【完結】四ばあちゃん、二度目の人生

大江山 悠真

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セリ 6

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   ☆☆☆☆☆

ドローナックが見つかり、セリと別れ僕たちは砦から宰相の館に転移した。
兄のバロッフも僕も嘘はつかなかった。故意に話さなかっただけだ。ゴードの国の問題だから、うかつに話すものではないくらい理解は出来るつもりだ。祝福の女性で番でもだ。どこの誰だか分らぬものに話すことが出来るわけがない。いくら恋に番に、とち狂っていたとしても王族としての義務を忘れることはできない。
わかっているのだ。わかっているが感情が追い付いてこない。番と離れたことに。
兄上は黙っている。ドローナックも言う言葉がないようだ。
砦でのことは兄上ともドローナックとも話せはしないが、自身で行ってはいけないと禁止されなかった。
少なくとも、この国で困窮しているものを援助することは可能だし、それが自分の魔力をあげ強くなる道なのは確実だ。セリはすべてを禁じたのではなかった。少なくとも出来ることがあるなら全力で頑張ってみるか。
そう思いつつ、私は動き出していた。
使いうちに、この国を落ち着つかせてセリに会いに行こう。
兄上、今は出来ることからしましょう、まずは魔力操作をできるように農場を作りましょう。魔力操作ができるようになれば魔物狩りを率先してしましょう。それから、父上や義母上、王太子を助けましょう。ドローナック手伝ってくれるよな。


   ◇◇◇◇◇

シュナイダ砦から、一直線に王都のプロベルグを目指し顔なじみの料理屋に入った。ここは宿泊施設もあり、前回宿泊したとき女一人での泊りは危ないと娘さんと同じ部屋に泊まらしてくれたの。次に王都に泊まるときはここにしようと決めていた場所よ。

「お、久しぶりだわね。ちょっとしけた顔してどうしたの?泊りよね。前回と同じように娘と相部屋でいいかい。」

「ありがとうございます。それでお願いします。それと馬車を置きたいのですが大丈夫ですか?」

「ああ、ティーダに言うから宿の裏に回しておくれ。ティーダ、ティーダ馬車を置いとくれな。」

元気のいい奥さんで、ご主人が調理を担当して奥さんが宿の受付をしている。この世界では珍しいタイプの女性だわ。一度聴いたらご主人とは幼馴染で好きだったらしい。冒険者をしていたご主人が引退するまで結婚せずに待っていようと思っていたら、ご主人が冒険者をやめてプロポーズしてくれたのと嬉しそうに話してくれたわ。
奥さんに調理場の隅で料理したいから貸してほしいと頼むと快く貸してくれたわ。
フライパンを熱しておいて、ホーンラビットの肉を出す。胡椒をかけてじっくり焼き上げる、その時余分な脂が出るから取るのがコツとマリが言ってたわね。
きれいな焦げ目がついて美味しそう。

「サトちゃん、えらくいい匂いがするわね。味見させてもらえるのかしら?」

「「俺たち(私も)も味見できるよな?」

「もちろんよ、味見してみて。新しい薬味が手に入ったのよ。試してみてほしくて焼いたから。」

「「「「美味い(美味しい)!!」」」」

おい、なんでこんなにいい味が出てるんだと聞いてくるオヤジさんに、胡椒を見せたのよ。
おそる、おそるおそるにおい匂いを嗅ぐオヤジさん。少しなめてもいいか?の言葉にうなずくとなめていたわ。

