テラへ愛を捧ぐ

大江山 悠真

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オオカミの魔物の襲撃のあった翌日は忙しくみんなで働いた。
田畑は踏み荒らされているは、野菜はぐちゃぐちゃになっているわ。
家の周囲の杭は抜かないといけないわ、アラクネさんは網をほどかないといけないわ、自宅周囲の魔物たちの解体もあるし夕方には、全員がげんなりした顔をしていた。
その時にゴルトさんが襲撃の期間が長期化するようなことを言い出した。
餌の確保で動いてる魔物たちは、餌場から動かない。
ほかの場所で餌がなければ飢え死にするから当然と言えば当然よね。
冬が越せば春になり番の季節となる。
十分なエサさえあれば…。

人族の一部が逃げてくるかもしれない。
逃げて来ても我が家はこれ以上受け入れられないよね、食糧事情からして無理。
現在は1日2食、なんとか食べれているけどこれ以上の人は面倒見切れない。
そんなことしたら私たちまで飢え死にしてしまうよ。
自分たちで何とか自活しようとしてくれる人なら近隣の空き家に住んでくれればいいけどね。
とにかく畑を元に戻して暖かくなったら種をまけるようにと冬に収穫できるものを植えれるようにしとこう。
ゴルトさんはオオカミの魔物から逃げれた人たちが何人かこちらに近づいてると話した。
ついでに空き家があるなら、熊の獣人さん3名とウサギの獣人2人、猫の獣人5名の住めるところがあるなら住んでも良いか聞いてきた。
思わず博が俺たちを食べないよなって確認した。
祖父ちゃんとアラクネさんは別に構わないと了承したので私たちはOKと伝えといた。
2,3日したらここに着くらしい。
アラクネさんも自分の子供たちの2人が近くにいるが神社の隣の山肌にすみつくので注意するようにって。
アラクネさん、注意ってなに?注意って。
みんなが不思議そうな顔してみる中、アラクネさん言いづらそうに

「若い時の蜘蛛は網にかかったものは何でも喰らうんだわ。片手までの大きさなら人は喰わないけど、1m以上になると逆に網にかかったものなんでも餌にするのよ。」って
成長するために必要なんだって、ちなみに私たちは網にかかっても食さないように伝えてはいるけど念のために注意してほしいって。
勿論です!!注意します。




     ◇◇◇◇◇

『へ、っへ…何とか逃げてこられたな。けど腹減ったし、のども乾いたが水はないのかな。ここら辺は魔物たちが来なかったみたいだな。それとも人がもともといないのかな。どこかに水か食べ物が残ってないのかな。あれ?人が見えたような・・・違うか・・・見間違いか?いや、人がいる!助かった、食べ物を貰えるかな。』


(あら~人間がいるようだねぇ・・・母ちゃんが言ってた人かな。近寄ってくるけど。捕まえて母ちゃんに怒られるのも嫌だから・・・少し様子見してみようか。兄ちゃんー人が近づいてくるみたいだよ~)

「すみません、こちらに住んでいらっしゃるのでしょうか?」

「あら?近くに住まれている方ですか?」

「イヤイヤ、逃げてきたのです。知りませんか?2,3mぐらいの魔物が群れで襲ってきたのですよ。そこから僕はかろうじて逃げてきたんです。のどが渇いてるのとお腹がすいているのですが水とかもらえませんか?」

「魔物に襲われたのですか!?ここら辺には来なかったみたいですね。水は横の神社さんにありますよ。食べる物は少ないですが用意しますので、家に入って待ってもらえますか?」

「図々しくて申し訳ないです。じゃ、先に水呑んできます。」

誰もいないような神社をおそるおそる覗き込むようにして水を探しに行く30前後の男性をみながら、後ろの家にむかって話す女性のつぶやきは聞こえなかったようだ。

『母ちゃんが話していた人族じゃなくて良かったよ。心配せずに出来るみたいよ兄ちゃん。
兄ちゃんは芋でも見つけてきてもらえる。私は家に入ってもらうから。』

男性が女性と話していた場所近くの家を覗いているが、この家は人が住んでいないようだ。
数軒の家が並んでいるようだが、女性がいるのはと探す男性に山肌近くの家から声がかかった。

