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第22話
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「ドリブラーが欲しい」
ある日の練習後、俺は呟いた。
「杉本君がいるじゃん。」
大ちゃんが答える。
「あとアタシもいるし。」
篠原がほざく。
「確かに杉本もドリブラーと呼べなくはない。けど俺が言ってるのは生粋のドリブラーって感じのやつなんだよね。球離れが悪いくらいでいい。その代わり1人じゃ止められないって相手に思わせるような圧倒的な存在がほしい」
「呼んだ?」
篠原が再びほざく。
「うるさいからちょっと黙っててもらえる?真面目な話してるから」
「えー嫌だなー。構ってよーねえねえ」
折角真面目な話してんのにこいつがいると話が進まない。
実際問題、うちには突破力が足りない。パスワークはもちろん大切だけどそれだけじゃ上へは行けない気がする。
漫画に出てくるような複数人で止めなければいけないレベルは望まないが相手が対応するために守備の上手い選手をマッチさせなければいけないくらいのレベルの選手が欲しいものだ。
攻撃のリズムが悪く連動がちぐはぐな時に一人で切り崩せる個の力は強力な武器となる。
まぁそんな人間がいるんなら苦労しないんですけどね。
それは体育の時間のことだった。
体育は隣のクラスと合同となる。ちなみに授業内容はサッカーだ。
この学校では入学してからすぐにクラスの人間と仲良くなれるように、入学早々にクラスマッチがある。その種目はサッカーとバレーに別れる。それぞれ出場予定の種目を体育で練習するようになっている。
「じゃあ二人組になってパスの練習してください」
教師の指示で仲良しの人と二人組が形成されていく。
俺はTwitterで動画が流れたせいで変に浮いてしまい余ってしまった。
隣のクラスでは洋介が余っていたので二人で組むことにした。
パスを始めてすぐに気づいたことがあった。
「フットサルやってた?」
洋介は足の裏でボールを止めていた。それにパスが早く正確だった。
「小さい頃やってた。今はやってない」
「サッカー部入らなかったんだ」
「今は…それどころじゃないから」
「あーちょっとだけ聞いたよ。なんでいじめられてんの?」
デリカシーないかと思ったけど中途半端に知ってもモヤモヤするし最後まで踏み込むことにした。これで答えないようならこの問題からは手を引こう。
「ちょっと長くなるからまた今度ね」
教えてはもらえるらしい。
教師のホイッスルで一度集合がかかる。
「では、2チームに別れて試合をしてもらいます。クラス対抗でいくから両クラス5分くらいでポジション決めてねー」
俺はトップ下になった。
偶然にも洋介はボランチだ。マッチアップする。
試合が始まりマークにつかれる。折角のサッカーだし楽しまないとな。
「なぁ、一回本気で俺を抜いてみてくんない?」
洋介は経験者みたいだしちょっと勝負してみたくなった。
「俺は…ボールを持ったら…ゴールを決めることしか…考えられないから…」
変なこと言うやつだなと思っていると、一瞬で振りきられた。
「え?」
会話していたはずの洋介の姿はもうそこにはない。
彼の遠ざかっていく背中を見送りながらハッとした。
!?
速い。
遅れて追いかけるがなかなか距離が詰まらない。
こちらのパスをインターセプトした洋介はそのままトップスピードを維持してドリブルを開始した。
一人目のディフェンスをシザースで置き去り、スピードを活かしたボディフェイントでこちらのディフェンスを次々に抜き去る。
あっという間にゴールを決めてしまった。
いたよドリブラー!しかも本物だ!
