Mr.Brain

しぃ

文字の大きさ
31 / 34

第29話

しおりを挟む
「えっとさ…どうする?」
 授業が終わり下駄箱へ向かいながら俺は洋介に問いかけた。
「どう…しよっか?」
 洋介もこのどうしようもない不完全燃焼感を抱いているのだろう。あと数分あれば…
 お互いの首元に突き付けあった切っ先は収めるべき鞘を完全に見失っていた。

「ちなみに洋介は勝ってたら何をさせるつもりだったのさ?」
 俺が勝てば洋介にはサッカー部に入ってもらう予定だったのだが残念だ。
「とりあえずサッカー部やめてもらって俺のそばにずっといてもらおうかと思ってた」
 は!?え!?
 …何この子恐すぎでしょ。どうやったらそうなんの?いじめからのボディーガード的な?
 完全にパニック状態に陥る。
「冗談だよ」
 真顔で付け加えたその言葉は本心なのかもはや疑わしく思えた。
「だ、だよねー焦ったー」
 もうこの話やめよう!
「まぁどっちにしろ洋介をサッカー部に入れられなくて残念だなー」
 これは本心だ。あの才能はまだ諦める訳にはいかない。まだ負けたわけではない。いずれまた勧誘してまた適当な勝負でも何でもやればいいのだ。
「あーそれなんだけどさ。俺、サッカーやるよ。その代わり俺を助けてくれないかな?もうこんなの嫌なんだよね」
 こんなのっていじめのことだよな…
「ホントに!?あーでも助けるって言ってもいじめってそんな簡単に片付くもんなの?」
 

 実際どうなのだろうか…いじめ問題の闇は深いと聞く。
 てか具体的にどうすればいいのだろうか。
「あんまり深く考えなくてもいいよ。あくまでも俺の問題は俺が解決するから。とりあえず色々聞いてもらいたいことあるからお昼一緒に食べたいんだけどいいかな?」
 意外とちゃんとしてる…
「全然いいよ!んじゃ4限終わったら教室行くわ!」
「ありがとう。助かる」
 
 かくして、我々は最強のドリブラーをゲットした。


 4限の終わりを知らせるチャイムよりも先に腹の虫が鳴いた。
 今日何食おうかなぁ…
 授業内容はどこへやら。いつの間にか昼食のメニューへとすりかわる。
 しかし今日は懸案事項があったことを思い出した。まぁとりあえず洋介のところへ向かうか。


 隣のクラスに行くと大変なことになっていた。
 洋介の机に女子が群がっていた。体育の授業での活躍を見たのだろう。
 これ…俺がなんにもしなくても大丈夫なんじゃないの?

 洋介が俺を見つけ外へ出てきた。逃げてきたと言った方がいいか。
「いじめ、もう終わったんじゃないの?」
「こんなのは一時のことだよ。俺が変わらなきゃ意味がないんだ。だから…それを手伝って欲しい」
 決意のこもった瞳に俺は息を飲んだ。少しだけ軽く考えていたようだ。
「おう!いいよ。とりあえず学食行こうぜ。もう腹へって死にそうだよ」
 重たい空気を壊そうとニヤリと歯を見せる。
「ありがとう。じゃあ行こっか。…ハル」
 お、初めて名前呼ばれたかもな。少し照れ臭そうに洋介は笑った。なんだ、全然心配なさそうだな。

 学食へ向かう途中、すれ違う小柄な女子が呟いた。
「ハル×ヨウ、いやヨウ×ハル…これは…」
 意味は分からなかったが寒気がした。彼女のニヤケた横顔がなんだか少し恐かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

処理中です...