神級スキルを授かったら皇帝から褒美をやると言われたので、可愛い嫁と領地をもらった 〜嫁とイチャついてたら、気づけば神造領地と呼ばれてた〜

まっさん

文字の大きさ
2 / 6
序章 転生と辺境の村

神童と呼ばれる日常

しおりを挟む


 俺が十二歳になった頃、村ではすっかり「神童ノエル」の噂が広まっていた。
 どんな難題でも工夫と知恵で何とかしてしまう。そんな俺を指して、村人たちは口を揃えてこう言う。

「困ったら、とりあえずノエルに聞け」

 本人の俺としては「俺、ただの便利屋だよ」と肩をすくめるしかない。
 けれど、村人たちが安心したように笑う顔を見るたび、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じる。

(貧しい村でも、諦めなければきっと変えられる。そうだ……俺がみんなを支える力になればいいんだ)

 そう信じて、今日も俺は友人たちと並んで村を歩いていた。



 昼下がりの畑は、陽射しに照らされてじんわりと温かい。
 鍬を振っていたレオンが、うんざりしたようにため息を吐く。

「はぁ……この土地、相変わらず硬いなぁ」

 鍬の先が石混じりの土に突き刺さる音が響く。俺は苦笑しながら、脇に積まれた雑草を手に取った。

「雑草はまとめて積んでおけば肥料になるよ。時間はかかるけど、少しずつ土も柔らかくなるはずだ」

「なるほどな……そうやって工夫すりゃいいのか」

 レオンが感心したように頷くと、その横でマルクが声を張り上げた。

「おーい、ノエル! これ見てくれ!」

 彼が両手で抱えてきたのは、木で作った支柱だった。
 節の向きを揃えたらしく、見た目にも丈夫そうだ。

「風が吹いても折れないぞ! 俺が考えたんだ!」

「おお、すごいじゃないか」

 俺は感心して笑う。

「マルク、将来は村に工房を作ればいい。絶対に役立つぞ」

「まかせろ!“マルク工房”って看板を出す日も近いな!」

 冗談交じりに胸を張る彼の姿に、周囲も笑い声を上げた。

 畑の端では、サラが焚き火を起こして鍋をかき混ぜている。

「働いたあとの一杯が、一番おいしいのよ」

 立ち上る湯気の匂いに、みんなの顔が自然と緩んだ。彼女は料理が得意で、村人に温かい食事を届けるのが大好きだった。

 一方、倉庫の前ではディランが帳面を広げて数字を並べていた。

「保存食、種子、乾燥肉……在庫の動きが早いな。来月は配分を見直した方がいい」

 几帳面に在庫を管理する彼の姿を見て、俺は思わず微笑んだ。

「……本当に、みんな頼もしくなったな」

 少し離れた丘では、エリオットが木剣を振っていた。

「やあっ、はっ!」

 鋭い音が木人を叩く。毎日の日課で、彼は村を守る戦士になることを夢見ている。

「無茶するなよ」

 声をかけると、彼は笑って木剣を肩に担いだ。

「へへ、ノエルも訓練につきあえよ! お前だって俺の相棒なんだからな!」

 その言葉に、思わず口元が緩む。

(痩せた土地で生きるのは厳しい。けど、仲間と一緒なら、きっと何とかなる。ここにはもう“希望の芽”が育っているんだ)



 数日後。
 俺の提案で、村の小川に小さな水車を作ることになった。

「ほらよ、木材はこっちで削っとく!」

 マルクが木槌を振るい、レオンが力強く木を支える。

「ディラン、釘と縄の数は足りそうか?」

「ああ、在庫は問題ない。だが、予備を確保しておいた方がいいな」

 俺は設計図代わりの簡単な板書きを広げて、全体のバランスを確認する。
 皆がそれぞれの得意を活かし、作業は思ったよりも順調に進んでいった。



 数日後の午後。
 川のせせらぎを受けて、小さな水車が完成した。

「じゃあ、水路を開けるぞ!」

 レオンが板を外すと、水流が羽根を叩いた。

 ぎしっ、ぎしっ、と音を立てながら羽根が回り始める。

「おおお! 動いた!」
「回ってる、すげえ!」

 子供たちが歓声を上げ、村人たちも集まってきて拍手が起こった。
 俺はその光景を見ながら、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。

(もっと大きな仕組みが作れたら、この村の暮らしはきっと変わる。明日を良くする力になるんだ)

 小さな水車の回転音は、村にとって初めての“未来の音”だった。



 その夜。
 いつものように焚き火を囲んで、俺たちは夕食を楽しんでいた。
 薪の爆ぜる音と、スープの匂い。柔らかな空気に包まれる時間。

「ノエルはきっと、すごいスキルを授かるわ」

 サラが笑顔で言うと、レオンが笑いながら肉を頬張った。

「そうだな。村を豊かにする〈大地の加護〉とか?」

 冗談交じりのその言葉に、皆がくすくすと笑う。
 俺も笑いながら答えた。

「……スキルって、努力でどうにかできるものじゃないからさ。正直、少し不安だよ」

 ぽつりと本音をこぼすと、隣で木剣を抱えていたエリオットが拳を握った。

「大丈夫だ。お前が神童なら、きっと神も期待してる」

 焚き火の明かりに照らされた仲間たちの笑顔が、一人ひとりの顔を浮かび上がらせる。

(……そうだな。この仲間と、この村を守りたい。何があっても)

 胸の奥に小さな決意が芽生える。



 自分の家の窓から外をのぞくと、空には無数の星が輝いていた。

「レオンたちと一緒なら、どんな未来でもきっと大丈夫だ」

 つぶやいた瞬間、夜空をひとすじの光が流れる。
 その輝きに、思わず笑みがこぼれた。

 明日への希望を胸に抱いたまま、俺は静かに目を閉じた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...