BEAST

hari

文字の大きさ
2 / 5
冒険の始まり

しおりを挟む
カラン、と店の扉についたベルがなり、カレンタは商品の置時計から目を離した。

「いらっしゃい…あら、トーマじゃない」

トーマは片手を上げて、よう、と笑った。

その格好を見てカレンタが顔をしかめる。

「どうしたの、服が砂だらけ…」

「いや、ちょっと大通りを走ってきたもんだから。ちょっとこのリンゴの芯捨てていい?」

どうぞ、と店のゴミ箱を指差し、カレンタはため息をついた。

「まったく…店が汚れたらお父様に叱られるわ。もうじき隣町から帰ってくるんだから」

ごめん、掃除しとくよ、と言った後、トーマは店の棚に目をやって顔を輝かせた。そこには、異国の布や木で出来た置物など、様々な商品が並んでいる。

「いつ見てもすげぇや…本当にこれ全部、センカさんが仕入れてくるのか?」

「そうよ。なんたって、バレ村唯一の貿易商だもの」

「いいなぁ…俺もいつか、センカさんみたいに世界を旅してえ」

「まだそんなこと言ってるの?外は危ないからダメだって、村の大人たちにも散々言われてるでしょう」

「分かってるよ、でも…俺、この目で見たいんだ。誰も知らない土地に行って、誰も知らない植物や動物や…《獣人》にも会ってみたい」

「え、嫌よ、《獣人》なんて。人を食べるんでしょう?そもそも実在するのかどうか…」

「だから、会ってみなきゃわからないだろ?人と獣のミックスなんてカッコイイよな、見てみたいぜ」

「もう…」

その時、店の外から聞きなれた馬具の音が聞こえてきた。そして、店の扉が開く。

「お父様!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?

もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。 政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。 王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。 王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。 オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

処理中です...