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最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。
終身名誉館長はロリッ娘女神でした。
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3月10日。本年度最後の商議員会が開かれる日にして最後の審判の日です。
この日、三度やってきた天国本館の大会議室で私達を迎えたのは……、
「お主が地獄分館の司書じゃな。よくぞ参った! 近くで見ると、随分とめんこい娘じゃのう。苦しゅうないぞ。もっと近う寄れ!」
妙な口調のハイテンションな女の子(見た目からの推定13歳)でした。
何なんでしょうね、このナチュラルに偉そうなクソガキは。
私のような純度100%の大和撫子を前にして『随分』とは失礼千万。このお子様、年上に対する礼儀というものを知らないのでしょうか。親の顔が見てみたいものです。
(まあ、このジャリの礼儀は置いておきましょう。それより……これは少し解せない状況ですね)
彼女が座っているのは、先日まで久延毘古氏が座っていた席――つまりは議長席です。
で、久延毘古氏本人は女の子の隣、副議長席と書かれた席にぶすっとした顔で座っています。あの陰険インテリ神が議長の座から引き摺り落とされた光景は胸がすくものではありますが、状況が呑み込めません。
「閻魔様、これは一体どういうことでしょうか。あの体の大きさに見合わない横柄な態度を取っているジャリは誰なんでしょう?」
クソガキを指さしつつ、斜め後ろに立つ閻魔様の方へ振り返ります。
すると、どうしたことでしょうか。閻魔様が顔を真っ青にして、気を付け状態でガクガクブルブルと震えていました。
……メタボが祟って、不整脈でも起こしましたかね?
「やい、小娘! 誰がチビじゃ、誰が!!」
おや、こちらもどうしたのでしょうか。お子様がこめかみに青筋を浮かべて、こちらを睨んでおります。
顔は笑っていますが、目が少しも笑っていませんね。子供の考えることはわかりません。
「いえ、チビとは言っていませんよ。相手がこしゃまくれたガキであっても、私はそんな失礼なことを言ったりしません。――ただ、おいしいカレーが作れそうな寸胴ボディだと思っているだけです」
「ほほう。ここまでコケにされたのは実に千年ぶりよのう。わらわを前にして、まったく良い度胸じゃな、小娘」
「お褒めに預かり光栄です。あなたもまったくもって良いまな板をお持ちですね、クソガキ」
見せつけるように胸を張って、クソガキを見下ろします。
ウフフ、アハハと火花を散らして笑い合う、私とジャリ。否応なしに大会議室の緊張感ときな臭さは高まっていきます。
(いいですね、この一触即発の気配。順番は変わってしまいますが、このまま商議員達を巻き込んで血沸き肉躍る地獄式のパーティを始めてしまいましょうか)
おもむろに釘バッドと金棒を取り出し、舌なめずりします。
さあ、準備は整いました。
では、足に力を込めて、三、二、一……。
――と、私が飛び出そうとした時です。
「申し訳ありません、伊邪那美様~!」
緊張感に耐えられなくなったのか、急に私の前に出てきた閻魔様が、クソガキに向かってスライディング土下座を決めました。
――って、ちょっと待ってください。
「閻魔様、今あのクソガキのこと、なんて呼びました?」
「ちょっと宏美君、クソガキなんて言っちゃ、メッ! 確かに見た目はちんまいけど、あの方は伊邪那美様! 日本のあの世で最も偉い神様だよ!!」
「……やい、閻魔。貴様、少し見ない間に随分と偉くなったものだのう。で、誰がちんまいとな?」
