77 / 77
エピローグ
地獄の図書館へおいでませ!
しおりを挟む
月日は流れて、新年度の四月半ば。
「ん~……」
地獄分館閉館&私達の解雇騒ぎも無事に解決し、それに伴う慌ただしい年度替わりも一段落ついた今日この頃。今月分の購入図書の選書を終えた私は、一つ大きな伸びをしました。
「ふう……。今日もいい仕事をしましたね。さすがは私です」
「ししょー、おつかれ~!」
「おちゃ、もってきた~!」
「おかしも~!」
仕事のキリが良くなったところで、とまとさん、ちーずさん、ばじるさんがお茶とお茶請けを持って来てくれました。この子達は愛らしくて仕事ができるだけでなく、本当に気が利きます。
「ありがとうございます、皆さん。では、おやつにしましょうか」
「「「は~い!」」」
言うが早いか、事務室内が紅茶の良い香りに包まれ始めます。
子鬼さん達は、順調にお茶を淹れる技術を向上させているようですね。今日のアールグレイも実においしいです。
麗らかな午後、仕事の合間に挿むティータイムは体だけでなく心も潤してくれます。
「ちーっす! 姐さん、本日もご指導のほど、よろしくお願いするッス!」
「うぃーす」
私達がまったりとティータイムを楽しんでいると、聖良布夢さんとタカシさんが事務室に顔を出しました。
この二人ですが、本年度からアルバイトとしてこの地獄分館で働いています。
行く行くは彼らにも正式な司書補となってもらい、身が粉どころか芥子粒になるまで地獄分館の発展に尽くしてもらう予定です。
「おはようございます、聖良布夢さん、タカシさん。良いところに来ましたね。ちょうどティータイムの最中だったのですが、お二人も如何ですか?」
「いいッスね。いただくッス!」
「ごっそさんです」
聖良布夢さんとタカシさんが、いそいそとミーティングテーブルの開いている席に着きます。
さあ、ティータイムの再開です。
――と思ったら……。
「宏美君、この間君が出してきた新しいイベントの件で確認したいことがあるんだけど、ちょっといいかな?」
「宏美さん、頼まれていた本の修繕道具が届きましたよ。確認をお願いします」
まるで狙ったかのようなタイミングで、閻魔様と兼定さんまでやってきました。
いきなり千客万来ですね。これはアフタヌーンティーの時間も終わりのようです。
(経験則から言って、こういう時はさらに来客が重なるものですしね……)
そう思った瞬間、カウンターから呼び出し用のベルが鳴る音が聞こえてきました。どうやら利用者がやってきたみたいですね。ついでに、事務室内の電話まで鳴り始めます。
やはり、経験則は侮り難いです。
いやはや、穏やかな一時が一転して、急に忙しくなってきました。
「閻魔様、すみませんが少し待っていてください。とまとさん、電話の方をお願いしますね。ちーずさんとばじるさんは、兼定さんと一緒に納品物の確認をしてください。聖良布夢さんとタカシさんはお茶を飲み終えたら、いつも通り書架整理をお願いします」
「「「「「了解(りょ~かい)!」」」」」
全員に指示を出し終えると、私は足早にカウンターへ向かいます。
さて、それでは黄泉国立図書館地獄分館が誇る美人司書、その華麗な仕事振りをお見せするとしましょうか。
カウンターに立った私はすかさずペコリと一礼し、百点満点の超絶営業スマイルを利用者へ向けました。
「お待たせしました。ようこそ、黄泉国立図書館地獄分館へ! 本日は、どのような御用件で?」
〈了〉
「ん~……」
地獄分館閉館&私達の解雇騒ぎも無事に解決し、それに伴う慌ただしい年度替わりも一段落ついた今日この頃。今月分の購入図書の選書を終えた私は、一つ大きな伸びをしました。
「ふう……。今日もいい仕事をしましたね。さすがは私です」
「ししょー、おつかれ~!」
「おちゃ、もってきた~!」
「おかしも~!」
仕事のキリが良くなったところで、とまとさん、ちーずさん、ばじるさんがお茶とお茶請けを持って来てくれました。この子達は愛らしくて仕事ができるだけでなく、本当に気が利きます。
「ありがとうございます、皆さん。では、おやつにしましょうか」
「「「は~い!」」」
言うが早いか、事務室内が紅茶の良い香りに包まれ始めます。
子鬼さん達は、順調にお茶を淹れる技術を向上させているようですね。今日のアールグレイも実においしいです。
麗らかな午後、仕事の合間に挿むティータイムは体だけでなく心も潤してくれます。
「ちーっす! 姐さん、本日もご指導のほど、よろしくお願いするッス!」
「うぃーす」
私達がまったりとティータイムを楽しんでいると、聖良布夢さんとタカシさんが事務室に顔を出しました。
この二人ですが、本年度からアルバイトとしてこの地獄分館で働いています。
行く行くは彼らにも正式な司書補となってもらい、身が粉どころか芥子粒になるまで地獄分館の発展に尽くしてもらう予定です。
「おはようございます、聖良布夢さん、タカシさん。良いところに来ましたね。ちょうどティータイムの最中だったのですが、お二人も如何ですか?」
「いいッスね。いただくッス!」
「ごっそさんです」
聖良布夢さんとタカシさんが、いそいそとミーティングテーブルの開いている席に着きます。
さあ、ティータイムの再開です。
――と思ったら……。
「宏美君、この間君が出してきた新しいイベントの件で確認したいことがあるんだけど、ちょっといいかな?」
「宏美さん、頼まれていた本の修繕道具が届きましたよ。確認をお願いします」
まるで狙ったかのようなタイミングで、閻魔様と兼定さんまでやってきました。
いきなり千客万来ですね。これはアフタヌーンティーの時間も終わりのようです。
(経験則から言って、こういう時はさらに来客が重なるものですしね……)
そう思った瞬間、カウンターから呼び出し用のベルが鳴る音が聞こえてきました。どうやら利用者がやってきたみたいですね。ついでに、事務室内の電話まで鳴り始めます。
やはり、経験則は侮り難いです。
いやはや、穏やかな一時が一転して、急に忙しくなってきました。
「閻魔様、すみませんが少し待っていてください。とまとさん、電話の方をお願いしますね。ちーずさんとばじるさんは、兼定さんと一緒に納品物の確認をしてください。聖良布夢さんとタカシさんはお茶を飲み終えたら、いつも通り書架整理をお願いします」
「「「「「了解(りょ~かい)!」」」」」
全員に指示を出し終えると、私は足早にカウンターへ向かいます。
さて、それでは黄泉国立図書館地獄分館が誇る美人司書、その華麗な仕事振りをお見せするとしましょうか。
カウンターに立った私はすかさずペコリと一礼し、百点満点の超絶営業スマイルを利用者へ向けました。
「お待たせしました。ようこそ、黄泉国立図書館地獄分館へ! 本日は、どのような御用件で?」
〈了〉
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
とても面白かったです!ジャンルを大衆娯楽からファンタジーに変えた方がもっとたくさんの人に見てもらえると思います。ほんとに面白かったのであなたの書いた他の本も読んでみます!
コスモさん様
感想およびジャンルについてアドバイスをいただきまして、どうもありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたのならば幸いです。
ジャンルについてのアドバイスは、今後の参考にさせていただきます。