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6 小さなパーティー
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そして運命の日はやってきた。
「まあね! お母様が私の気を引きたいって気持ちを汲んであげる意味でも、喜ぶふりくらいはしてあげるわよ? オトナだから。だけど、残念ねぇ~? お姉様が婚約した時ってぇ、婚約発表を兼ねた晩餐会しかしなかったでしょう? そこよ。姉妹のどちらが大切かって事! そういう事!!」
「私たちふたりを祝う小さなパーティーって聞いたけど」
両親が娘たちを送り出す、家族だけの小さなパーティーを主催したという建前。
身支度を整えていたら、いつも通り妹が突入してきた。
「はあ? 勝手にそう思ってればぁ~? お姉様なんかオマケに決まってるじゃない。もう、お母様ったら私と離れるのがそんなに悲しいのねぇ。こんなに麗しい娘を産んだからには、最高の貴族の妻になって別の家の人間になっちゃうってわかってたはずなのにぃ~」
「不細工だって結婚するわよ」
「まあ、お姉様とかね。よくわかってるじゃない」
「私は不細工じゃない」
「じゃあ、どうしておめかししてるのかしらぁ~? 自分に自信がないからでしょぉ~? 単品ならまあ見れなくもないけど、私の添え物だし!」
「せめて引き立て役とか言えない? あなた以外の女性もみんな人間なのよ?」
「あっそう! 人間だからディーン様と結婚できるって理屈なわけ!? じゃあ、したら? 毎日! 毎朝! 毎晩! お姉様の顔を見ながら『あぁーッ! エヴェリーナと結婚すればよかったぁーッ! 失敗したぁッ! 俺の妻はこっちかぁ~ッ!!』……って、ディーン様は死ぬほど後悔するのよ? ディーン様を地獄に突き落とす結婚なんて、よくできるわね。それでラブラブとか言っちゃって……もう、呆れてものも言えない。こんな馬鹿女が姉なんて」
「支度しないの?」
しつこく居座る妹に、鏡越しに尋ねる。
憤慨に憤慨を重ねる顔で、妹はパカッと口を開けた。
「はあっ!? 支度って、うちの食堂、うちの人間よ!?」
「パーティーよ」
「はっ。……頭おかしい。両親に媚びを売るなんて。キモい。死ね」
ついに退散した。
鏡の中には、いつになく笑顔の私。
予定通り夕刻にパーティーは始まり、両親が妹をおだてるような軽いお喋りをしているところへ、ディーンが乱入。
「まあ! ディーン様!!」
妹は大喜び。
けれど……
ディーンがひたすら私を褒め、崇め、そんな私を育てた両親を讃え、ディナーになってもまだ私をいかに愛しているか熱弁をふるっていたので、どれだけ話題を乗っ取ろうとしてもほどよくあしらわれたり、素敵な姉をもって幸せだとかなんとかそれ系の言葉ばかりかけられ続けた妹が、
「いい加減にしてッ!!」
キレた。
母は目をかっぴらいて硬直。
父は咀嚼中の羊のソテーを、ごくん。
私はキョトンとして、ディーンは平然と
「どうしたんだい?」
なんて、聞いちゃったりして。
「私を馬鹿にしていらっしゃるのね!」
と目を吊り上げた妹に、ディーンは落ち着いてしれっと話しかける。
「まさか。素晴らしい姉妹だ。君の事は、愛するカルロッテの妹として誰よりも尊重しているさ」
「〝カルロッテの妹〟?」
オマケだと思っていた姉、つまり私のオマケに成り下がった事態に、妹は我慢がならないらしい。
「見損なったわ! ディーン様!」
妹がナイフとフォークを激しくテーブルに叩きつけて立った。
「まあね! お母様が私の気を引きたいって気持ちを汲んであげる意味でも、喜ぶふりくらいはしてあげるわよ? オトナだから。だけど、残念ねぇ~? お姉様が婚約した時ってぇ、婚約発表を兼ねた晩餐会しかしなかったでしょう? そこよ。姉妹のどちらが大切かって事! そういう事!!」
「私たちふたりを祝う小さなパーティーって聞いたけど」
両親が娘たちを送り出す、家族だけの小さなパーティーを主催したという建前。
身支度を整えていたら、いつも通り妹が突入してきた。
「はあ? 勝手にそう思ってればぁ~? お姉様なんかオマケに決まってるじゃない。もう、お母様ったら私と離れるのがそんなに悲しいのねぇ。こんなに麗しい娘を産んだからには、最高の貴族の妻になって別の家の人間になっちゃうってわかってたはずなのにぃ~」
「不細工だって結婚するわよ」
「まあ、お姉様とかね。よくわかってるじゃない」
「私は不細工じゃない」
「じゃあ、どうしておめかししてるのかしらぁ~? 自分に自信がないからでしょぉ~? 単品ならまあ見れなくもないけど、私の添え物だし!」
「せめて引き立て役とか言えない? あなた以外の女性もみんな人間なのよ?」
「あっそう! 人間だからディーン様と結婚できるって理屈なわけ!? じゃあ、したら? 毎日! 毎朝! 毎晩! お姉様の顔を見ながら『あぁーッ! エヴェリーナと結婚すればよかったぁーッ! 失敗したぁッ! 俺の妻はこっちかぁ~ッ!!』……って、ディーン様は死ぬほど後悔するのよ? ディーン様を地獄に突き落とす結婚なんて、よくできるわね。それでラブラブとか言っちゃって……もう、呆れてものも言えない。こんな馬鹿女が姉なんて」
「支度しないの?」
しつこく居座る妹に、鏡越しに尋ねる。
憤慨に憤慨を重ねる顔で、妹はパカッと口を開けた。
「はあっ!? 支度って、うちの食堂、うちの人間よ!?」
「パーティーよ」
「はっ。……頭おかしい。両親に媚びを売るなんて。キモい。死ね」
ついに退散した。
鏡の中には、いつになく笑顔の私。
予定通り夕刻にパーティーは始まり、両親が妹をおだてるような軽いお喋りをしているところへ、ディーンが乱入。
「まあ! ディーン様!!」
妹は大喜び。
けれど……
ディーンがひたすら私を褒め、崇め、そんな私を育てた両親を讃え、ディナーになってもまだ私をいかに愛しているか熱弁をふるっていたので、どれだけ話題を乗っ取ろうとしてもほどよくあしらわれたり、素敵な姉をもって幸せだとかなんとかそれ系の言葉ばかりかけられ続けた妹が、
「いい加減にしてッ!!」
キレた。
母は目をかっぴらいて硬直。
父は咀嚼中の羊のソテーを、ごくん。
私はキョトンとして、ディーンは平然と
「どうしたんだい?」
なんて、聞いちゃったりして。
「私を馬鹿にしていらっしゃるのね!」
と目を吊り上げた妹に、ディーンは落ち着いてしれっと話しかける。
「まさか。素晴らしい姉妹だ。君の事は、愛するカルロッテの妹として誰よりも尊重しているさ」
「〝カルロッテの妹〟?」
オマケだと思っていた姉、つまり私のオマケに成り下がった事態に、妹は我慢がならないらしい。
「見損なったわ! ディーン様!」
妹がナイフとフォークを激しくテーブルに叩きつけて立った。
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