「どう、使えそう?今はホーンラビットの肉で焼いたけど、大狼でも猪豚でもワイバーンの肉でもOKよ。肉を焼いたり、炒めたりする時の肉の匂いけしと味付けになるのよ。」

「値段は?」

「今回はお試し価格で、ある程度は安くするけど。しばらくしたら多分1粒が銀貨10枚くらいになると思うわよ。」

「たけーな。」と立ちすくむオヤジさん。

でもわかる気がするは、塩味じゃなく美味しいもの。肉は塩味がきついから食べにくいのよと娘のビブレナちゃん。まあ、しばらくは出てこないから。

「サトちゃん、金は払うから4枚肉を焼いてくれないか?肉は猪豚だがいいか?」

「猪豚なら、トンカツいやイノカツの方が美味しいはず。オヤジさん、油はある?」

「猪豚を仕入れたから猪豚の油なら大丈夫だ。」

「猪豚の油ね。仕方ないか。作るから見ていてね。」

料理が好きでない私ことセリ様が料理しましたのよ。肉をたたいて柔らかくして、塩、胡椒小麦粉つけてパンをパン粉にしてイノカツで揚げました。
宿のみんなは1枚の肉を試食しましたが、匂いにつられてきたお客が食べらせろ!の大合唱で。
その日はオヤジさん、猪豚のステーキとイノカツを必死に作っていました。勿論、息子のティーダも涙目で手伝っていました。本当は自分が食べたかったのよね。


私もシズみたいに奴隷を購入して商売したほうが確かかなと考えたのは、モーグ兄弟に幻滅したからかな、それとも反動かな。ま、見るのも経験かと思い奴隷商の場所を宿で聞いて来たの。
ウーン、どんなイメージを持ってたわけでもないけど何でしょう、言葉に表しにくい感情が起こりますね。
奴隷商人に聞くと、口減らしで売られる場合と犯罪をおかして奴隷落ちする場合が多いそうです。
たまに冒険者が依頼をしくじり違約金を払えず奴隷落ちするそうですが、その場合は軍が購入するケースとなるそうです。

「この子たちはどうしたの?」
5人の男の子たちがかたまっている。大きい子は11,2才で下は4,5才かしら。離れないように一塊に座っているけど。

「父親が冒険者で依頼を完了できず亡くなったんですわ。違約金が発生して残った子供たちが売られたんです。うちとしても、出来るだけ5人まとめて買っていただける方を探してやってるんですがね。なかなか5人まとめては難しくて売れ残ったままです。もう少ししたら、バラけてでも売らないとと考えているんですよ。」

一番小さい男の子二人がなんとも言えない目で見つめるの、お姉さん辛いわ。
父親を亡くして悲しむ暇なく売られたんだろうなと思うと元日本人として、ウーム。
これも縁というもんでしょうね、たまたま見に来ただけの奴隷商でこうなるんだから、私って商売人失格かも。

「5人まとめて幾らになるの?」

「そうですね、5人まとめて銀貨50枚ではいかがですか。」

「高いわよ、売れ残ってたんでしょう。下の子は、ようやく役にたつかどうかの年齢じゃない。銀貨30枚。」

「今まで食わしてきたんですから銀貨40枚でお願いしますよ。」

「わかったわ、銀貨40枚ね。契約書を頂戴。」

「良かったな、お前たち。5人まとめて一緒に買って下さるとよ。しっかり働くんだぞ。返品されたら次はバラで売りになるからな。」

「「「「「わかった。「わかりましただ。ちゃんとこちらのお嬢様に礼を言うんだぞ。」お嬢様ありがとうございます。」」」」」

こうして私は5人の子供たちを購入し、今後の方針を固めていくことにしたわ。まずはシャワーで綺麗にして乾燥ね。上下の下着と服と靴は買いに行かないといけないわね。毛布も必要よね。在庫で毛布はなかったかしら。丁度5枚在庫があるから大丈夫ね。服と靴を買いに行くわよ、馬車に乗りなさい。馬車に乗っていいのか?勿論よ、下の子たちを歩かしたら今日中にマリの農園まで着かないわよ。
服を購入するときに名前と年齢を確認したら、
長男がウェダ11才・次男がジッタ9才・三男がカロ7才・四男、五男が双子のビイ・ロダ5才だそう。
父親は採取に行くと出かけ大狼に襲われ亡くなったらしい。なんとも、この世界らしい人生の結末だわと馬車を走らせながら考えました。






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