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変わる世界
学校
しおりを挟む自転車を駐輪場に停めて遥斗は職員室に向かった。
軽くノックをする。
「1年3組 佐藤 遥斗です」
「入れ」
ガラガララー
「失礼します」
「ホイっ」
先生はそう言うと紙を見せて説明をしてきた。
「ここは欠席した理由でここが来た時刻で──......」
この先生は 剛力 隼人 名前から分かる通り体育の先生だ。力、速さ、技術どれをとってもなかなかいないレベルの超人。高校生の時にスポーツ番組に出たことがあるらしい。
「────他に聞くことはあるか?」
「いいえ、ありません」
遥斗は首を横に振った。
「なら体育館に行ってこい 、今ならまだやってるはずだ」
「はい....失礼しました」
そして遥斗は職員室を出て体育館に向かった。
「─────だから休み明けでもサボらず勉強しテストを頑張ってください」
校長先生が今も話しているようなので遥斗は体育館の後ろの扉から入って列の1番後ろにそっと座った。
5分後
「では、解散します3年生の5組から順番に4組、3組と────」
「でさ、彼氏がこれ買ってくれて───」
「お前夏休みの間どこ行った?俺?俺はなんとハワ─────」
周りの人が雑談してる中で遥斗はただ1人でさっきあった事故について考えていた。
(なんだったんだ?結果的に当たったっていう事実はあるから幽霊では無いよな、だとしたら宇宙人?だけど.......)
「おい、前行ってくれねぇか?」
「えっ?あ、ごめ......」
遥斗は考え過ぎて止まってしまったらしい。
それに注意したのは、同じクラスの武田 奏。マッチョな体の男子で実は趣味が洋菓子作りと裁縫だ。趣味を知れば可愛らしいのだが、見た目の怖さで誰も近寄ろうとしない為誰にも知られていない。ある意味ぼっちと言える彼だが、体育祭の時に活躍してからクラス内では、少しづつ話しかけられていてボッチ卒業出来そうだった。
(ぼっちから成り上がった人か......)
遥斗のテストは全体的に低く、さらに体育は学年で下から数えた方が早い。
(俺には芸術もダメだしな)
遥斗は他に才能があると考えて色々な分野に手を出してみたイラスト、歌、小説、プログラミング等色々やっていたが良くて普通で大体は下手の横好きだった。
(やるのは好きなんだがなぁ)
────────1年3組教室
「じゃあ夏休みの宿題回収するぞ後ろから前にバトンで渡していけ」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
「佐藤」
「..............」
「おーい佐藤、止めるな」
「す、すいません」
(考えるのは帰ってからにしよう)
「────────よし、ひと通り集まったな今日宿題忘れた奴は明日の朝に出すこと!減点はするがそうすれば誤差の範囲で収まるぞ!では解散、日直」
「起立、令」
「「「「ありがとうございました」」」」
ガヤガヤ
「────────じゃあこの後ゲーセン行こうぜ」
「悪い、俺はバイトでパス」
「俺はいけるぞー」
教室のそこらじゅうで大体同じような会話を繰り広げている。
ガラガララー
そんな空気の中、遥斗は真っ先に教室を出た。
(念の為もう一度確認しないと)
そして遥斗は駐輪場に向かった。
「あれ?ない、ないないない」
そう言いながら体のあちこちを探す。残念ながら遥斗は自転車の鍵を落としてしまったようだ。
(どうしよう)
とりあえず近場から探し始めた。そして探し始めて5分程経過したぐらいの時だった。
「おい」
いきなり後ろから声をかけられた。
「なに!?」
急いでたせいで遥斗は言葉の返しをキツめに言ってしまった。
(あっしまった)
「ご、ごめんこれお前のじゃないかなって思って」
遥斗の八つ当たりにビビったのか何故かその人物は謝る。
「へ?」
そして、見せてくれたのは遥斗の自転車の鍵だった。
「ありがとう!これをどこd.....」
どこで見つけたの?と聞こうとしたが、遥斗はフリーズしてしまった。
鍵を渡してくれたのはさっき話した(と言っても一言二言程度だが)武田 奏だった。
(ヤバいヤバい俺もしかして死んだ?)
マッチョな体で怖そうな顔の相手に焦っているからとはいえ、かなり雑な扱いをしてしまった。 しかも落し物を見つけてくれた。恩を仇で返すようなものだ。100%こちらが悪い、大半の人は即座にブチギレるだろう。
しかし──────────
「いやぁ、あってて良かった」
(は?)
武田の反応に遥斗は理解出来なかった。
「えっと.....怒らないの?」
恐る恐る聞いてみた。すると武田はキョトンとして
「なんで?」
逆に質問を質問で返してきた。顔は怖いはずなのにその表情からは困惑してる様子はあっても怒りなどは見られなかった。
「えっと......俺...かなりキツく言ったじゃん.......それなのに怒らないのかなって」
「.......あぁ、そういう事か」
一瞬考える素振りをした後、こう話し始めた。
「だって、普通は必要なものがなくなったら焦るだろ?俺もよく、やらかすから分かるんだ」
「.......あぁ、なるほど」
遥斗は全く理解してないが、とりあえず話を合わせることにした。見た目と比べて案外良い奴で、遥斗は少し罪悪感があった。
「じゃあな、鍵見つけてくれありがと」
そのせいで遥斗はその場から、逃げるように抜け出した。
「おう、また明日な」
武田は、離れていく遥斗にそう言った。
ガチャン
自転車のロックを外した。
(さてと、帰るか.......)
遥斗は朝の時とは違い、自転車をこぐ事が出来る程度には、体は回復した。
ちなみに帰る途中で事故現場に行く予定だ。
まぁ、多少腹部に痛みが感じているが問題になるほどのことでは無いので自転車に乗った。
この話はフィクションです
キャラの名前、企業、団体は現実とは関係ありません
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