異世界ギルドで業務効率化 ―残業なし、年間休日130日、有給消化率100%の職場です―

のちのちザウルス

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事故は起きるさ、仕方ない 7

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「以上が、当ギルドが社有車に自動車を購入するにあたった理由です。大日本帝国民の皆様には、是非ともご理解を頂きたくこのような場を設けさせていただきました」

行政改革ギルドからそこそこ離れた中央ギルド、その大会議室。一室を貸し切り、カイリキによる自動車購入説明会なるものが開催された。自動車のスペック、費用、そしてそれを購入するのに税投票で得た税金を使うこと、それらを説明し納得いただくための会である。とはいえ、半ば購入は決定しているため、あとは細かい調整になるのだが。
「すべての人が納得することにはならないでしょう」とはザザの弁。自動車は上級国民が使用するものであり、いち公務員のようなギルド員が使用するのに自動車などと、時代の流れもあって賛同はなかなか取れないという予想だ。だが、それも当然織り込み済である。

「次の行政改革ギルドの提案として、国家として広く自動車を普及させることを検討しております。一般家庭のものも、手軽に自動車を利用することができるよう、材料の調達方法や自動車の製造方法を国の一大事業として検討し、皆が安全で素早く移動する手段を獲得できるよう協力を惜しまないつもりです」

行政改革ギルドは、自動車の製造を国家プロジェクトとして行うことを提案した。これにより、一般市民からの支持を得やすくなる他、自身の自動車購入を良い感じに有耶無耶する一石二鳥作戦である。勿論、ノウハウがまったくないため既存の企業との連携が必要になるし、他国家の進んだ自動車産業を見聞きして自国に取り込む必要も出てくるだろう。だが、この整えた交通網、今活かさずしていつ活かそうと言うのか。

「これまでに行った大規模道路改修工事は、このための布石でもありました。大日本帝国は、今まで以上に移動を効率化した手段を確立することに繋がるでしょう」

全くそんなことは考えずに道路改修工事をしてきたが、こういう時は言ったもん勝ちだ。上手いこと国民の支持を得ることができれば、税金によってさらなる予算確保もすることができる。さすれば、さらに大きな効率化施策を打ち出すことも容易になるだろう。行政改革ギルドの業務は、まだまだこれから忙しくなるのである。



「集中ロック?当然いるに決まってますよ!パワーウィンドウもですよ?あ、カーナビも入れておいて下さいね。今回の自動車導入をテストケースという形にして、このオプションがどれだけ有効か俺がレポート書きますので。――え?いやいや大丈夫ですよ。っていうか、絶対カーナビ必要になりますから。――マップのアップデートなんて逐次やればいいんですよ!だって人工衛星ないでしょ?勝手にアップデートなんて――え、人工衛星?あ、ごめんなさいなんでもないです。ええ、聞かなかったことにしていただければ。――はい、よろしくお願い致します。失礼します」
「人工衛星って?」
「なぁんでもございません!!さ、マカオさん。経理の人は説き伏せましたから、後は納車を楽しみにしましょう!」
「ねぇザザちゃん……アタシ、これで良かったのかしら?」
「良いに決まってますよ!むしろナイス事故です!」
「え?」
「こういうタイミングじゃないと、なかなか車の買い換えってしてくれないですからね!俺はマカオさんが事故ってくれて最高にラッキーだと思ってますよ!ファインプレーです!」
「……え?」
「クソの役にも立たない再発防止対策会議もなくなりましたからね!何が再発防止対策会議だって話ですよ!“再発防止”を“対策”したら意味ないじゃないですか!俺はカイリキさんが『車両事故再発防止対策会議を始めます』なんてドヤ顔決めるから死にそうになってたくらいですし、グッジョブですよマカオさん!!」
「……」
「あー!早くパワーウィンドウ付きの車来ないかな!今時手回しで窓開けるなんて全然優雅じゃないですもん。ね!!マカオさん!!!!」
「そうね」

後日、行政改革ギルドにはピカピカの新車が納車された。
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