残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

文字の大きさ
20 / 113

宴といったら、やっぱりこれだろ!

しおりを挟む
 早いもので、スコット村に厄介になり始めて一週間。
 今日の分で、ようやくギムギの刈り取り作業が終わった。
 この後も脱穀やらなんやら、やるべき作業は色々あるんだけど、そこら辺は村人だけでも問題なく行える。
 よって、俺たち(というか俺のみ)の仕事はここでおしまい。晴れてお役御免となった。
 つまりはこの村で過ごすのも今晩で最後というわけだ。

 で、俺たちの旅立ちを前に、ささやかながら村を上げての宴会と相成ったわけで……。

「いや~、この度は本当にありがとうございましたですじゃ。お二人のおかげで、例年にない程スムーズに収穫が行えました。本当に何とお礼を言えばいいか」

「ぬふふ。気にするでない。わらわたちは自らのすべき仕事を成したまでじゃからな」

 ペコペコと何度も頭を下げる村長に、セシリアが鷹揚な態度で首をふる。

 うん。
 お前、一日目以外ずっと遊んでたよね。
 働いていたの、ずっと俺だけだったよね。
 何、『わらわ、いい仕事した!』的な感じで答えているのかな。
 あんまりふざけたこと言ってると、その舌引っこ抜くぞ♪

 ――と、俺が荒んだ気持ちでセシリアのお仕置き方法を検討していた時だ。

「ヨシマサ、もういなくなっちゃうの?」

「もうご本読んでくれないの?」

 子供たちの中でも、特に読み聞かせが好きだった二人が俺のところにやって来た。

「すまねえな、ロイド、セアラ。俺はまた、旅に出なくちゃいけないんだ」

 だって、うちのお姫様が駄々こね始めちゃったんだもん。
 昨日の夜、「収穫の仕事も飽きたから、次の街に行きたいのじゃ」とか、やってもいねえ仕事のことをほざきながら、ベッドの上で手足バタバタさせて暴れ出しちゃったんだもん。
 部屋の中のものポイポイ俺にぶつけ始めちゃったんだもん。

 ちなみにそのあとは、恒例の醜い罵り合いに発展。一晩争った挙げ句、俺が負けました。
 ポンコツロリ邪神に口で言い負ける俺って……。

「そっか……」

「むう~……」

 なんだか二人とも、すっげえ悲しそうな顔してるんだが……。

 クッ……。
 そんなにも俺の旅立ちを惜しんでくれるのか、子供たちよ。
 いやもう、どっかのクソ邪神にもこの子らの爪の垢を煎じて筋肉注射してやりたい気分だわ。痛い上に効くからな、あれ。

 というか、本格的にやべえな。この二人、超かわいすぎる。
 なんか俺、今この瞬間にも父性に目覚めそうだわ。
 正直、隣でいい気になってふんぞり返っているロリ邪神を放り出して、この村に留まりたい気分だわ。
 村長はアレだが、それ以外は居心地いいしな、スコット村。

「おいこら、ヨシマサ。お主、今よからぬことを考えておるじゃろう」

 ……………………。

 どうやらうちのお姫様からは逃げられんようだ。ものすごい目で睨んでる。
 実に残念だが、仕方ない。大人しく旅立つとしよう。
 ガチで呪われたりしたら、いやだし。(この性悪邪神はマジでやる)

 とまあ、そんなやり取りのあとは、宴もヒートアップ。
 俺はヴァン王国で磨いたエンターテインメント性を如何なく発揮し、お得意の大道芸を披露。
 村人たちの度肝を抜いてやった。

 フフフ……。
 どうだ、村人たちよ。これがヴァン王国を熱狂の渦に巻き込んだスーパーイリュージョンだ。

 ファイアドラゴンをグネグネ飛ばしながら悦に浸る。
 ああ~……。この感覚、久しぶりだな。超いい気分♪

「はーい! 本日はいつもより多く召喚しております」

 興が乗ったのでファイアドラゴンを五匹くらい出してみる。
 おお~。初めてやったけど、空が炎で真っ赤っかだ。

「……おい、ヨシマサ。これ、まずくないかのう」

 俺の服の裾を引っぱり、我らが女神が冷静なツッコミをしてきた。
 
 ……うん。
 俺もちょっとやり過ぎちゃったかなと思っている。
 なんか村人たちもざわざわし始めちゃったよ?

 ――あ、やべ。
 ドラゴン同士が合体して大きな火の玉になっちゃった。

「……落ちるのう、これ」

 再び冷静なツッコミをくれたロリ邪神。
 なんだろうな、暑さとは別の意味で汗が止まらない。

「なあ、セシリア……」

「ん?」

「どうしよう……」

 冷や汗を滝のように流し、セシリアに助けを求める。
 するとセシリアは、黙って『サルでもわかる! レメゲトン』を差し出した。

「悪魔さん、おいでませ~ぃ!!」

 速攻叫んだ。
 声を裏がらせてマジ絶叫した。

 そしたら、すぐに例のマッチョな悪魔さんが現れ……、

「HAHAHA!」

 ――チュドオオオオオオオオン!

 前回同様、悪魔式かめは○波を火の玉の下にぶち当て、お空の彼方に吹っ飛ばしてくれた。
 
 ――ズドーン!

 夜空を埋めつくすような特大の花火が花開く。
 おお~、た~まや~。(←現実逃避)

「……危なかったの」

「…………。うん……」

 マジで危なかった……。
 あんなん落ちてたら、地図から村が消えるところだった。

「おお!」

「すごかったな、今の。迫力満点だ」

「ええ。本当に落っこちてくるかと思ったわ」

 ただ、村人たちは演出と考えてくれたようだ。
 よし、結果オーライ!
 調子に乗ってミスしたことは黙っておこう。

「おーい、村長~。こやつ、今な~」

「お嬢様、お飲物でもお持ちしましょうか!?」

「お! ご苦労」

 ニヤニヤ笑うセシリアに最敬礼しつつ、飲み物を差し出す。
 ちくしょう、このクソガキ。こっちの足元見やがって。

 結局俺は、宴の間中この性悪邪神に散々こき使われる羽目になったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...