「ぎゃああああああああああ! すみません、すみません!?」
ドスンドスンと額を床に打ち付ける閻魔様。そのうち床が抜けてしまいそうですね。
(ふーむ。この方が、かの有名な伊邪那美様ですか……)
閻魔様が宴会芸を披露している間に、私はもう一度、クソガキ改め伊邪那美様へ目をやります。
「……なるほど。これは驚きですね。正に衝撃の事実です」
「おお! さすがの宏美君もことの重大さを把握してくれたか! 儂、超うれしい!!」
「ええ。まさかお相手の伊邪那岐様が、シスコンだけでなくロリコンだったなんて。世の神話学者が知ったら、天地がひっくり返るほどの大騒ぎですよ」
「――って、そっち~!?」
「まあ確かに、あの男は今風に言うとシスコンでロリコンじゃったのう……。わらわの身長が1センチ伸びるたびに、血の涙を流しながら悔しがっておったし……」
何やら遠い目をして過去を振り返る伊邪那美様。
ふむ。確かにあの表情からは、外見にそぐわない哀愁を感じます。きっと旦那さん絡みのことでいろいろ苦労されたのでしょう。
何だか可哀想になってきました。
その……ジャリだの寸胴だのまな板だの言って、すみません。
「ついでに言うとな、わらわはこの図書館の初代館長にして終身名誉館長でもあるのじゃ。今回商議員会の決定を覆し、お主らに最後のチャンスを与えたのもわらわじゃよ」
腰に手を当て、高笑いを始める伊邪那美様。
ふむふむ、よくわかりました。
つまり、この方は久延毘古氏よりも偉い終身名誉館長で、あの世で最高位に立つ神様というわけですね。
しかも、私達にチャンスまでくれたとなれば……。
「はじめまして、伊邪那美様。お会いできて光栄です。私は黄泉国立図書館地獄分館の司書で天野宏美と申します」
「……一年ぶりに見たよ、君の唐突な変わりみぎゃああああああああああ!」
床をぶち抜きたかったみたいですので、金棒と釘バッドを脳天に叩き込み、望み通りにして差し上げました。このゴリラはいい加減、『長いものには巻かれろ』精神は日本人の美徳だと知るべきです。
さて、余計なおしゃべりをする原人もいなくなったことですし、心おきなく伊邪那美様へゴマをすり――いえ、お話することにいたしましょうか。
そう……。具体的には、閉鎖&解雇撤回の『チャンス』が『決定』に変わるくらいまで。
ウフフフフ……。
この日、三度やってきた天国本館の大会議室で私達を迎えたのは……、
「お主が地獄分館の司書じゃな。よくぞ参った! 近くで見ると、随分とめんこい娘じゃのう。苦しゅうないぞ。もっと近う寄れ!」
妙な口調のハイテンションな女の子(見た目からの推定13歳)でした。
何なんでしょうね、このナチュラルに偉そうなクソガキは。
私のような純度100%の大和撫子を前にして『随分』とは失礼千万。このお子様、年上に対する礼儀というものを知らないのでしょうか。親の顔が見てみたいものです。
(まあ、このジャリの礼儀は置いておきましょう。それより……これは少し解せない状況ですね)
彼女が座っているのは、先日まで久延毘古氏が座っていた席――つまりは議長席です。
で、久延毘古氏本人は女の子の隣、副議長席と書かれた席にぶすっとした顔で座っています。あの陰険インテリ神が議長の座から引き摺り落とされた光景は胸がすくものではありますが、状況が呑み込めません。
「閻魔様、これは一体どういうことでしょうか。あの体の大きさに見合わない横柄な態度を取っているジャリは誰なんでしょう?」
クソガキを指さしつつ、斜め後ろに立つ閻魔様の方へ振り返ります。
すると、どうしたことでしょうか。閻魔様が顔を真っ青にして、気を付け状態でガクガクブルブルと震えていました。
……メタボが祟って、不整脈でも起こしましたかね?
