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第三話 ~秋~ 獄卒方、読書の秋って知っていますか? ――え? 知らない? なら、私がその身に叩き込んで差し上げます。
おはなし会を始めましょう。
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10月27日。読書週間の一日目。
「これより黄泉国立図書館地獄分館主催の読書週間企画、おはなし会を始めます」
――パチパチパチ……。
おはなし会の会場、地獄裁判所の多目的室にまばらな拍手が響きました。
読書週間の前半、27日から31日までの平日五日間は、おはなし会の開催期間となっています。この期間は終業後に毎日、おはなし会を開く予定です。
以前も話した通り、地獄の住人はとことん本と縁遠い生活を送っていますからね。いきなり「本を読め!」と言っても、読書の下地がない彼らにそれは無理な話です。せいぜい本を枕にして、居眠りし始めるのが関の山でしょう。時々、聖良布夢さんもやっていますし。
そこで、このおはなし会の出番です。自分で本を読めない人でも、おはなしを聞くことならできますからね。――ええ、できるはずです。私、獄卒の皆さんを信じています。あなた達は、やればできる子です。……裏切らないでくださいね、私の期待。
まあ、仮に「できない」と言われても聞かせますけど……。そのために、実行委員の皆さんにあれやこれや準備してもらったのですからね♪
――と、それは置いといて……。
要するにこのおはなし会は、獄卒方が本や物語と触れ合う機会を作ることが目的なのです。正に千里の道も一歩からですね。
できないなんて諦めずに、小さなことからコツコツ積み上げる。大事なことです。私は天才肌なので、こんな面倒くさい努力をしたことはありませんが。
本日の参加者は、大体六十人。無作為抽出された職員の、およそ五分の一です。
兼定さんや元不良コンビと同じ人間タイプ、とまとさん達と同じ子鬼タイプ、他にもステレオタイプの赤鬼・青鬼など、色んな鬼が一堂に会しています。おかげで会場は、鬼の博覧会といった様相ですね。ある意味、壮観です。
ちなみに今回の読書週間へ参加することになった職員は、この五日間のどこかで必ず一回、おはなし会に来てもらう予定です。
なお、おはなし会の欠席は許されません。というか、許しません。万が一サボりが発覚した日には……ウフフフフ……。
――おっと、いけない。
今は、おはなし会に集中しなければいけませんね。
私は、本日の参加者である社蓄の皆さんへ、最高の営業スマイルでふわりと微笑みかけました。
「今回のおはなし会で朗読するのは、『こぶとり爺さん』『泣いた赤鬼』『恐山のおどり鬼』の三作品です。皆さんに親しみを持ってもらえるよう、鬼が登場する作品をチョイスしました。最後まで楽しんでくださいね」
再び、パチパチパチ、とまばらな拍手が起こります。
なお、拍手をしてくれているのは、もっぱら子鬼タイプの鬼さん達です。うちの子鬼三兄弟もそうですが、子鬼さん方は素直ないい子が多いようですね。今回のおはなし会も積極的に参加してくれています。
(だというのに……)
首をめぐらせ、子鬼さん方以外に目を向けます。
他の鬼さん達は仕事終わりに妙な催しに付き合わされて、テンションダウン状態といったところなのでしょうか。大人しく椅子には座っていますが、全員心底つまらなそうな顔をしています。
フフフ。私を前にしていい度胸していますね、この社蓄ども。
まあいいです。終わる頃には、涙を流しながら拍手喝采させてやります。
「では、『こぶとり爺さん』から始めましょうか。――昔々、あるところに……」
民話集を片手に、私はよく通る素敵なソプラノボイスで朗読を始めました。
「これより黄泉国立図書館地獄分館主催の読書週間企画、おはなし会を始めます」
――パチパチパチ……。
おはなし会の会場、地獄裁判所の多目的室にまばらな拍手が響きました。
読書週間の前半、27日から31日までの平日五日間は、おはなし会の開催期間となっています。この期間は終業後に毎日、おはなし会を開く予定です。
以前も話した通り、地獄の住人はとことん本と縁遠い生活を送っていますからね。いきなり「本を読め!」と言っても、読書の下地がない彼らにそれは無理な話です。せいぜい本を枕にして、居眠りし始めるのが関の山でしょう。時々、聖良布夢さんもやっていますし。
そこで、このおはなし会の出番です。自分で本を読めない人でも、おはなしを聞くことならできますからね。――ええ、できるはずです。私、獄卒の皆さんを信じています。あなた達は、やればできる子です。……裏切らないでくださいね、私の期待。
まあ、仮に「できない」と言われても聞かせますけど……。そのために、実行委員の皆さんにあれやこれや準備してもらったのですからね♪
――と、それは置いといて……。
要するにこのおはなし会は、獄卒方が本や物語と触れ合う機会を作ることが目的なのです。正に千里の道も一歩からですね。
できないなんて諦めずに、小さなことからコツコツ積み上げる。大事なことです。私は天才肌なので、こんな面倒くさい努力をしたことはありませんが。
本日の参加者は、大体六十人。無作為抽出された職員の、およそ五分の一です。
兼定さんや元不良コンビと同じ人間タイプ、とまとさん達と同じ子鬼タイプ、他にもステレオタイプの赤鬼・青鬼など、色んな鬼が一堂に会しています。おかげで会場は、鬼の博覧会といった様相ですね。ある意味、壮観です。
ちなみに今回の読書週間へ参加することになった職員は、この五日間のどこかで必ず一回、おはなし会に来てもらう予定です。
なお、おはなし会の欠席は許されません。というか、許しません。万が一サボりが発覚した日には……ウフフフフ……。
――おっと、いけない。
今は、おはなし会に集中しなければいけませんね。
私は、本日の参加者である社蓄の皆さんへ、最高の営業スマイルでふわりと微笑みかけました。
「今回のおはなし会で朗読するのは、『こぶとり爺さん』『泣いた赤鬼』『恐山のおどり鬼』の三作品です。皆さんに親しみを持ってもらえるよう、鬼が登場する作品をチョイスしました。最後まで楽しんでくださいね」
再び、パチパチパチ、とまばらな拍手が起こります。
なお、拍手をしてくれているのは、もっぱら子鬼タイプの鬼さん達です。うちの子鬼三兄弟もそうですが、子鬼さん方は素直ないい子が多いようですね。今回のおはなし会も積極的に参加してくれています。
(だというのに……)
首をめぐらせ、子鬼さん方以外に目を向けます。
他の鬼さん達は仕事終わりに妙な催しに付き合わされて、テンションダウン状態といったところなのでしょうか。大人しく椅子には座っていますが、全員心底つまらなそうな顔をしています。
フフフ。私を前にしていい度胸していますね、この社蓄ども。
まあいいです。終わる頃には、涙を流しながら拍手喝采させてやります。
「では、『こぶとり爺さん』から始めましょうか。――昔々、あるところに……」
民話集を片手に、私はよく通る素敵なソプラノボイスで朗読を始めました。
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