妹が最優先という事で婚約破棄なさいましたよね? 復縁なんてお断りよッ!!

百谷シカ

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6 寄り添う魂

 眩暈がした。
 なので、とりあえず父の隣に両膝をついて頭を下げた。


「いやいやいや。アデル、さっき話した通りだ」

「(お前っ、なにを言われた!?)」 

「……」


 私は無言で首を振る。
 少し混乱しているので、なにも言わない事にしたのだ。


「よしてください、オリファント伯爵。アデルには亡き妻との思い出話を聞いてもらっていたのです」

「し、失礼がなければいいのですが」


 ごめんなさい、お父様。
 失礼は存分にやり倒したわ。


「とんでもない。アデルは心の優しい女性です。私と妻のために涙してくれました。それで心打たれたのです。聞けば、随分と身勝手な男に婚約を破棄されたとか。そこで、私が後見人になると申し出たところだったのですよ。丁度よかった。オリファント伯爵、アデルの後見人を任せてはもらえないだろうか」

「……」


 父が、ふらりと傾き、床に手をついた。
 私より動揺している。


「めっ、滅相もない」


 具体的な返事ではない。
 だけど気持ちはよくわかるわ、お父様。


「その、クライトン伯爵? エグバート卿は、10人の妹を結婚させて貴族社会で横の繋がりを強固にしているようではあるが、私はとりたてて聞いた事がないし、政略結婚を10回もさせたにしては王族はひとりもいないようだし」

 
 王族はレベルが高すぎて。
 そんな事、気にした事がなかった。


「そんな男に、大切なオリファントの御令嬢が痛めつけられたなど、私もこう……胃がムカムカするのですよ。そうでなくてもアデルは、これほど愛らしく、心優しい、そして強い、素晴らしい女性だ」

「いや、甘えん坊なおてんば娘でして」

「それはあなた方が愛したからだ。甘やかされた狂暴な人間も何人か目にしてきたが、それとアデルは全くの別物です。アデルは幸せな結婚をするべきだ。私がその役に立てるのであれば、そうしたい。わかってもらえるだろうか、オリファント伯爵」

「はい……」


 というわけで、熱意に完敗。
 私は、先の国王が曽祖父……ということは、つまるところ今の国王陛下が大伯父にあたる、とんでもない御身分であるメイスフィールド伯爵を後見人として、新たな結婚相手を見つける事になった。

 季節が過ぎ。

 私は王族がなせる業と言える、最上級の教育を受けていた。
 メイスフィールド伯爵は、可能であれば私を同盟国の王家に嫁がせる事まで視野に入れているそうだ。

 けれど……


「……」


 胸が苦しい。

 私は、優しく頼もしいメイスフィールド伯爵に、恋をしていた。
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