「やい、小娘! 誰がチビじゃ、誰が!!」
おや、こちらもどうしたのでしょうか。お子様がこめかみに青筋を浮かべて、こちらを睨んでおります。
顔は笑っていますが、目が少しも笑っていませんね。子供の考えることはわかりません。
「いえ、チビとは言っていませんよ。相手がこしゃまくれたガキであっても、私はそんな失礼なことを言ったりしません。――ただ、おいしいカレーが作れそうな寸胴ボディだと思っているだけです」
「ほほう。ここまでコケにされたのは実に千年ぶりよのう。わらわを前にして、まったく良い度胸じゃな、小娘」
「お褒めに預かり光栄です。あなたもまったくもって良いまな板をお持ちですね、クソガキ」
見せつけるように胸を張って、クソガキを見下ろします。
ウフフ、アハハと火花を散らして笑い合う、私とジャリ。否応なしに大会議室の緊張感ときな臭さは高まっていきます。
(いいですね、この一触即発の気配。順番は変わってしまいますが、このまま商議員達を巻き込んで血沸き肉躍る地獄式のパーティを始めてしまいましょうか)
おもむろに釘バッドと金棒を取り出し、舌なめずりします。
さあ、準備は整いました。
では、足に力を込めて、三、二、一……。
――と、私が飛び出そうとした時です。
「申し訳ありません、伊邪那美様~!」
緊張感に耐えられなくなったのか、急に私の前に出てきた閻魔様が、クソガキに向かってスライディング土下座を決めました。
――って、ちょっと待ってください。
「閻魔様、今あのクソガキのこと、なんて呼びました?」
「ちょっと宏美君、クソガキなんて言っちゃ、メッ! 確かに見た目はちんまいけど、あの方は伊邪那美様! 日本のあの世で最も偉い神様だよ!!」
「……やい、閻魔。貴様、少し見ない間に随分と偉くなったものだのう。で、誰がちんまいとな?」
「ぎゃああああああああああ! すみません、すみません!?」
ドスンドスンと額を床に打ち付ける閻魔様。そのうち床が抜けてしまいそうですね。
(ふーむ。この方が、かの有名な伊邪那美様ですか……)
閻魔様が宴会芸を披露している間に、私はもう一度、クソガキ改め伊邪那美様へ目をやります。
「……なるほど。これは驚きですね。正に衝撃の事実です」
「おお! さすがの宏美君もことの重大さを把握してくれたか! 儂、超うれしい!!」
「ええ。まさかお相手の伊邪那岐様が、シスコンだけでなくロリコンだったなんて。世の神話学者が知ったら、天地がひっくり返るほどの大騒ぎですよ」
「――って、そっち~!?」
「まあ確かに、あの男は今風に言うとシスコンでロリコンじゃったのう……。わらわの身長が1センチ伸びるたびに、血の涙を流しながら悔しがっておったし……」
何やら遠い目をして過去を振り返る伊邪那美様。
ふむ。確かにあの表情からは、外見にそぐわない哀愁を感じます。きっと旦那さん絡みのことでいろいろ苦労されたのでしょう。
何だか可哀想になってきました。
その……ジャリだの寸胴だのまな板だの言って、すみません。
「ついでに言うとな、わらわはこの図書館の初代館長にして終身名誉館長でもあるのじゃ。今回商議員会の決定を覆し、お主らに最後のチャンスを与えたのもわらわじゃよ」
腰に手を当て、高笑いを始める伊邪那美様。
ふむふむ、よくわかりました。
つまり、この方は久延毘古氏よりも偉い終身名誉館長で、あの世で最高位に立つ神様というわけですね。
しかも、私達にチャンスまでくれたとなれば……。
「はじめまして、伊邪那美様。お会いできて光栄です。私は黄泉国立図書館地獄分館の司書で天野宏美と申します」
「……一年ぶりに見たよ、君の唐突な変わりみぎゃああああああああああ!」
床をぶち抜きたかったみたいですので、金棒と釘バッドを脳天に叩き込み、望み通りにして差し上げました。このゴリラはいい加減、『長いものには巻かれろ』精神は日本人の美徳だと知るべきです。
さて、余計なおしゃべりをする原人もいなくなったことですし、心おきなく伊邪那美様へゴマをすり――いえ、お話することにいたしましょうか。
そう……。具体的には、閉鎖&解雇撤回の『チャンス』が『決定』に変わるくらいまで。
ウフフフフ……。
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