テラへ愛を捧ぐ

大江山 悠真

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第2章 ダンジョン

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津波が起こり人が大勢亡くなってから7年、22才になった私こと神崎由紀は依然と変わったのか。
たまにフト考えることがあるわ、14歳までの私は平凡でどこにでもいる女の子だったと思う。
顔も美人でもなし可愛くもない不細工でもない、10人が見ると10人がフーンと思う子供だった1つ違うところは若干の魔力があったことぐらい。
魔力があったけど現在は並外れた魔力でもないし農作業していたとはいえ力も普通だと思う。
アンナさんは剣を振り回せるけど、私はナイフがお手頃だしね、卑下してるわけではないけど生き残れてるのは仲間のお陰だと感謝しているの。
だから仲間の雰囲気が悪くなるのはテョットね。
ゴブリンのダンジョンから早々に立ち去り現在は海岸沿いに道をとるか川沿いに道を取るかで意見の交換中。
まとめ役の倉橋さんが

「飲み水が確保できる川沿いだけど山道を走るか、見晴らしと今まで行くことのなかった海岸沿いを索敵しながら進むがいいのか迷うな。”風のダンジョン”の情報は皆無だしな。」

「戻るという手もありますよね。剣とかナイフが手に入ったので持ち帰れば、皆が喜びますよ。」
とは冷静な剛君。

「せっかく集落からでてここまで来たのだから・・・もう少し情報を集めて帰りたいわ。他の集落とか全然見掛けていないしね。」

「俺も、もう少し情報収集したいかな。進んでいきダンジョンとかあれば入ってみたいしな・・・興味本位じゃなくてダンジョンに入れば戦う力が上がるだろう。今の集落では力が伸びないんだ。強い魔物が現れたら負けるだろう。
負ければ死ぬんだぜ。俺は強くなって生きていたいんだ。」

そうなんだ幸田君は生き残りたいんだ。そうだよね、私もゴブリンなんかに殺されるのは嫌だな。

「由紀はどうしたいんだ?」

「私は”風のダンジョン”別にして、もう少し進んでみたいと思う。剣とかナイフは持って帰りたい気持ちはあるのよ剛君の言うとおりね。だけど集落とかを見つけたいし自分たちだけが残っているのではないことを確かめたい気があるの。今はそちらの気持ちが強いかな。」

「そうか、では帰りやすいように進む道は川沿いとするか。”風のダンジョン”の情報がない場合は冬までには集落に帰りつきたいから後2か月ほどは探してみよう。その間に集落とか見つからない場合は帰ることで、剛いいか?」

「いいよ、それで。唯の顔も見たいけど、僕もダンジョンに入りたい気持ちはあるから。」

そういう事で私たちは川沿いの道を選択。
川沿いの横は木々が生い茂り始めているから温度は海沿いを走るよりましかな。
そう思いながら走っていると、横から角ウサギが相変わらず突撃してくるしブラックベアは前に立ちふさがる。
私たちの攻撃が変わったのは、倉橋さんと幸田君が剣を使いだしたこと。剛君はナイフを投擲するようになったこと。
私はまだ攻撃魔法が上手くないので練習攻撃魔法の練習を一生懸命しているのよ。
でも、攻撃力は上がってると思う、5頭のぐらいのウルフの群れなら一人で倒せるようになったもの。
そんな調子で走っている時、白狼が急に立ち止まった。
剛君がどうした?って顔したときに人間の声が・・・

「助けて~だれか~だれか~いやー!!」

倉橋さんが声のする方を探りに行った。白狼と一緒に剛君も走って行ったね。
来てくれ!!の声に行ってみると、ゴブリンが襲い掛かってきた。
こん棒を持って走ってくる集団にアンナさんがすかさずファイヤーボールを打ち込んだ。白狼は後ろのゴブリンたちを追い回して剛君がウォターボールで3人のゴブリンたちを同時に水死させた。
倉橋さんは剣で1匹の腹を斬りながらウィンドカッターで2匹の首を斬り飛ばした。
私も向かってきたゴブリン5匹に水弾を飛ばして打ち殺した。幸田君も1匹のゴブリンを袈裟懸けに斬り火弾で3匹打ち殺した。男の人を殺そうとしてるゴブリンはアンナさんが頭に炎弾を撃ち込み殺したみたい。
後ろからきたゴブリンは白狼がかみ殺した。
白狼拾った時は子犬の感じだったのが食糧事情の改善からか今では大型犬の大きさになってるからね。
ゴブリンぐらいの大きさの魔物ならかみ殺せるから・・・私もかみ殺せるよね、そこでこちら見てよだれ垂らすな!エサやらないぞ!!!
そんなことより、男の人は大丈夫?
集落以外で初めて人間を見た。人がいるんだ・・・生き残てるの私たちだけじゃない、良かった~
助かったことに安堵したのか、崩れるように座り込んだ人に倉橋さんが聞いた。

