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最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。
作戦会議リピートです。
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「……それでは、第二回作戦会議を始めます。まずは前回の反省からです」
「「「「ふぉんふぉうにふみまへんへひは……」」」」
意訳、本当にすみませんでした。
私と子鬼さん達以外全員呂律が回っていませんが、そこはお気になさらずに。全員徹夜で顔がむくんでいるだけですので。
昨日、商議員会から帰った私は、すぐさま総務部に乗り込み、尋問室の予約を押さえました。
で、後は朝までコースで全員と今回の件についてお話させていただいたというわけです。顔のむくみはその後遺症です。
ええ、むくんでいるだけです。決して腫れているわけではありません。
「さて、署名については昨晩皆さんにお話した通り、集め方に問題ありと見なされてしまいました。結果として、我々からの要求はすべて却下。それどころか商議員のクサレ外道共は、閉鎖と解雇を一カ月早めるという許されざる暴挙に出てきました」
「いや、暴挙というか、ある意味当然の判断という気が……」
閻魔様がポソリと呟きますが、「何か?」と睨み付けて黙らせます。
このゴリラ、殴られ慣れてきた所為か、回復が随分早くなりました。
「というわけで、残り半月程で私達にできることは何かを考えたいと思います。まずは前回同様、順番に案を言っていきましょう」
そう言って、ぐるりと周りを見回します。聖良布夢さんとタカシさんもしゃべれるくらいには回復したみたいですね。さすが、私が鍛えただけのことはあります。
それでは、気兼ねなくいってみましょう。まずは……。
「では聖良布夢さん、何かありますか」
「ここはやっぱり、御礼参りッスかね」
「素敵ですね。何と言っても相手は神様ですし、ピッタリのチョイスです。――では次、タカシさん」
「あ? え~、辻斬り?」
「心踊りますね。では、子鬼さん達、いってみましょう」
「「「あんさつ~!」」」
「はい、よくできました」
皆さん、よくわかっていますね。どこぞのセクハラ大王とは違って、空気というものをよく読んでくれます。
「では今夜、辻道に全員で待ち伏せて、久延毘古氏に御礼参りして差し上げるとしましょう。皆さん、今夜は楽しいパーティですよ。ウフフフフ……」
そうと決まれば、早速愛用の釘バッドを磨き上げねばなりませんね。
今宵の釘バッドは、血に飢えておるわ……。
「ハハハ。宏美さん、闇討ちなんてしては閉館が一層早まって――へぶらっ!」
決して口にしてはいけないワードをほざいた変態執事が、天井から生える奇怪なアートとなりました。
壊した天井は、後で本人に修理してもらうとしましょう。
「あ~、宏美君……」
「なんですか、閻魔様。あなたも兼定さんと一緒に素敵アートになりますか?」
「いや、それは御免こうむりたいところなのだが……。――それはそうと、あのね、宏美君。そもそも暗殺なんて無理だよ。ほら、久延毘古様って神様だから、超頑丈だし」
ほうほう……。暗殺できないほど頑丈ですか……。
「なるほど。――殴り甲斐がありますね」
「うわ~、そうきたか……」
何だか期待外れのような声を上げる閻魔様。一体どんな答えを期待していたのでしょうか。ゴリラの考えることはわかりません。
「まあ、今の君に回りくどい言い方をしても通じるわけないか……。――OK。宏美君、落ちついて儂の話を聞くんだ」
「わかりました。私が深呼吸をしている間に、辞世の句を考えておいてください」
「話聞こうよ!」
喚く閻魔様の前で一度深呼吸。
よし、頭がスッキリしました。今なら――一撃で殺れます。
「ええい、仕方ない! 宏美君、これを見るんだ!」
「何ですか、その封筒は。白旗代わりのつもりですか?」
閻魔様が取り出したのは一通の白い封筒でした。
この期に及んで白旗立てて命乞いとは、死後の世界の住人のくせに往生際が悪い。
「違うってば! これ、今朝ここに来る前に執務室へ戻ってみたら、儂の机に置いてあってさ。中を見てみたらびっくり仰天! どういう心境の変化か、商議員会の方から最後のチャンスをくれたんだよ!」