「こちらです。奥の家で申し訳ないですねぇ。
私たちが来た時にはまだそこら辺の家には人が住んでいたから・・・」

「あ、こちらこそ見も知らずの人間に親切にしてもらってすみません。」

「お互い様ですわ、兄は下の畑に食べる物がないか探しに行きましたのでしばらくお待ちくださいね。魔物に襲われたそうですがどこから来られたのですか?」


「僕は京都市内に住んでいたんだ。京都は津波の影響はなかったので暫くは生活出来たのですが、難民が多くて物がなくなり生活が大変な時に魔物が群れで襲ってきたんだ。マンションに住んでいたのですぐに襲われなかったけどあちらこちらで悲鳴があがっていた。僕はバイクが趣味だったのでスキをみてバイクで逃げたんだけど、エネルギーがなくなりそこからは歩きで逃げたんだ。魔物に襲われずここまで逃げれたのは奇跡みたいなものさ。」

「お一人で大変でしたでしょうね。」

「ああ、途中まで友人と一緒だったけど途中ではぐれてね。困ったよ。ここにはお兄さんと二人だけ?」


「ええ、私たちはここより北のほうに住んでいて魔物に追われここまで逃げてきたの。逃げる途中で父と母は魔物に襲われて亡くなったわ。ここは魔物があまり出ない所みたいで離れたところにも住み着いた人たちがいるみたい。」


「みんなどうして生活しているのかな?」

「野菜を作ったり魔物を倒したりして暮らしてるのよ。」

「魔物って倒せるのか?」

「ええ、角があるウサギを見かけたことがあるけど倒せるみたいね。そこの人たちは魔法が使えるみたいなのよ。」


「魔法?魔法が使えるのか?いいなあ、それならそいつらを組織して魔物を倒さすことも可能だな。いや、僕はこうみえても大きな会社で経営をしていたんだ。人を組織して行動させるのはお任せなんだ。」

(人に任せて自分は動かず文句言うタイプの人間か、不要人物だわね。)
内心の思いとは別に家に招きいれる女性に対し男性はひそやかに笑みを浮かべている。
兄と一緒にいるらしいけど、近くに人影はないし家にあるものを頂いて出ていくか。腹ごしらえしないと魔法が使える奴らの家までいけないかもしれないしなと頭の中で思考していく。
家の中を見ると特に物があるように見えないが奥に水素タンクが見えた。
男は水素タンクに水素が入っているならバイクを動かせるなと考え確認してみると水素エネが入っていると言うではないか。
小躍りしそうな様子の男が女性に水素エネを譲ってもらえないか交渉し始めた。
女性は水素エネは兄が使う予定があるようなので兄に聞いてくれと話した。
男は兄が帰るのを素直に待つようだ。女性が何もないがと山で取れたアケビのようなものを出してくれた。
男は腹がすいているのか礼を述べながら1口2口と口の中に入れたところでボンヤリし始め意識を手放したようだ。

暗闇の中、部屋に薄らぼんやりと影が浮かび上がる。
意識を取り戻した男が身体をほぐそうと手足を伸ばすが、伸ばせない。
寝ぼけた頭で絡んだものを外そうとするが、なぜか自由にならないところでようやく意識がはっきりしたのか周囲を見た。
自分が何かに縛られているようだとわかると周囲を見下ろして女性とその兄に気づいたようだ。
その女性と兄を見て血の気が引いていく。目を何回かしばたいたが下の情景は変化しない。
女性と兄というものたちに腕が2本と先に鎌のように見える4本の何かが見えたのだ。
彼らは手にしている水晶玉を見ていた。
水晶玉にはぶら下げられた男がマンションを出るとき幼い少女と母親を足蹴にしているのが映し出されている。
オヤ、次の場面はバイクの後ろに乗せた男性を振り落とそうとしているかのような運転をしている男性と落ちまいとする男性の攻防が映っていた。
その画面を見つめる二人がニッコリと笑顔で男性に声をかけた。

「情け容赦なく自分のためだけに人の命を利用する貴方に私たちは感銘を受けましたね。これで罪悪感なく貴方をゆっくり料理することが出来ます。ゆっくり殺さずに絞りあげますから期待してください。大丈夫、飲み水も食べ物もあげますよ。そのかわり私たちは貴方の血をすすらせてもらいますから・・・若い貴方は随分私たちを楽しませてくれるでしょうね、期待してますよ。」







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