「大丈夫ですか?あなたとそちらの子だけですか?」

「・・・スマン・・子供は大丈夫だ。あちらに2人が・・生きていないと思うが・・この子の祖父母だ。」

「俺が剛と白狼と連れて見てくるよ。」

「頼むわ、ケガしてますか?」

「いや、擦り傷だと思う。大丈夫だ。助かった、礼を言う。俺は斎藤一也で子供の一樹だ。」

「父さん、大丈夫?ありがとう、父さんを助けてくれて。」

「自己紹介より、まず水で傷を洗わなくては。川に降りて晃たちを待ちましょう。」

「そうだな。斎藤さん、まず傷を洗いましょう。」

「そ、そうだな。すまん。」

「父さん大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。お前もケガしてないか?」

「うん、僕は大丈夫だった父さんが庇ってくれたから。」


焚き木を拾って川原で水を沸かしていると幸田君が剛君を連れて戻ってきた。
白狼、口が真っ赤だ。剛君は果物を取って来てくれたんだ。幸田君はなにか荷物を持ってきた。
倉橋さんをみて首を振る。
倉橋さんも黙ってうなずいている、その様子を見て斎藤さんが

「スマン、遺体は?」

「燃やしました。ゴブリンとは別にですが。落ちてた物はこれだけでした。」

「ありがとう、遺体まで燃やしてくれて・・・何もかもありがとう。君たちが来てくれなければ俺も息子もやられてだろうな。」

「先に湯が沸いたので、飲み物作りますね。傷口はあらったので大丈夫と思うけど念のためアロエで消毒しときましょう。少し沁みるかも。」

「お姉ちゃん、ありがとう。」


傷の手当てをして昼休憩を取りながら事情を聞けば、
斎藤さんたち一家は、この近くの集落で生活していた。集落は20軒ほどで住民は30人ほどいた。
ただ、ここ1か月ほどの間に奇妙な病気がはやり始めた。身体が縮みだす病気らしい。
痛みがあるようで緑色の斑点が身体に現れだし、身体が縮みだす。
集落の世話役の奥さんが罹り始め160cm以上あった身体が110cm程度に縮んでしまった。
その後は奥さんから世話役に病気が拡がり集落の半数が罹った段階で世話役一家がいなくなった。
気味が悪くなった人たちが集落から逃げ始め、斎藤さんも斎藤さんの父母と子供の一樹君を連れて集落から離れた。次の定住先を探しているときにゴブリンに襲われ逃げたが、母親が捕まり父親は助けるためと斎藤さん親子を逃がすためにゴブリンたちと対決した模様。
ゴブリンの一部が自分たちを追いかけ追いつかれて殺されそうになった時に私たちが助けに入ったという経過らしい。

「緑色の斑点が出てその後、縮みだす?110cm程度の大きさね?何か思い浮かばないか、晃。」

「緑色と110cm程度大きさってゴブリンを思い出すな。」

「斎藤さん、村で食べてた物とか飲み水はどこでくんでいたか教えてくれませんか?」

「飲み水は集落に井戸があるのでみんなそこから汲んでいたよ。あと、水魔法で出せる者は魔法で出していたな。食べ物は集落で作った野菜とか、ほら君が持ってる果物を食べていたな。特にその果物はグレープフルーツとオレンジの中間のような味でね、よく食べていたよ。不思議に冬以外は実をつけてくれてね。作物が取れるまで主食になっていたな。」

「この果物ですか?」
と言いながら剛君、果物をナイフで半分に切った。
中はグレープフルーツのオレンジ色で美味しそうな香りを漂わせている。
剛君はすべての果物にナイフを入れ半分に切った。
切った果物の2つに白くうごめいているものがあった。
白くうごめいているものは、なにか蛆虫か回虫のようなものだった。気持ち悪い!

「この白いものは何ですか?」と倉橋さんが斎藤さんに聞けば

「いやー知らないな。こんな白い虫が入っているなんて初めて見たよ。気持ち悪いね。」

「剛、取ってきた果物はすべて火にくべろ。残すなよ。斎藤さん、この果物の生る木はこの周辺に自生してるのですか?」


「どうだろう、僕は自分の集落の周辺しか知らないけど、集落周辺にはいっぱいあるな。「そうだよ、お父さんのいう通り村のおばちゃんたち、これが大好きで一杯とってたよ。」」

「そうなんですね・・・晃、念のためにこの果物の樹の一部だけ集落に帰るとき持って帰ってみような。」

「ああ、帰りでいいだろう。今日はここで止まりにするのか?」

と聞く幸田君にできれば離れたいと倉橋さんが述べて斎藤さんに一緒に来るかどうか尋ねる。
当然、一緒にとなり移動開始。
斎藤さんの体調もあるので速歩となった。

「昔々のお話で鬼がお姫様を攫ったと伝えられているのが、向こうに見える大江山だよ。」
と話ししてくれる斎藤さん。
斎藤さんはこの近くの出身ですかと聞くと話してくれたの。
大学までこの近くで住んでいて大学は京都市内で下宿して通学したらしい。大学で知り合った女性と結婚。生まれた子供が一樹君。津波で奥さんを亡くし一樹君と両親の元に来て現在まで暮らしていたそうだ。
斎藤さんが話している間、一樹君はお父さんの背中で寝ていた。

夜、一樹君が痛みを訴えた。ゴブリンたちに傷つけられたところが化膿したかと肌着をめくると緑色の斑点が身体中に広がっていた。
驚いた私たちが斎藤さんを見ると上着を脱いだ斎藤さんの背中は緑色の斑点だらけ・・・
斎藤さんは自分のお腹を見てギョとしている。

斎藤さんは焚火をそのままにして出発するように言ってくれた。
私たちは何も言えず、全員で頭を下げて出発した。
私たちが出来たことは、出来るだけ多くの食材を残していくことだけだった。




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