ゴールを決めてもつまらなそうに俯(うつむ)き戻ってきた洋介の姿がいつかの自分と重なる。
お前も一人でサッカーやってるんだな。
「洋介!」
「なに?」
「サッカー部入んないか?」
「入んない」
ですよねー。そんな簡単にはいかねえか。
「んじゃこの試合。勝った方が負けた方の言うことを聞くってことで!」
「まぁ…それなら別に」
「決まりだな!」
かくして、決戦の火蓋は切って落とされた。
ある日の練習後、俺は呟いた。
「杉本君がいるじゃん。」
大ちゃんが答える。
「あとアタシもいるし。」
篠原がほざく。
「確かに杉本もドリブラーと呼べなくはない。けど俺が言ってるのは生粋のドリブラーって感じのやつなんだよね。球離れが悪いくらいでいい。その代わり1人じゃ止められないって相手に思わせるような圧倒的な存在がほしい」
「呼んだ?」
篠原が再びほざく。
「うるさいからちょっと黙っててもらえる?真面目な話してるから」
「えー嫌だなー。構ってよーねえねえ」
折角真面目な話してんのにこいつがいると話が進まない。
実際問題、うちには突破力が足りない。パスワークはもちろん大切だけどそれだけじゃ上へは行けない気がする。
漫画に出てくるような複数人で止めなければいけないレベルは望まないが相手が対応するために守備の上手い選手をマッチさせなければいけないくらいのレベルの選手が欲しいものだ。
攻撃のリズムが悪く連動がちぐはぐな時に一人で切り崩せる個の力は強力な武器となる。
まぁそんな人間がいるんなら苦労しないんですけどね。
それは体育の時間のことだった。
体育は隣のクラスと合同となる。ちなみに授業内容はサッカーだ。
この学校では入学してからすぐにクラスの人間と仲良くなれるように、入学早々にクラスマッチがある。その種目はサッカーとバレーに別れる。それぞれ出場予定の種目を体育で練習するようになっている。
「じゃあ二人組になってパスの練習してください」
教師の指示で仲良しの人と二人組が形成されていく。
俺はTwitterで動画が流れたせいで変に浮いてしまい余ってしまった。
隣のクラスでは洋介が余っていたので二人で組むことにした。
パスを始めてすぐに気づいたことがあった。
「フットサルやってた?」
洋介は足の裏でボールを止めていた。それにパスが早く正確だった。
「小さい頃やってた。今はやってない」
「サッカー部入らなかったんだ」
「今は…それどころじゃないから」
「あーちょっとだけ聞いたよ。なんでいじめられてんの?」
デリカシーないかと思ったけど中途半端に知ってもモヤモヤするし最後まで踏み込むことにした。これで答えないようならこの問題からは手を引こう。
「ちょっと長くなるからまた今度ね」
教えてはもらえるらしい。
教師のホイッスルで一度集合がかかる。
「では、2チームに別れて試合をしてもらいます。クラス対抗でいくから両クラス5分くらいでポジション決めてねー」
俺はトップ下になった。
偶然にも洋介はボランチだ。マッチアップする。
試合が始まりマークにつかれる。折角のサッカーだし楽しまないとな。
「なぁ、一回本気で俺を抜いてみてくんない?」
洋介は経験者みたいだしちょっと勝負してみたくなった。
「俺は…ボールを持ったら…ゴールを決めることしか…考えられないから…」
変なこと言うやつだなと思っていると、一瞬で振りきられた。
「え?」
会話していたはずの洋介の姿はもうそこにはない。
彼の遠ざかっていく背中を見送りながらハッとした。
!?
速い。
遅れて追いかけるがなかなか距離が詰まらない。
こちらのパスをインターセプトした洋介はそのままトップスピードを維持してドリブルを開始した。
一人目のディフェンスをシザースで置き去り、スピードを活かしたボディフェイントでこちらのディフェンスを次々に抜き去る。
あっという間にゴールを決めてしまった。
いたよドリブラー!しかも本物だ!
ゴールを決めてもつまらなそうに俯(うつむ)き戻ってきた洋介の姿がいつかの自分と重なる。
お前も一人でサッカーやってるんだな。
「洋介!」
「なに?」
「サッカー部入んないか?」
「入んない」
ですよねー。そんな簡単にはいかねえか。
「んじゃこの試合。勝った方が負けた方の言うことを聞くってことで!」
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「決まりだな!」
かくして、決戦の火蓋は切って落とされた。
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