封筒の中に入っていた紙を私に手渡し、閻魔様が満面の笑みで教えてくれました。
(ええと、何々……。『昨日の決定は、いささか公平性に欠けたものであったことを謝罪する。ついては、地獄分館の閉鎖と司書達の解雇を従来通り三月末日とした上で、今一度審議の機会を設けたい』ですか。――へえ~、ほう~……)
受け取った紙に書かれた内容を読んでみれば、なるほど、確かに閻魔様が言った通りのことが書いてありますね。
なお、審議は三月の商議員会で行うとのことです。
ううむ……。はて? あの陰険な商議員長が一体どんな心境の変化でしょうか。
(これは、きっと何か裏があるに決まっていますね。あの神の皮を被った悪鬼羅刹が私達に謝罪した上、恩情をかけるなんて……天地がひっくり返っても考えられません)
今回の決定、うれしいというより気味が悪いです。罠の臭いがプンプンします。
ただ、それ以上に解せないのは、もはや彼らの勝ちが決まった勝負で、再び私を罠に嵌める意味がどこにあるのかということです。
(ハッ! もしやあの破廉恥インテリ、私を虐めて悦に入りたいのでは……)
あり得ることです。
あれはドSな上に絶対モテないタイプですから、きっと普段は女っ気ゼロの生活を送っているに違いありません。飢えた生活の中で溜まった溢れんばかりの欲望を、清純無垢な天使である私にもう一度ぶつけたくなったのでしょう。
本当にどこまでも性根が腐っていますね、あのゴッド・オブ・サディスト。
「というわけで、地獄分館の閉鎖と君達の解雇を撤回させるチャンスがもう一度回ってきたんだ。この機会をふいにしないためにも、軽率な行動は慎むように。いいね、宏美君」
釘バッドを担いだ私に釘を刺す閻魔様。まったく笑えないギャグですね。これだからオヤジは……。
ですが、いいでしょう。辻斬りパーティは一先ず取り止めです。商議員会が最後のチャンスをくれると言うならば、乗ってあげようじゃないですか。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。奴らの仕掛けるちんけな罠なんてすべて正面から粉砕し、今度こそ久延毘古氏のすかした面に悔し涙を滲ませてやります。
(会議の流れによっては、その場でレッツ・パーティとしゃれ込めばよいですしね。フフフ……)
およそ一カ月後の最終決戦に思いを馳せつつ、本日の第二回作戦会議は終了したのでした。
「「「「ふぉんふぉうにふみまへんへひは……」」」」
意訳、本当にすみませんでした。
私と子鬼さん達以外全員呂律が回っていませんが、そこはお気になさらずに。全員徹夜で顔がむくんでいるだけですので。
昨日、商議員会から帰った私は、すぐさま総務部に乗り込み、尋問室の予約を押さえました。
で、後は朝までコースで全員と今回の件についてお話させていただいたというわけです。顔のむくみはその後遺症です。
ええ、むくんでいるだけです。決して腫れているわけではありません。
「さて、署名については昨晩皆さんにお話した通り、集め方に問題ありと見なされてしまいました。結果として、我々からの要求はすべて却下。それどころか商議員のクサレ外道共は、閉鎖と解雇を一カ月早めるという許されざる暴挙に出てきました」
「いや、暴挙というか、ある意味当然の判断という気が……」
閻魔様がポソリと呟きますが、「何か?」と睨み付けて黙らせます。
このゴリラ、殴られ慣れてきた所為か、回復が随分早くなりました。
「というわけで、残り半月程で私達にできることは何かを考えたいと思います。まずは前回同様、順番に案を言っていきましょう」
そう言って、ぐるりと周りを見回します。聖良布夢さんとタカシさんもしゃべれるくらいには回復したみたいですね。さすが、私が鍛えただけのことはあります。
それでは、気兼ねなくいってみましょう。まずは……。
「では聖良布夢さん、何かありますか」
「ここはやっぱり、御礼参りッスかね」
「素敵ですね。何と言っても相手は神様ですし、ピッタリのチョイスです。――では次、タカシさん」
「あ? え~、辻斬り?」
「心踊りますね。では、子鬼さん達、いってみましょう」
「「「あんさつ~!」」」
「はい、よくできました」
皆さん、よくわかっていますね。どこぞのセクハラ大王とは違って、空気というものをよく読んでくれます。
