神級スキルを授かったら皇帝から褒美をやると言われたので、可愛い嫁と領地をもらった 〜嫁とイチャついてたら、気づけば神造領地と呼ばれてた〜

まっさん

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序章 転生と辺境の村

辺境の村に転生した神童

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 気づけば、俺は泣き声をあげる赤子になっていた。
 見知らぬ草ぶき屋根、藁の匂い、見慣れない人々の顔。

 ──転生? まさか、本当にあるのか。

 前世の俺は、日本でくたびれたサラリーマン。
 毎日残業に追われ、休みの日はゲームかラノベを読むくらいの陰キャ社畜だった。
 雑学ばかり詰め込んで、肝心の恋愛経験はゼロで「彼女いない歴=年齢だった」。

 そして始めた婚活は悲劇を生んだ。
 街コンやマッチングアプリに挑戦しては空振り。年齢と収入で値踏みされ、会話も盛り上がらず終了。
 そんな苦難の末に出会った結婚したいと思えた人は結婚詐欺師で、全財産取られ人生を終えた。

 ──だからこそ心残りだった。
 次の人生があるなら、絶対に「可愛い嫁」が欲しい。
 俺を好きになってくれる相手と、笑って暮らしたい。

 そう願っていた俺は、どうやらイシュタリオ帝国という異世界の、辺境の村に生まれ変わったらしい。
 両親は幼い頃に病で亡くしたが、村の人たちは俺を家族のように育ててくれた。

 ここは西の果ての寒村。冬は雪に閉ざされ、土地は痩せている。
 ときどき森から魔物が出てきて、生活を脅かすこともある。
 けれど、不思議なことに人々は助け合い、笑って生きていた。

(せっかく異世界に転生したんだ、無双して美少女とイチャイチャ生活!……そんな展開を期待している自分がいる)

 現実は、畑を耕して薪を割り、子どもたちに字を教える毎日だ。

 だが、不思議と悪くない。
 勇者にも王様にもなれなくても、こうして誰かと笑いながら生きられるなら、それで十分幸せだ。

 夜空を見上げ、ふと願いがこぼれる。
「……とはいえ、可愛いお嫁さんができたら、もっと幸せなんだけどな」



 十歳になった俺――ノエルは、村でちょっとした有名人になっていた。

 前世で仕入れた知識を思い出し、農具を改良したり、薪を効率よく割る方法を提案したり、簡単な計算や字を子どもたちに教えたりしている。

「ノエル、これ持ってみろ! 軽い!」

 友人のレオンが、俺が改良した鍬を振って目を丸くする。

「すげぇな! 神童だ!」

 「神童」と呼ばれるたびに、なんだかむず痒い。

(……前世で無駄に詰め込んでた雑学が、まさかこんなふうに役立つとはな)

 レオンは畑を任される真面目なやつ。
 木工のマルクは冗談ばかり言うが、手にかかれば見事な細工を生み出す。
 サラは料理好きで、よく味見を頼んでくるけど、たまに焦がすのが玉に瑕。
 ディランは几帳面で、在庫管理が趣味みたいなやつ。
 剣に夢中なエリオットは、今日も木人を切り倒して村長に叱られている。

「ノエル、お前ほんと頭いいよな!」
「〇ouTubeで得た知識だよ」
「ゆーちゅ?」「ちゅーぶ?」
「……いや、こっちの話」

 くだらないやり取りでも、自然と笑顔になれる。
 友人たちの笑い声が村に響き、俺の心にもじんわり温かさが広がる。

 孤児だったはずの俺は、いつの間にか仲間に囲まれ、笑い合う日常を手に入れていた。

(そうだ。前世で果たせなかった夢も、この世界ならきっと……)

 可愛い嫁と幸せな家庭を築く。
 そのためにも、俺はもっと強く、賢くならなきゃならない。



「ノエルがいれば、この村は安泰だ!」
「なあ、次は火を安定させる道具、考えてくれ!」
「ノエル兄ちゃん、字をもっと教えて!」

 村を歩けば、あちこちで声をかけられる。
 老人も子どもも、みんな俺を頼りにしてくれている。

(……俺、本当に神童扱いされてるな)

 前世じゃ、飲み会で名前すら覚えてもらえなかったのに。
 こうして必要とされるのは、やっぱり嬉しい。

 夕暮れ時、友人たちと焚き火を囲むのが恒例になっていた。
 炎の揺らめきと、肉を焼く匂い。
 火花がぱちぱちと弾ける音に混じって、笑い声が広がる。

「なあノエル、将来の夢とかあんのか?」

 エリオットが肉を頬張りながら聞いてきた。

「うーん、そうだな……この村を、もっと住みやすくしたい」
「ははっ、らしいな!」

 レオンが笑う。

「ノエルが本気出したら、村どころか国が変わるぞ!」

 マルクが茶化すと、皆がどっと笑った。

 俺も苦笑しながら夜空を見上げる。
 満天の星はまるで、未来の舞台を暗示しているように瞬いていた。

(国を変えるなんて、大げさだよ……でも)

 スキル。
 この世界には“人の可能性を切り開く力”が確かに存在している。

 せっかく転生したんだ。
 俺もいつか、かっこいいスキルを手に入れて――。
 いや、それ以上に。

(今度こそ、可愛い嫁を手に入れて幸せな家庭を築く!)

 前世で叶わなかった夢を、絶対にこの手で掴んでやる。



 この世界では十五歳になると、誰もが「賦与の儀」を受ける。
 神殿の祭壇に立ち、神からスキルを授かるのだ。

 スキルには下級から王級までの格がある。
 農耕や鍛冶のような生活系から、戦闘特化まで多種多様。
 そして数百年に一度だけ、伝説の存在とされる── 神級スキル が現れる。

「ノエルなら、きっとすごいスキルを授かるさ!」
「神童様だもんな!」

 村の連中は口を揃えてそう言うが、俺は心の中で苦笑した。

(……頼む、せめて〈雑草抜き〉とかはやめてくれ)

 子どもじみた願いだと分かってる。
 でも、前世で「婚活に失敗した社畜」として終わった俺にとって、今度の人生は掛け替えのないチャンスだ。

 この力ある異世界で、俺は何を授かるのか。
 可愛い嫁をもらい、幸せな家庭を築けるほどの力を……果たして手にできるのか。

 夜空を渡る星が一筋流れる。
 俺は静かに拳を握りしめた。

(待ってろよ、俺の“異世界ライフ”は……十五の儀式から本格的に始まるんだ)

 ──その瞬間を、俺は胸が高鳴るのを抑えきれずに待ち望んでいた。




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