テラへ愛を捧ぐ

大江山 悠真

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まだ見ていない場所は多いのだが、わからないのは生きているものの中に魔物になるのと亜人種になるのがいる一方で人族から魔物になるものも出ているんだわ。
あるとき、いきなり巨人族になったり一つ目の魔物になり暴れだすものが出ているようでな…何故かわからん。
女神さまはこの星に住む者たちをどうなさりたいのか、わからんとゴルドさんが話す。
ゴルドさんは人族とその他の争いと考えていたのに、現状ではそうでもないような感じがあるそうだ。
人族の滅びで完結すると考えてたのがそうでもないという事かな。
少なくとも私たちが生きていけるのなら喜ぶよ。
人族とかそんなこと関係ないものね現状は。

唯ちゃんが傍に来て由紀姉ちゃんは怖くないのと聞くから何のことだと思うとアラクネさんやゴルトさんが怖くないかという事らしい。
唯ちゃんは怖いと思ったのは、水を出せという人たちが怖くてたまらなかったけどアラクネさんやゴルトさんは怖くないらしい。
私もそうかな。
倉橋さんもアンナさんも死にたくないと思っているみたいで先のことは先のことと割り切っている。

ゴルトさんはそれを聞いてたのか、食料調達に行くついでに周辺の様子を探ってきたようで山間からと海岸沿いから大型のオオカミのような魔物が群れで狩りをし始めていると注意してくれた。
大型のオオカミの大きさ、体長3m!
化け物か。イヤ魔物だから化け物よね。
進行方向はどうやら京都方面のようだ。
舞鶴、豊岡、小浜あたりから集まってきたようだ。
群れを率いるオオボスが現れた?
そのようだなと話すゴルトさん。
田畑は仕方ないとして、逃げるのか戦うのか、通り過ぎるのを待つのかどうするか話をしたみんなで。
逃げるにしてもどこに逃げる?逃げる当てがあるわけでもなし。
魔物が京都を目指しているのなら、京都方面に逃げるのは悪手という訳で却下。
じゃどうするか、家を通り過ぎるのだけを始末するしか手がないと祖父ちゃんと倉橋さんは提案。
小浜からは亀岡を通過せずに京都に抜ける道があるから魔物たちは多分そのコースを選択するだろうと、豊岡、舞鶴からは亀岡を通るが主要幹線道路から離れたこの場所を通過するのは少ないのでやり過ごしが出来るのではと。
私も下手に亀岡中心部の大きなビルに隠れても襲撃される機会が増えるだけなような気がする。
3mの魔物が襲って来れないような家にすればよいけど3mの魔物に襲われても大丈夫な家ってどんな家?
家自体を高く隆起させて周囲を高さ10mの杭で囲み入れないようにする。
杭にはアラクネさんが蜘蛛の糸を張り巡らしておく。
地下室を作り、祖父ちゃんと剛君と唯ちゃんは地下室に避難。
後全員は屋根にて応戦すると決まった。
でもオオカミの魔物が来なければ、それで済むしと思っていたら来ました。
10頭ほどの群れが、よくここに人間がいるってわかったな。
打ち合わせ通り、ゴルトさんが教えてくれた段階で祖父ちゃんは剛君、唯ちゃんを連れて地下室に入った。
私はアンナさんと地下室の出入り口をふさぎ、屋根の上に。
博と幸田君、倉橋さんは土塀を高くする作業を中止して慌てて家に戻ってきた。
アラクネさんは、全員自宅に戻るのを待って蜘蛛の糸を杭に巻き付けだした。
玄関付近は特に念入りに蜘蛛の糸を張っていた。
強力接着剤を丹念に塗り付けた網のようなものだから、下手に網に絡まるとどうしょうも出来なくなるようで怖いです。
なるべく見つからないように、屋根の上で伏せている私たちに足音が近づいてくる。
ゴルドさんはオオカミの魔物の群れの本体がどちらに向かうか確認して戻ってくる予定。
アラクネさんだけが屋根の上から下見てる。
私たちは屋根にへばりついている状態。嫌だな今日の天気、小雨交じりの粉雪がちらついてきてる。
寒いじゃん、早くどっかに行ってくれとの願いもむなしく見つかったみたい。
家の下でうなり声が聞こえた。
アラクネさんの網に気づいたか突撃してこないね。
下でウロウロしている。アラクネさんだけしかいないと思っているのかな。
人間が見つからないからウロウロしてるのかな。
アラクネさんが下を見ながらけん制してるのか、糸を出してる。
魔物たちの毛についたらどうなるのか聞いておけばよかったな。
知ってる?
人間がほとんど住んでいない場所は音が少ないの。静かなの。だから走り去る足音も聞こえるし近づいてる音も聞こえる、当然魔物たちのうなり声も聞こえる。
だけど基本、なぜか静か…そういう時くしゃみする人がいるのよね。
魔の悪い時に何故するか?と思うけど間の悪い人間は必ずと言っていいほどいるのはお約束みたいなもの。
ここでもいましたね、博です。くしゃみをしやがりました、それもデッカイくしゃみです。
一斉に勢いづきましたオオカミの魔物さん方。
私たちはもう隠れる意味もないので、立ち上がり下を見ると7頭ですか。
うなり声をあげて襲い始めようとするオオカミの魔物。
玄関口は杭がないのでそこから屋根に飛び上がれるとばかりに助走をつけて2頭が走ってきました。
アラクネさんが1頭の首を切り落とすと同時に博とアンナさんが風魔法で次の1頭を首チョンしました。
右側面から1頭が杭を飛び越そうと走ってきたけど幸田君と倉橋さんが炎魔法で火だるまになっています。
後ろ正面から襲おうと飛び上がる1頭もアラクネさん首チョンされました。
私はその間玄関正面に土魔法で使用して屋根に上がるとしている1頭の邪魔をして魔法を崩しています。
幸田君が土魔法で大きなブロックを出して押しつぶすぞって言うのでお手伝い。
1t以上あるブロックに1頭は潰されました。グチャです。
突進してきた1頭が失敗して蜘蛛の網にかかってしまいました。
もう1頭の頭を斬ったアラクネさん、網にかかったオオカミをぐるぐる巻きにしています。
これでオオカミの魔物は一応いなくなったけど、ほかが来るとかないよね。
ゴルトさんがまだ戻ってこない。

一応、今はいないようなので寒いし家に入ろうか。
周囲も薄暗くなってきたし、祖父ちゃんたちを地下から出してあげて食事にしようね。
アラクネさんが屋根から降りて魔物を解体して持ってきてくれた。
さすが、3mのオオカミの魔物だねぇ食べがいありそうだな。
博と幸田君、アンナさんが火魔法で炙ってくれました。首チョンした2頭をその夜は食しお腹いっぱいになりましたよ。食事のあと、アラクネさんは残りの3頭を解体、1頭は森の木に吊るしてました。
手伝えなくて済みません。
夜遅く戻ってきたゴルトさんは、安心しろ、奴らは人間が集まっている方向に行ったと教えてくれた。



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