「では今夜、辻道に全員で待ち伏せて、久延毘古氏に御礼参りして差し上げるとしましょう。皆さん、今夜は楽しいパーティですよ。ウフフフフ……」
そうと決まれば、早速愛用の釘バッドを磨き上げねばなりませんね。
今宵の釘バッドは、血に飢えておるわ……。
「ハハハ。宏美さん、闇討ちなんてしては閉館が一層早まって――へぶらっ!」
決して口にしてはいけないワードをほざいた変態執事が、天井から生える奇怪なアートとなりました。
壊した天井は、後で本人に修理してもらうとしましょう。
「あ~、宏美君……」
「なんですか、閻魔様。あなたも兼定さんと一緒に素敵アートになりますか?」
「いや、それは御免こうむりたいところなのだが……。――それはそうと、あのね、宏美君。そもそも暗殺なんて無理だよ。ほら、久延毘古様って神様だから、超頑丈だし」
ほうほう……。暗殺できないほど頑丈ですか……。
「なるほど。――殴り甲斐がありますね」
「うわ~、そうきたか……」
何だか期待外れのような声を上げる閻魔様。一体どんな答えを期待していたのでしょうか。ゴリラの考えることはわかりません。
「まあ、今の君に回りくどい言い方をしても通じるわけないか……。――OK。宏美君、落ちついて儂の話を聞くんだ」
「わかりました。私が深呼吸をしている間に、辞世の句を考えておいてください」
「話聞こうよ!」
喚く閻魔様の前で一度深呼吸。
よし、頭がスッキリしました。今なら――一撃で殺れます。
「ええい、仕方ない! 宏美君、これを見るんだ!」
「何ですか、その封筒は。白旗代わりのつもりですか?」
閻魔様が取り出したのは一通の白い封筒でした。
この期に及んで白旗立てて命乞いとは、死後の世界の住人のくせに往生際が悪い。
「違うってば! これ、今朝ここに来る前に執務室へ戻ってみたら、儂の机に置いてあってさ。中を見てみたらびっくり仰天! どういう心境の変化か、商議員会の方から最後のチャンスをくれたんだよ!」
封筒の中に入っていた紙を私に手渡し、閻魔様が満面の笑みで教えてくれました。
(ええと、何々……。『昨日の決定は、いささか公平性に欠けたものであったことを謝罪する。ついては、地獄分館の閉鎖と司書達の解雇を従来通り三月末日とした上で、今一度審議の機会を設けたい』ですか。――へえ~、ほう~……)
受け取った紙に書かれた内容を読んでみれば、なるほど、確かに閻魔様が言った通りのことが書いてありますね。
なお、審議は三月の商議員会で行うとのことです。
ううむ……。はて? あの陰険な商議員長が一体どんな心境の変化でしょうか。
(これは、きっと何か裏があるに決まっていますね。あの神の皮を被った悪鬼羅刹が私達に謝罪した上、恩情をかけるなんて……天地がひっくり返っても考えられません)
今回の決定、うれしいというより気味が悪いです。罠の臭いがプンプンします。
ただ、それ以上に解せないのは、もはや彼らの勝ちが決まった勝負で、再び私を罠に嵌める意味がどこにあるのかということです。
(ハッ! もしやあの破廉恥インテリ、私を虐めて悦に入りたいのでは……)
あり得ることです。
あれはドSな上に絶対モテないタイプですから、きっと普段は女っ気ゼロの生活を送っているに違いありません。飢えた生活の中で溜まった溢れんばかりの欲望を、清純無垢な天使である私にもう一度ぶつけたくなったのでしょう。
本当にどこまでも性根が腐っていますね、あのゴッド・オブ・サディスト。
「というわけで、地獄分館の閉鎖と君達の解雇を撤回させるチャンスがもう一度回ってきたんだ。この機会をふいにしないためにも、軽率な行動は慎むように。いいね、宏美君」
釘バッドを担いだ私に釘を刺す閻魔様。まったく笑えないギャグですね。これだからオヤジは……。
ですが、いいでしょう。辻斬りパーティは一先ず取り止めです。商議員会が最後のチャンスをくれると言うならば、乗ってあげようじゃないですか。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。奴らの仕掛けるちんけな罠なんてすべて正面から粉砕し、今度こそ久延毘古氏のすかした面に悔し涙を滲ませてやります。
(会議の流れによっては、その場でレッツ・パーティとしゃれ込めばよいですしね。フフフ……)
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