この格子の向こう側に君と

アクエリア

文字の大きさ
4 / 4

2

しおりを挟む
しばらくして看守さんが戻ってきた。
「エレナちゃんおまたせ~さっき言った会ってもらいたい子はこの子なんだけど…」

そう言って看守さんは鉄格子の影から男の子を引っ張り出した。
なんか…嫌そう。私に会いたくなかったのかな…

「ごめんねエレナちゃん。この子人見知り?みたいなものだから…わたしは今から行くところがあるから二人でお話しててくれる?」

ちょっと話せるか不安だけど友達が欲しかったから頷いた。

「そう…よかったわ。ちゃんと挨拶するのよ?」

と男の子の頭をポンと叩いて看守さんはどこかに行ってしまった。

暗いからよく見えないけれど廊下の明かりが瞳とか髪にキラキラ反射してとっても綺麗だと思う。
私は自分がどんな顔かわからないけどきっと比べ物にならない。

「…えっとこんにちは…」

とりあえず挨拶はした方がいいよね…
看守さんは声に出さなくてもわかってくれるから声を出したのは久しぶりだ。掠れてたかな…
しばらく待っても男の子は挨拶を返してくれなかった。

やっぱり私って気持ち悪い?看守さんは普通に接してくれるけど他の人はどうかわからない。こんな綺麗な人なら、周りも綺麗な人ばっかで私みたいな人いなかったのかな…
 
 でも人見知りって言ったし本当に人見知りなだけっていう可能性もあるしもう一回だけ挨拶して、それでダメだったらもう諦めよう。

「こんにちは」
「…」

やっぱりダメか…と思わずショボンとしてしまった。すると「…こんにちは」と小さかったけどちゃんと挨拶を返してくれた。初めて会った人にはちゃんと自己紹介しないと!

「えっと私の名前はエレナって言います。よかったらあなたの名前も教えてくれないかな?」
「…レ…ィ…」
「ごめんなさい…聞こえなかったです…」

折角勇気を出して名前を言ってくれたのに聞こえなかったな…でも何回も言ってもらったら失礼だよね…だからといって名前間違えてもダメだし...グルグルと考えていると、「レイ」という男の子のはっきりした声が聞こえた。

 もう一回繰り返してくれたんだ!嬉しいなぁこの人も少しは私と仲良くなりたいって思ってくれてるのかな?

「何回も繰り返させてごめんなさい!レイ君って言うんだね!これからよろしくお願いします!」

としっかり礼をした。顔を上げると、レイ君が目を見開いていた。え?私何か変なことしたかな?

「な、何か変だった?」

と私が聞くとふるふると首を横に振るレイ君。
「変じゃないけど友達には…お辞儀とかしなくていいと思うよ?」

「お友達になってくれるの?!」

「え、嫌だった?」

「全然!初めてのお友達だもの、すっごく嬉しいに決まってる!」

「…そっか」
なんだか最初の時より、レイ君スラスラ話してるけど、ちょっとは心を開いてくれたってことでいいのかな?

「ねぇレイ君。もう少し近くで話したいな。私はあまり動けないから近づいてくれると嬉しいんだけど…」

そう提案するとレイ君は首を振った。

「ごめん。これ以上は近づけない」
少し胸がチクリとした。勝手に私が盛り上がってただけで、レイ君は友達になったこと、嬉しくないのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

私には婚約者がいた

れもんぴーる
恋愛
私には優秀な魔法使いの婚約者がいる。彼の仕事が忙しくて会えない時間が多くなり、その間私は花の世話をして過ごす。ある日、彼の恋人を名乗る女性から婚約を解消してと手紙が・・・。私は大切な花の世話を忘れるほど嘆き悲しむ。すると彼は・・・? *かなりショートストーリーです。長編にするつもりで書き始めたのに、なぜか主人公の一人語り風になり、書き直そうにもこれでしか納まりませんでした。不思議な力が(#^^#) *なろうにも投稿しています

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

側妃の愛

まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。 王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。 力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。 Copyright©︎2025-まるねこ

だって悪女ですもの。

とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。 幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。 だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。 彼女の選択は。 小説家になろう様にも掲載予定です。

【完結】大好きなあなたのために…?

月樹《つき》
恋愛
私には子供の頃から仲の良い大好きな幼馴染がいた。 2人でよく読んだ冒険のお話の中では、最後に魔物を倒し立派な騎士となった男の子と、それを支えてきた聖女の女の子が結ばれる。 『俺もこの物語の主人公みたいに立派な騎士になるから』と言って、真っ赤な顔で花畑で摘んだ花束をくれた彼。あの時から彼を信じて支えてきたのに… いつの間にか彼の隣には、お姫様のように可憐な女の子がいた…。

処理中です...