厚かましい妹の言掛りがウザ……酷いので、家族総出でお仕置きしてみた。

百谷シカ

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3 ブチギレディーン

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「なんて奴だ! 俺のカルロッテは馬鹿じゃない!! 熱いハートと根性が自慢のスペシャルキュートな俺の姫だ!! 俺が愛しているのはカルロッテであって性格のひん曲がった妹のほうじゃない!! 失礼、オーベリソン伯爵」

「いや、本当の事だ」


 彼が持ってきてくれた薔薇の紅茶にうちの焼き菓子を添えて、テーブルを囲んでいる、いつもの風景。


「とにかく俺は、頭に来ているんだ……! エヴェリーナに愛想よくしたのは、あなたの娘で、彼女の妹だからだ……! それが……どうして……ッ、俺がエヴェリーナを愛している事になるんだッ!! カルロッテがいるというのにッ!!」

 
 青筋を立てて、ワナワナ震えて。
 私のため半分、自分の心のため半分で怒ってる彼、懐いた猛獣みたいで可愛い。


「……」

「笑い事じゃないぞ、カルロッテ! なあ、俺は君を愛している。わかってるよな? 俺には君だけだ! 疑ってないよな!?」

「疑ってない」


 愛されているこそばゆさを隠そうとして、変な顔になっちゃう。
 

「私がいけないんです。自分からこんな美しい子が生まれたなんてって浮かれて、甘やかして育てたから……『あなたは天使よ』って……むしろ悪魔に……」


 母は半泣き。
 

「たしかに甘やかすと碌な事にはならないでしょうが、あれは生まれ持った性格ですよ。顔がいい分、心が醜いんだ。あ。失礼、オーベリソン伯爵」

「いや、その通りだ」

 
 父も情けない顔してる。
 私は、なにも言わずにはいられなかった。


「私が知る限りうちの親族にあんな性格の悪い人はいないわ。見てないところで階段から落ちたとか庭で転んで噴水の縁に激突したとかで、頭打ったんじゃない?」

「そうなのか。ヤンチャ関係ではカルロッテばかり気にしていたから、盲点だった」

「君の活発なところも好きだ」


 ディーンが私の手をきゅっと握って囁いた。
 照れる。


「あの子があの性格でも結婚できそうって喜んだけれど、本当に嫁がせていいのかしら。そればかり心配してしまって……」

「実際、俺の前ではいい顔してますから、婚家で牙はむかないでしょう」

「そうね。あの方の前では猫被ってるから」


 母が頭を抱えた。
 父も抱えた。

 私は、ディーンと見つめあってキスした。


「ずっと被り続けてくれるのかしら」


 問題はそこだ。
 結婚してしまえばこっちのものとも言える反面、結婚してからもし「こんな性格の悪い女とは思わなかった!」と離婚でもされたら、オーベリソン伯爵家は再起不能になる。しかも立場上、断る事も、弁明する事も難しい。


「とにかく、お願いしたいのは、エヴェリーナが原因でもしもの事があったとしてもカルロッテと結婚してほしいという事です。シーヴ伯爵」

「もちろんだ!!」


 項垂れる父の歎願に、ついにディーンが立ちあがった。

 
「俺の愛しているのはカルロッテただひとりだ! 俺たちはふたりでひとつ! 謂わばディルロッテ! もしくはカルローン!」

「ぷっ」


 笑っちゃダメよね。
 彼、本気だし。


「大切なカルロッテとその家族をこんなに悩ませて俺の気持ちまで捻じ曲げようなんて、あああムカつく! 失礼、オーベリソン伯爵」

「いいんだ。ありがとう」


 父と彼が握手を交わした。
 シーヴ伯爵の義憤は、私たち一家の、希望の光。


「ディルロッテ、よくないか? な。ふたりでひとつ」

「ふっ」


 笑っちゃダメ。
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