BEAST

hari

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冒険の始まり

秘密

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苦しげな声は、キッチンからするようだった。
火事の原因はここだろうか?

カレンタが勇気を振り絞ってキッチンの扉を開けると…

「お嬢…さまぁ…?」

使用人の1人が、カレンタに手を伸ばしてきた。

その胸には、深々とナイフが突き刺さっている。

「たすげで…」

ゴボッ、と口から血泡が吹き出し、使用人はキッチンの床にうつ伏せで倒れてしまった。

「う…ぁ…」

カレンタはあまりのショックにその場にへたり込み、失禁した。

その時…

ガタッ

キッチンの奥から何やら物音がした。

カレンタはビクッと肩を揺らし、よろよろと立ち上がる。

そこに殺人鬼がいる可能性がカレンタの頭をよぎり…

「ッ!!」

カレンダはよろめきながらも、廊下を駆け出した。

とにかく、逃げられる場所へ…!

カレンタは無我夢中で屋敷を走り回り、気づいた時には父センカの部屋の前にいた。

ここには絶対に入るなと、センカはカレンタや使用人たちにきつく言いつけていた。

カレンタは部屋に入るかどうか迷ったが、ここは廊下の行き止まりだ。入るならここしかない。

それに、何より殺人鬼が自分を追っているかもしれないと思うと、カレンタはいてもたってもいられなかった。

ギィ…と音を立てて部屋に入ると、すごい量の書物が壁一面を埋め尽くしていた。

見たこともない外国の品物が棚に所狭しと並んでいる。

カレンタはその光景に息を飲み、身を隠せそうな場所を探した。

センカがいつも座っているであろう古い机が目につき、そこに駆け寄る。この下なら潜り込めそうだ。

重い椅子を引いた時、机の上の紙が何枚か落ち、一冊のノートが現れた。

表紙には「Daily」…これは父の日記だ。

悪いこととは思いつつ、カレンタは自分を抑えられなかった。

普段仕事ばかりで接点の少ない父の側面を少しでも見たかったのかもしれない。

だが、それは言い訳に過ぎない。

愚かなことをしたと、カレンタは後で思い知り、心底後悔するのだ。

この一冊の日記に、カレンタの人生が狂わされたのだから…。
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