XLサイズの龍大くんはくっつきたがりなクーデレ男子

星詠みう菜

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やってみようか、ポリネシアンセックス

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 鈴夏の購入した雑誌によると、ポリネシアンセックスとはスローセックスのひとつ。ポリネシア地方発祥で、射精を目的としない。そして5日間かけて行うものらしい。やり方をじっくり見てみると、かなり独特だった。
 1日めはお互い裸になり、30分間見つめ合って会話するだけ。体に触れてはいけない。
 2日めは1日めと同じ内容だけど、軽いキスや触れ合いはしても良い。
 3日めは1日めと同じことをしたあと、30分間ディープキスや性感帯への軽い愛撫だけ。
 4日めは3日めと同じだけど、性器への愛撫もして良い。オーガズムは迎えないようにする。
 5日めは1から4日目をおさらいするように1時間愛撫したあとに、挿入。このとき30分は動かない。
 
「こんなに我慢するんだ……」

 龍大が溜め息を出しながら頭を抱えた。でも表情は柔らかく、チャレンジしたい気持ちが垣間見えた。
 
「だよね、どんな感じなんだろ」

 さらに検索して調べてみると、絆が深まってセックスの満足度も上がるというメリットがある反面、時間がかかったり忍耐力が試されるなどのデメリットも書かれていた。
 
「あーそうか、時間ないとできないよね」
「確かに」
 
 ただでさえ鈴夏と龍大は働いている日にちや時間帯が違うため、デートすることすら難しい。それなのにこんなに時間がかかるセックスなんて、最初は難しいとふたりとも思った。
 
「一緒に住むとかしないとムリじゃん」
「……それ、いい」

 不意に一緒に住むことを提案したら、龍大が目を輝かせながら鈴夏を見つめてきた。
 
「一緒に住もう、鈴夏」

 予想以上にあっさりと、ふたりが一緒に住むことが決まった。一緒に住むとはいえ期間限定で、1週間同棲してみることになった。
 ふたりには就寝時刻が食い違っているという課題があったが、鈴夏には考えがあった。
 
「寝る時間合わせなきゃだけど、私がなんとかする」

 ふたりでポリネシアンセックスがしてみたい。そんな快楽が待っているのか試してみたい。なんだか野性的な発想だけど、人間だって動物だ。鈴夏も龍大も社会人だし、お互いの淡い恋心だけで絆を深められるわけではないことを、重々承知している。
 次の月曜日、朝会が終わったあとに鈴夏は上司の野瀬のデスクに向かっていた。
 
「野瀬さん、ちょっとご相談したいことが……」
「ん? なんかあった?」
「あの、このフロアって朝何時から入れますか?」
「7時には入れるはずだけど」

 鈴夏は残業せず、朝早く出勤して仕事をこなす策をとった。確か龍大は4時半に家を出るから、鈴夏がそこからゆっくり準備をして会社へ向かったとしても6時くらいに解錠してもらわないと困る。朝が強い方ではないが、そのうち慣れるだろう。というか、慣れるようにしたい。

「6時くらいだったらまだ閉まってますか?」
「何? そんな早朝から仕事したいの?」
「はい……定時後の残業じゃなくって、朝の時間にずらそうかと」
「あーなるほどね。私からフロアの責任者に聞いてみるわ」

 そう言って野瀬は席を立って、設計部長やオフィスの管理をしている警備に連絡をつけて確認をしてくれた。ものの5分ほどで帰って来た野瀬が、鈴夏に報告してくる。
 
「6時からでも開いてるって。日報は自分でちゃんとつけなさいよ」
「はい、ありがとうございます」

 野瀬に頭を下げると、去り際に鈴夏の肩にポンと手を乗せてきた。
 
「そういうやる気の見せ方、私は好きよ」
 
 鈴夏は胸の中で、久々にじわりと熱くなるものを感じた。胸に手を当て、深呼吸して、パソコンの画面を見つめて……。作業に取り掛かったあとは、なにかが取り憑いたように没頭した。
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