してるわよ」
「うふふ」
「おほほ」
良い仕事は良い職場の空気を生み、それは良い社会を形作る。しかし、改善活動に終わりはない。今良いものを、将来もっとより良くする。それが改善である。
例に漏れず、1人は今より素晴らしい改善を求めていた。
「これだけでは足りません。各世帯に洋式トイレが設置されたと言っても、所詮は存在する価値のないゴワゴワの紙っぺらでケツを拭く習慣が変わったわけじゃない。ウォシュレットの尊さを知らない人間に、生きる価値はありません」
「僕の部下がすごい物騒なことを言い始めたぞ。なんだい、ウォシュレットって?」
「ケツの穴に柔らかな温水を当てて不浄な物を洗い流した後、そこに温風を当ててケツとその周辺を乾かす偉大なシステムです。火と水と風の魔法があれば、高価な装置を取り付けなくても人力で実現可能です。今のカイリキさんなら、冷水で尻を洗うくらいならできるかもしれません」
「ええ……トイレットペーパーで拭くんじゃダメなの?」
「俺の基準ではあれをトイレットペーパーとは呼びません。あれで拭くのは、プラズ・マクラスタの原木でケツを拭くのと大差ありません」
「す、『鋭き森』の原木……そこまで言わなくても」
「とにかく、このまま市民に満足してもらっては困ります。練習次第で他の属性魔法も使えることを周知し、快適なトイレライフを過ごしてもらわなければ」
「ふむ。トイレライフはともかく、ギルド長として国力増強の点から見ても、市民が複数の属性魔法を使えるというのは賛成だよ。魔法の専門学校でも作ってみるかい?なんちゃって!」
「あ、いいですね。次はそれでいきましょう」
「え?」
冒頭に戻る。災害等により工期が伸びて、結果的に11ヶ月近い長期工事となったが、大日本帝国内の一斉道路改修工事は完了した。これに伴い、行政改革ギルドは市民からの盤石な支持を獲得する。次に彼らがしてくれるのは一体どんなことだろう。市民のはやる気持ちは莫大な納税となり、行政改革ギルドの懐を潤すことになった。そうして集まった金銭で行われるのは、魔法学校の創設であった。
「温水で尻を洗い、温風で尻を乾かす。複数の魔法が使えれば、貴方の生活はより豊かになるでしょう。そして今、この国で痔に苦しむ皆さん。複数の魔法は、貴方の尻を必ず救い出すことになります。どうかふるって魔法学校への参画をお願い申し上げます」
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